死の宣告
国也とみおんの前を横切って、また看護師が慌てて乃菊の病室へ入って行く。
「大野さん、ご家族を呼んでください!」
「えっ、急にどうしたんですか?」
国也は、何が何だかわからず、ただオロオロするばかり。みおんが病室を覗いて、医師や看護師の慌ただしい動きと、険しい表情を見て、状況を把握した。
「国也さん!私が連絡しますから、ここにいてください」
みおんは、そう言って携帯電話をポケットから取り出し、番号を押そうとする。
「みおんちゃん!」
「あ、国也さんのお母さん!」
雲江が走ってやって来た。
「乃菊ちゃんは?」
「今、先生たちが来てます。連絡しようと思ってたところなんです」
「何だか胸騒ぎがして、走って来たの」
「すぐに病室へ入ってください。私は、羽流希さんに電話しますから・・・」
みおんに言われて、雲江が病室へ入る。
「国也!」
「母さん、乃菊ちゃんが・・・」
雲江は、医師たちの動きを見て、ただ事でないことを察した。
「看護師さん!乃菊ちゃんは?」
取り巻いていた看護師の中から、担当の看護師がやって来る。
「先程から急に反応が弱くなったんです」
医師が、乃菊の胸を何度も押している。
「それって・・・」
「もう限界かもしれません」
「それって・・・」
いつも見ていたベッドの横にあるモニター。そこに表示されている波形が、全て平らになって行く。数値も0になる。
「あれって・・・」
国也は、現実を見つめているが、認められない。
やがて忙しく動いていた医師も手を止めて、国也と雲江のところへやってくる。
「10月18日4時26分、ご臨終です・・・」
医師が時計を見ながら言った。
「そんな・・・」
国也は、ベッドの横へ行った。そして雲江も反対側に立ち、二人は、乃菊の手を握った。
「間違いです!乃菊ちゃんは、まだこんなに暖かい。目が開く前兆です」
「国也、二人で乃菊ちゃんを温めてあげよう・・・」
「うん、乃菊ちゃんは、死んでなんかいない。先生が間違ってる・・・」
医師は、二人の姿を見て、看護師たちを外へ出るように指示した。
「しばらく家族の人たちだけにしてあげよう・・・」
病室は、国也と雲江、そして二人に手を握られて横たわる乃菊の3人だけになった。
「羽流希さん、乃菊ちゃんが・・・」
みおんは、扉の外で電話で話をしながら、その場に崩れ落ちた。




