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罰〜突然妹ができて、人生終わりました。  作者: 蓮太郎


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22.山さんはバスさえも巧みに。

あっという間に月日は過ぎ、肌寒い季節になっていた。

山さん一向は、プレハブの前で寒さに耐えながら、貸し切りバスを待っていた。


「山さん、中入りません?」

凛は、ブルブル震えながら、山さんに訴えかける。


「も、もうバス来るだろ!」

山さんは、待ちかねている様で、プレハブの中に入ろうとしない。


「もぅ、待ち遠しいのは分かりますけど、寒いー!」

不満気に凛が叫ぶ。

バサッ。

「えっ?」

凛は、突然、何かを肩にかけられ驚いた。

振り向くと、新太郎が笑っている。

「どうだ?」


「うん、温かい。」

凛は、コートの暖かさと、新太郎の匂いに癒された。


「おー!新太郎は気が利くねー!」

山さんは感心している。

「山さんが落ち着いてプレハブ開けてくれたらいいんですけどね。」

新太郎は、嫌味を言う。


「バカ!こうして待つのも旅の醍醐味だろ!」


「そうですか?」

新太郎は、理解不能と思いながら、寒さに耐えながらバスが早く来ることを願った。


「おー!バス来たー!」

凍えそうな山さん一向は、バスのドアが開くと同時にバスに乗り込んだ。


「あったけ〜!」

口々にそんな声が聞こえる中、バスは早々に出発した。


「よ〜し!暖まってきた所で今日の予定を発表するぞー!」

山さんは、旅の予定をあえて秘密にしていた。

社員達は旅は、3泊4日と聞かされていただけで、どんな旅になるのか、山さんに注目が集まる。



山さんの隣りで由梨も楽しそうに笑っている。


「1日目は、移動で潰れちまうからな〜。

とりあえず、駅前で宴会してビジネスホテルで我慢してくれ〜。

2日目の朝、旅館に移動する!温泉街や温泉を好きなだけ堪能するといい!

旅館で2泊だ!

朝ごはんと夜の宴会以外は自由行動だ!

以上!」


「おー!なんかワクワクするなー!」

社員達は嬉しそうに騒ぎだす。

ワイワイとしていたのも1時間程だった。

社員達は、みんな、日頃の疲れで眠ってしまった。


そんな中、新太郎は、眠れずにいた。


・・・別にいいんだけどさ。

席いっぱい空いてんのになぜこうなったー!?


新太郎は、自分の肩に寄りかかる凛の頭を横目で見た。

髪から甘い匂いがする。


・・・山さんは恐ろしい。

そもそもバスに乗り込んだ時だ。

あの瞬間、山さんは思い着いたように俺達を後ろから、あの鋭い目で見ていたんだ。

俺は何となくこの席に座った。

コートを返そうとする凛が俺の席の所で立ち止まると、山さんは、俺達はこの席にしようと俺の席の通路の向こう側を指さし、由梨さんとニヤリと笑った。

その後、押しのける様に凛さんを俺の隣りに座らせた。

凛さんは、移動するのはどうかと気を使ったんだろう。

全てあの夫婦の思惑通りに・・・もっと警戒すべきだった。


新太郎は、敗北感に沈んでいた。


「スー。スー。」

その隣りで、凛は、気持ち良さそうに寝息をたてている。

新太郎は、ふと視線を感じた。

視線を送っていたのは、山さんと由梨だった。

二人はニヤニヤしている。

山さんは、こうするんだとばかりに、由梨の肩に手を回した。


新太郎が、不機嫌そうに山さんを睨んでいると、

キキー!

バスが突然、強めのブレーキを踏んだ。


「す、すいません!」

運転手が叫ぶ。


新太郎は、凛の体が前の座席の背もたれに向かって倒れそうになるのを抱き寄せる様にして防いだ。

結果、新太郎は、凛を抱きしめてしまっている。


運転手は、申し訳無さそうに後ろを振り向いた。

何事も無かった様子に安心している様だ。



「う、う〜ん。ありがとう。」

凛は、寝ぼけているのか、新太郎にお礼をいいながら、胸元に寄りかかってきた。


・・・ありがとうって!

おぃ!

・・・凛さんの背中に回した腕が抜けない。

と、言うか全く動けない!


新太郎は、凛と密着したまま、ガチガチに力みながらも、大人しくしている。


・・・起こすのもなんか悪いし。

かと言って、あと何時間このままなんだ?


新太郎は、山さんに助けを求めようと、山さんを見た。

山さんと由梨は、ニヤニヤしながら目を合わようとしない。


おのれ!白状者め!


新太郎は、心の中で叫んだが、諦めた。

ガチガチに固まっているのにも疲れた新太郎は、体の力をぬいて、凛の頭に頬をのせてみた。

甘い香りがする。


・・・何だか落ち着くな。

昔、感じた感覚・・・。


新太郎は、疲れがたまっていたのか、まぶたが重たくなり、そのまま眠った。


プシュー!

バスのドアがあく音で、新太郎はゆっくりと目をあけた。

新太郎が顔をあげると、腕の中で、顔を赤くした凛がゆっくりと顔を上げて新太郎を見つめる。


「わぁ!ごめん!」

新太郎は慌てて凛から離れた。

「う、うん。私が寄りかかっちゃったの?」


「まあ、バスが急ブレーキかけたり、色々あってこうなった。」


「そ、そう。」

二人は照れくさそうにしている。

列を成しながら、バスから下りる社員達は、新太郎と凛の横をニヤニヤしながら通りすぎる。


・・・何も言われない方が恥ずかしんだよー!


新太郎は心の中で叫んだ。


「俺達も昼ごはん行こうか。」


「そうだね。」


立ち上がる二人を満足気に、山さんと由梨はしっかりと見ていた。


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