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罰〜突然妹ができて、人生終わりました。  作者: 蓮太郎


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21/31

21.企みのデート。

「おはようございます!」


「おー!新太郎!復活したか!」

次の日の朝、新太郎はいつもの時間に出勤した。


「山さん、すいません。迷惑かけて。」


「何言っとる!大体新人はああなるんだ。気にするな!」


「は、はい。ありがとうございます。」


「凛ちゃんの看病のおかげだな!ワハハハ!」

山さんは満足気に笑う。


「山さん、俺を凛さんとくっつけようとしてますよね?」

新太郎は山さんを睨む。


「えっ?」

山さんはとぼけている。


「俺、話しましたよね?凛の事。

凛さんの過去は知らないですけど、凛さんにも思っている人がいて、俺もずっと凛を思ってます。

だから山さんの期待には応えられないですからね!」

新太郎は少し不機嫌そうだ。


「新太郎、凛ちゃんもだが、過去の事はもうそろそろ許してやったらどうだ?

お前たち二人はお互い好印象を抱いてる。それは見ていて分かる。」


「・・・それでも。俺は凛の事をずっと思い続けます。」


「・・・ま、まぁ、いい。少しづつでも自分を許していける。

きっと。

過去かどうであれ、お前たちは幸せになっていいんだ。」

山さんは、少し悲しそうに、熱く語る。


「あ、ありがとうございます。」


「所で新太郎。」


「はい。」


「お前、免許はもってたな?」


「はい、一応。お陰様で先月再取得が叶いました。ペーパードライバーですが。」


「今日は、ホームセンターに買い出しを頼みたい。」


「えっ?昨日も畑仕事、途中で抜けたのに、楽ばかりできませんよ。」

新太郎は申し訳無さそうにする。


「大丈夫だ。大河とも相談済みだ。

大河なんかは今日は休ませろって聞かなかったんだぞ?」


「そ、そうですか。

じゃぁ御言葉に甘えさせてもらいます。

で、何を買ってきたら?」


「あぁ、買うものは凛ちゃんにメッセージを送ってる。

お財布も凛ちゃんが握ってるからな!」

山さんはニヤリとする。


「はぁ。」

新太郎はため息をつく。

「またですか?」


「あぁ。だが、これは仕事だ。

しっかり頼むぞ〜!」

山さんは嬉しそうに社長室へと消えて行った。


「おはよ。元気そうね。」

山さんと入れ違いで、凛が出勤してきた。

「あ、うん。昨日はありがとう。」


「どういたしまして。」

凛はニコッと微笑えむ。


・・・その笑顔だよ。


新太郎は、凛の笑顔から目を反らす。


「ホームセンター9時からだから、しばらくゆっくりしてて〜。

私やる事済ませてくるね〜。」


「う、うん。」

何だかご機嫌な凛の背中を新太郎は見つめながら、休暇用のソファーに腰掛けた。


「こんな楽をさせてもらっていいのだろうか?」

新太郎は、天井を見上げた。


そして、数時間後。


カチャ。

新太郎は緊張した様子でシートベルトを閉めた。

「ちくしょー。軽トラかよ!」


「何かご不満?美女がこの狭い空間で隣りに座ってるんですけど?」


「いや、そう言う事じゃなくてさ。

軽トラ、ミッションだろ?

俺はてっきり山さんの車で行くものだと思ってたんだ。」


「なるほど。ミッションは難しそうだもんね。」


「う、うん。」


「じゃ、じゃあ、出発するぞ?」


「はい。」

新太郎につられて、凛も緊張している。


ウーウィーンーガタン。

「・・・。」


「・・・エンスト・・・したね。」

凛は少し不安そうにする。


「面目ない。」


「だ、大丈夫!もう一度!」


「う、うん。」


教習所に通っていたのが少し前の事もあり、2度目は上手く出発できた。

山道を窓を空けて、軽トラは走る。

「風が気持ちい〜!」

凛は楽しそうにしている。

「・・・。」

新太郎は、運転に全力で集中している。

「そうなに肩に力入れてたら疲れるよ?」

ガチガチになっている新太郎を見て、凛は笑う。

「あっ、ラジオでも聞こうよ!」

凛がラジオの電源を入れようと手を伸ばすと、新太郎は、凛の手を握った。

「えっ?」

凛は驚いた表情で新太郎を見つめた。

「すまん!エンジン音が聞こえないから。」

新太郎は、真っ直ぐ前を見ている。

凛がラジオを諦めると、新太郎は手をハンドルに戻した。

「はぁ〜ぃ。大人しくしてますよ〜。」

凛は少しつまらなさそうに、窓の外を見た。



山道を下ったり、登ったり、30分程車を走らせると、ホームセンターへ到着した。

「はぁ。畑にいるより疲れたぞ。」

新太郎は、ハンドルにおでこを乗せる。


「お疲れ様。無事に到着できて何よりだわ。」

凛は胸をなで下ろした。


「恐かっただろ?ごめん。」


「大丈夫!私が運転するよりは安全だったよ?一回、山さんに運転させてもらったんだけど、それから二度と運転させてもらえないし。」


「・・・どんな運転したんだ?」


「あはは。」

凛は照れている。


「いや、褒めては無いぞ?」


「わ、分かってるよー!」

凛は頬を膨らませて、俯いた。

「さぁ!買物いこっ!」


「スネたり笑ったり忙しいやつだな。」


「ふ〜んだ。」

凛は、軽トラをおりると、ホームセンターに歩き出した。

「お、おぃ、待ってくれよ!」

新太郎は、軽トラに鍵をかけ、急いで凛を追いかけた。


「ホームセンターでかいな〜!」

入り口の自動ドアを入り、新太郎は驚いている。


「そうだね。ここにきたら大体の物は揃うからね〜。

隣りはスーパーもあるし、ゲームセンターとかもあるんだよ!

この辺の子供は大体ここへ遊びに来るんだって〜。」


「そうなんだ。」

新太郎は、カートに手を伸ばそうとする。


「お母さーん!!」

ふと、カート置き場の隣りを見ると、小さな女の子が泣いていた。

新太郎は、心配になり、女の子に近づく。

「どうした?お母さんとはぐれたのか?」


「うん。」

小さな女の子は、新太郎が話しかけてきたのに驚いて、泣きやんだ。


「じゃぁ、お母さん呼んでもらおうか?」

凛も女の子に話しかけた。


「うん。」


「よし!じゃぁ、お姉さん達とあそこに行くよ?」


「うん。」

凛は小さな女の子の手を取り、サービスカウンターの様な所へゆっくりと進む。

新太郎も、その後ろを歩いた。


「あれ〜?サービスカウンター、誰もいないね。」

凛は、辺りを見回す。

「このボタン押したら来てくれるんじゃないか?」

新太郎は、呼び出しベルのボタンを押した。


「・・・こないね。」


「そうだな。」


女の子は、不安そうにしている。

「ねぇ、お母さんは?来てくれるの?」


「大丈夫。」

新太郎は、女の子の頭を撫でた。

「凛さん、俺達で探そうか?」


「そうだね〜。」

凛は女の子の手をまた握った。

「じゃぁ、お母さんを探しにいこー!」

凛は楽しそうに笑っている。


「ねぇ、お兄ちゃんも〜。」

女の子は、凛と繋いだ手と反対の手を新太郎に差し出した。

新太郎は、ぎこちなく女の子の手を握る。

3人は、手をつないで、ホームセンターの中を歩き回った。


「なんかいいな。」

新太郎は小さく呟く。

「子供?新太郎くんも、こうしてたかもしれないもんね。」


「うん。そうだな。」

新太郎は俯いた。


「実は、私もなんだ。

私も、小さな命を奪ったから。」


「・・・そう、なんだ。」

新太郎は、凛を見つめた。


「お兄ちゃんとお姉ちゃん、悲しいの?」

小さな女の子は、俯く二人を交互に見ている。


「大丈夫だよ〜!お母さん、早く見つかるといいね〜。」


「うん!」

凛が笑うと、女の子は安心した様子で笑った。


「莉子ーー!!」

どこからともなく、叫び声が聞こえる。

「お母さんだ!」

女の子は、視線の先に母親を見つけたようだ。

「莉子ー!」

母親も女の子に気付いた様子で駆け寄ってきた。

「すいません!うちの子が!」

女の子の母親は、申し訳なさそうにしている。

「いぇ、サービスカウンターに人がいなくて、私達で探そうって事になったんですけど、無駄に探し回らせてしまってたらすいません。」


「いえ、本当にありがとうございます。」

母親は、女の子に手を差し出すと、女の子は、新太郎と、凛と繋いだ両手を重ねた。

「えっ?」

新太郎と凛は、驚いている。


「お姉ちゃんとお兄ちゃん、仲良しね。」

ニコッと笑う女の子の顔を見て、仕方なく新太郎と凛は手を繋いだ。

「ありがとう〜。」

女の子は、母親の手を取ると、二人に手を振り帰っていった。


「さっ!私達もお仕事しないとね。」

凛は、新太郎を見て笑った。

「そうだな。」

二人は、繋いだ手を離すタイミングを逃した。

ホームセンターの中を手を繋いだままカート置き場を目指した。


・・・手、離すタイミングが。

何でだろう。この手を離したくないと思っている自分がいる。

・・・カート置き場に着いたら、手を離そう。


凛も同じ様な気持ちなのだろうか?

新太郎は、そんな事を思いながら、黙って歩き、カート置き場にたどり着いた。

「じゃ、じゃあ、俺、カート押すな。」


「う、うん。」

二人は、手を離した。


「・・・。」

何か不思議な空気を二人は感じた。

会話は始まらないが、居心地のいい。

しばらく、二人は黙って並んで歩いた。


「なぁ、それで、何買うんだ?」

新太郎は、我に返り、仕事の事を思い出した。

「あ、忘れてた。」


「ははっ!忘れんなよ。」


「だね。あはははっ!」

凛は、スマホをカバンから出すと、買物リストに目を通している。

「じゃあ、まずはあそこだね。」

凛は、お目当ての売り場を指さした。



買物を無事に終え、新太郎と凛は、軽トラに乗り込んだ。

「さっ、帰るか。」


「うん。」


新太郎は、凛との時間が楽しくて、幸せだと感じていた。


・・・ダメだ。

俺は、凛の事をずっと思って生きていく。

そう決めてるんだから。


「ねぇ、新太郎くん?」


「えっ?あぁ、ごめん。」


「何回も話しかけてたのにー!

どうしたの?」


「あ、いや、何でも無い。」


「そ、そう。」


「じゃぁ、出発するぞ。」


「うん。お願いします。」


運転にも少し慣れた様で、帰りはスムーズに帰る事ができた。


「買物無事終わりましたー!」

凛は、プレハブのドアをあけて山さんを呼ぶ。

「あぁ、ありがとう。

倉庫にしまっておいてくれ。」


「分かりました。俺、やっとくよ。」

新太郎は、少しぎこちなく凛に言う。

「う、うん。ありがとう。」

凛も少し照れくさそうにする。


そんな二人のやり取りを見て、山さんはニヤリと笑った。

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