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罰〜突然妹ができて、人生終わりました。  作者: 蓮太郎


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18/31

18.晴れる心。

新太郎は、買物を終えると、無事寮に到着した。


「あっ、新太郎くん、明日朝6時にさっきのプレハブ集合だからね!」


「やっぱり朝早いんだな。」


「まぁね。夏は涼しい間に作業進めないとだし、もう少し早くなるよ?」


「そ、そうなんだ。

じゃあ、今日はありがとう。

明日からよろしく。」


「うん。こちらこそ。」


バタン。

二人はそれぞれの部屋に帰った。

新太郎と凛の部屋は隣り同士だった。


「部屋は綺麗だな。」

新太郎は、備え付けられたテーブルの上にスーパーで買った弁当を置いた。

「至れり尽くせりだな。凛さんが言ってた様に、生活に必要な物は一通り揃ってる。

助かるな。

明日から頑張らないとな。」


新太郎は、ベッドに倒れ込んだ。

「体、臭いかな・・・今日は風呂いいや。」

新太郎は、目覚ましをかけると、眠った。



窓から朝日が差し込む。

「う、う〜ん。」

微睡みの中、新太郎は時計を見た。

「はぁーー!!」

時計の針は5時半をさしていた。

「目覚ましなんで鳴らないんだよ!」

新太郎は、飛び起きると、出発の準備を急いだ。

「初日から遅刻とかシャレにならんぞ!」

バタン!

家を飛び出すと、新太郎は必死に走った。

畑の中を駆け抜け、プレハブ小屋が見えてきた。

「ハァハァハァ。なんとか間に合いそうだ。」

新太郎が走っていると、凛が前を歩いていた。


「あら、おはよ。」


「ハァハァハァ。おは、よ。」

新太郎は、凛に追いつくと、凛に歩幅を合わせて歩く。

「もしかして寝坊した?」


「う、うん。目覚まし鳴らなくて焦った。」


「声かけるか迷ったんだけど、静かだったからもう行ったのかなと思ってた。」


「あはは。」


「あっ!ちなみに、少し早く着くように出てるけど、私の出勤時間は6時半だよ?6時まであと3分。」


「えーー!!早く言ってくれよーー!!先に行くな!」

新太郎は慌てて走り出した。


「うん、頑張ってー!」

凛は笑顔で手をふった。



「ハァハァハァ。おは、よう、ございます。」


「おー!新太郎、おはよう。

初日から遅刻かと思ったぞ?」

山さんはニコニコしている。

が、相変わらず恐い顔で、新太郎は怒られている気分になる。

「す、すいません!目覚ましが鳴らなくて。」


「目覚まし?」


「は、はい。寮に置いてもらってた目覚まし時計です。その、実家にいた時は、スマホで目覚まししてたんで、ちゃんと使えなかったみたいで。」

新太郎は、事件や刑務所での日々を思い出し、俯いた。


「まぁ、何だ。そう落ち込む事は無い!今日からは、きっと心が晴れる!」

山さんは、大きな手で新太郎の背中を叩いた。


「ぐはっ!ゲホッ、ゲホッ。」


「おぉ!すまん!ワハハハ!」


「や、山さん。」

新太郎は、山さんをみて怯えている。


「さぁー!今日も頼むぞー!」


「おはよう。俺は、大山おおやま 大河たいがだ!一応、みんなをまとめる役割で、今日からしばらく新太郎の教育係だそうだ。」


「よ、よろしくお願いします。」


「あはははっ!そんな賢まるなよ!

やりにくいわ!とりあえず、道具は用意しといたから、そこの一輪車にのせてついてこい!いくぞ!」


「は、はい!」

新太郎は、言われるまま、一輪車をヨレヨレと押しながら付いていく。


「今日は、苗を植えるんだー。

ひたすらな。」


「な、なるほど。」

新太郎は、慣れない一輪車に気を取られながら、ヨレヨレと進む。


「大丈夫か?そのうち慣れると思うけど、一輪車を使いこなすのは重要だぞ〜?土を運んだりする時は重くなるから、もっと押すのが難しいからな。

まぁ、がんばれ!」


「は、はい!」

新太郎は、なんとか大河の後ろをついていく。


「さぁ、ついた!」


「ふぅ。」

新太郎は、一仕事終えた感で一息ついた。


「おぃ、おぃ、新太郎。

大変なのはここからだぞ?

新太郎、今日は腰が終わると思っていろ。」


「腰が・・・終わる?」


「みんなの表情を見てみろ。」


新太郎は、周りを見回す。

他の社員達は、永遠と続く畑を見て、呆然としている。

「苗を植えるのは大変なんですか?」


「そうなんだ。力のはいらないんだけどな。みんな、土作りとか、収穫は好きなんだが、この作業はな。」

大河も俯く。


「初日から脅かさないで下さいよ。」

新太郎は、恐怖を覚える。


「まぁ、やるしかない!新太郎、俺の向かいにまわれ。」


「は、はい!」


「じゃぁ早速やるぞ。まずこうして苗を植える穴をほる・・・。」

大河は、新太郎に説明しながら苗を植えて見せた。

「あとは、これを永遠に繰り返す!」


「はい!」


新太郎は、一生懸命に苗を植えていく。


「新太郎、やるな〜。」

新太郎は苗を植えるのが楽しいと感じ、自分でも驚くくらいに、上手に作業を進められていた。

大河は、感心している。

「あ、ありがとうございます!」


・・・山さんの言ってた、気持ちが晴れるって言うのが良くわかる。

何だろう?凄く清々しい気分だ。

こんなに心が軽くなるのはいつぶりだろうか。


新太郎は、ここへ来て良かった。

そう思いながら作業を続けた。


「新太郎。」

大河は、少し思いつめた様な雰囲気で新太郎に声をかける。

「はい?」


「あぁ、手は動かしながら聞いてくれ。」


「は、はい。」


「俺も、新太郎と同じ年くらいの時にここに来た。

山さんに一番最初に拾ってもらったんだよ。」


「そ、そうなんですか。」


「うん。俺はみんなをまとめる役だから、新太郎の事は大体聞いてる。

俺だけ知ってるのはどうかと思うからさ、俺の事も話しておこうかと思う。」


「大河さんの事か。」


「そうだ。俺は、新太郎とは違ってな。

どうしょうもない奴だった。

いわゆるヤンキーってやつだな。」


「あぁ、見た目そうだと思ってました。」


「おぃ。」

大河は新太郎を睨む。


「す、すいません。」


「別にいいけど、やっぱりそう見えるんだな〜。」


「まぁ、嘘はつきたくないので。」


「あはははっ!俺もそうだ。嘘は大嫌いだ・・・そう。嘘は嫌いだ。」


「それが原因ですか?」


「まぁ、そうだ。」


「・・・。」

新太郎は、大河が口を開くのを待った。


「親友がいたんだ。一緒にバカばっかやってた。

親友・・・だと思ってた。

向こうは違ったみたいでさ、俺の事、嘘ついてハメたんだ。

そいつに呼び出されて、俺は不思議に思いながらも、人気のない廃ビルに行ったんだけどな・・・大人数に囲まれて、病院送りになったんだ。」


「テレビドラマみたいですね。」


「あはははっ。あんな優しいもんじゃないよ。死ぬかと思ったし。」


「・・・世界が違いすぎる。」


「まぁ、その後、退院して一番にそいつに会いにいった。

そいつ、恐かったからって言ってた。

俺は、許したんだよ・・・その時は。」


「その時は?」


「うん。後で分かったんだ。

そいつ、俺をボコッた奴らと手を組みたくて、目障りに思われてた俺をハメたって言うのが。」


「ひどいですね。」


「あぁ、俺は問い詰めた。

何でだって。

そしたら、いつも親友顔して絡んでくる俺が嫌いだったそうだ。

だから、一石二鳥だったって笑いやがって。」


「大河さん。」


「あはは。後はご想像の通りだよ。」


「山さんが大河さんを選んだ理由が分かった気がしました。」


「・・・そうだな。山さんには本当に感謝してる。」


「俺も。」


「あーー!!」

大河は、突然畑に寝転がった。


「どうしました?」


大河は空を見つめている。

「新太郎、腰痛くないのか?」


「えっ?別に大丈夫ですけど?」


「新太郎、お前、この仕事天職ってやつかもな〜。俺の腰は悲鳴を上げているぞ?」


新太郎が辺りを見回すと、同じ様に畑に寝転ぶ社員達が視界に入る。

「えっ?そんなに?」

新太郎は不思議そうにしている。


「すげーな。」


「なんか嬉しいな。少しでも役にたてた気がします。頑張ります!」

新太郎は、休んでいる社員達を尻目に、どんどん苗を植えていった。


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