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罰〜突然妹ができて、人生終わりました。  作者: 蓮太郎


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17/31

17.新しい家族。

新太郎は、畑の真ん中に建てられた、大きめのプレハブ小屋の前に立っていた。


ガラガラ。

プレハブの引き戸が開く。

「おぉ!来たか!」


「は、はい。今日からよろしくお願いします。」

プレハブから出てきたのは、あの日、背中をさすってくれた刑事だった。


「刑事さん。ありがとうございます。」


「おぃおぃ、刑事さんはやめてくれ。

もう引退したんだから。」


「あっ、そうでした。」


山下やました 辰郎たつろうだ。山さんとみんな呼んでる。

よろしくな!」

山さんは大きな手を差し出す。


「はい、改めて、大前 新太郎です。

よろしくお願いします。」

新太郎は山さんの手を取った。


「中を案内しよう。」

山さんはニコッと笑う。

笑っていても顔は恐い。


「は、はい!」

新太郎は少し緊張している。


・・・大丈夫だろうか。

山さん、厳しそうだな。

死ぬまで働けとか言いそう。


「おい、どうした?」

立ち止まっている新太郎を山さんは振り返って見ている。


・・・睨まれている様に見える。

新太郎はブルッと震えながらも、小走りで山さんの後を追った。


「新太郎、俺は顔は恐いがそんなに緊張するな。

心配しなくても死ぬまで働けとか言わん!ワハハハ!」


「えっ?心詠みました?」


「大体ここのみんな、最初はそう思ったって笑い話になるんだよ!」


「そ、そうですか。」


「ここは、休憩室だ。

そこのドアは、仮眠室。

あとそっちがトイレと洗面所、あとシャワーも完備している。」


「設備が充実してますね。」


「あぁ、農業は体が資本だからな、みんなの健康を守るのも俺の役目だ!」

山さんはニコニコ笑っている。

が、やっぱり顔が恐い。


「あと、ここは女性用の休憩室だ。

ここは入るなよ〜恐い恐い事務員さんに怒鳴られるからな〜。」


「事務員さん・・・恐いんですか?」


「あぁ、俺より恐い顔してらぁ〜。」


「気おつけます。」

新太郎は、まだ見ぬ事務員さんに恐怖を覚えた。


「まぁ、一通りの説明は終わりだな。」

新太郎は、山さんの部屋、つまり社長室に通された。

「とりあえず座れ。」


「あっ、はい。」

新太郎は、山さんを真っ直ぐ見つめる。


「新太郎、どうした?」


「いや、その、本当に俺なんかがお世話になっていいんでしょうか?」


「真面目だな。新太郎の人生はこないだ聞いただろ?俺は、誰でも助けたいと思う訳じゃない!その人物の心を見る。

出会う全ての若者なんて到底救えやしない。必ず両手からこぼれ堕ちる。

俺はあの日、新太郎を救いたい。そう思ったんだ。

ここで働くほとんどが刑務所上がりだ。

だが、俺が気に入った奴だけがここにいる。

心配すんな!いいヤツばかりだ!

それから、新太郎は今日から俺達の家族だ!」


「は、はい!」

新太郎の目は、潤んでいた。


「じゃぁ、これとりあえず書いてくれ。

入社に必要な書類とか、保険関係の書類だ。」


「は、はい!」

新太郎は渡されたボールペンで書類を書き進める。

「あっ。」

新太郎は手を止めた。


「どうした?」

山さんは、書類に目をやる。


「あ、その、俺・・・住所が。」


「おー!忘れてたわ!

お前は今日から寮暮らしだ。」


「寮?」


「1時過ぎたな。

ちょっと待ってろ。」

山さんは、ドアをあけて顔を社長室の外をのぞいている。

「あー!凛ちゃん!寮の住所と今日から来るって言ってた新人の部屋番号を教えてくれー!」


「はいはい。地図と持っていきますね〜。」


「り、凛?声も似てる気がする。」

新太郎は、思わず振り返ってドアの方を見た。


山さんは、ドアを閉めると、新太郎の前に座った。

「さぁ、恐い恐い事務員さんのお出ましだぞ〜?」


「・・・。」

新太郎は、ドアをあけて入ってくるのが、凛かもしれないと、ソワソワしている。


「どうした?」


トントントン。

「もぅ、山さん、そろそろ寮の住所覚えて下さいよー!

新しい人来るときは、地図も用意して下さいって言ってるのに!」


聞き覚えのある声。

新太郎は、振り返った。


「・・・凛・・・じゃないか。」


「おっ?何だ?いきなり名前で呼んで、狙うつもりか〜?めちゃくちゃ美人だろ〜?」

山さんはニヤニヤしている。


「あ、はい、美人ですね。

すいません。

知り合いに声が似てたので。」


「何だ、そうかい。見惚れてんのかと思ったわー!つまらんの〜。

まぁ、凛ちゃんは心に決めた男がいるそうだ。

残念だな!ワハハハ!」

山さんは笑う。

顔が恐い。


「お、俺も心に決めた人がいるのでご心配なく。」

新太郎は、凛を思い出して俯いた。


「なんだ、凛ちゃん美人だろ?」


「そうですね。」


「興味なしかよ〜。俺は、凛ちゃんと新太郎は合う気がしたんだがな〜。」

山さんはつまらなそうにしている。


「と、言うか、恐い恐い事務員さんって?」


「あー!それは!」

山さんは焦っている。


「山さん?」

事務員さんは不機嫌そうに山さんを睨む。


「まぁ、何だ。ギャップ萌え的な?」


「意味分からない。山さん、後でジュースおごりね。」


「トホホ。」


「ふふっ。トホホって。」

事務員さんは、テーブルの横に立った。

「鈴木凛です。今日からよろしくお願いします。」


新太郎は、立ち上がり、凛を見つめる。

「大前 新太郎です。こちらこそよろしくお願いします。」

新太郎は、頭を下げ体を起こすと、凛を見つめる。


「・・・。」

凛は固まっている様に見えた。


「あの、どうかしました?」


「えっ?あっ、いえ。これどうぞ。」

凛は、新太郎に、地図と、寮の住所が書かれた書類を差し出す。

手が少し震えている様に見えた。


「あ、ありがとうございます。」

新太郎に書類を渡すと、凛は、足速に社長室を出て行った。


「なんだ?」

山さんは不思議そうに凛を見ていた。


「よし!これで全部書けたな!」


「はい、今日からよろしくお願いします。」


「おぅ!じゃあ早速畑にいくぞ!」


「は、はい!」

・・・初日からもう?

やっぱり山さん無茶苦茶厳しいんじゃないのか?


新太郎は、不安に思いながら、山さんの後を追った。


「おーーーい!!!みんなちょっと集まってくれーーー!!」

山さんの大きな声が畑に響き渡る。


「はぁーーーい!!」

元気な返事が返ってきた。


しばらくすると、社員と思われる力のありそうな男達が集まってきた。


「一応、今はこの10人が働いてくれている!名前は、そのうち勝手に覚えるだろ。」


「また、山さんは適当っすね!」

1人の社員が笑う。


「とりあえず、明日からこいつを頼む。

名前は新太郎だ!」


「了解っす!」

リーダー的な存在なのだろうか。

1人の男が笑顔で答える。


「じゃぁ、引き続き頼む!」


「はい!」

社員達は元気良く叫ぶと、畑へと向かって行った。


「良し、今日は疲れただろ?

寮に帰って休むといい。

明日からは働いてもらうぞ〜。」


「は、はい!よろしくお願いします!」


山さんの後を歩いて、新太郎はプレハブに戻った。

「おーい、凛ちゃん!」


「はーい、何ですか?」


「今日はもういいから、新太郎を寮まで案内してやってくれ!

あと、スーパーとか色々、教えてやってくれ。」


「えっ?は、はい。」

凛は、チラッと新太郎をみて目を反らした。


「すいません。よろしくお願いします。」

新太郎は礼儀正しくお辞儀すると、プレハブを出た。


「凛ちゃん、どうした?新太郎がタイプだったか?」

山さんはニコニコが止まらない。


「山さん?」

凛は山さんを睨む。


「なんだよ〜。お似合いだと思ったんだがな〜。」


「怒りますよー!」


「すまん、すまん。

まぁ、新太郎の事、頼むわ。」


「はいはい。」

凛は不機嫌そうにプレハブを出た。


「あの、ごめん。」

新太郎は、不機嫌そうな凛をみて平謝りしている。


「あぁ、違う違う。山さんが変な事言ってきたから。

さぁ、いきましょ?」


「うん。」


新太郎と凛は、田舎道をゆっくりと歩く。


「まだ着かないのか?」

新太郎は、歩いても歩いても同じ景色に不安を覚えていた。


「そうだね〜。ここは田舎だから。

あそこに見えてるのが寮だよ!」

凛は遠くに見えているアパートらしき建物を指さした。


「まだ遠いな。」


「そうね。ちなみに、スーパーはもっと遠いよ?こっちに行くとスーパーがあるけど行く?」


「あ、お願いしてもいい?

今晩食べる物が無い。」


「じゃぁ行こうか。」


「うん。申し訳無い。」


「私も行くつもりだったから気にしないで!」


「ああ、ありがとう。」


新太郎と凛はゆっくりと歩く。


「凛さんは、寮から毎日歩いてんの?」


「うん。みんなと違って私はデスクワークだからね、健康のために歩いてる。」


「そうか。俺、給料もらえたら自転車買おうかな。」


「そうだね〜。みんな自転車とかバイクで通ってるなぁ。

実は寮はもう一つあって、さっきの寮には昨日まで私だけしか住んでなかったんだ〜。」


「えっ?何で?」


「う〜ん。多分山さんは、あの寮は女子寮にするつもりだったんだと思う。

でも女の子は私だけで一向に増えないし、もう一つの寮は満室なんだ。」


「あぁ、それで溢れた俺を住まわせてくれる為に、女子寮は諦めたのか。」


「わからんけど。多分そう!」

凛はニコッと笑う。


「・・・似てる。」


「えっ?」


「あっ、ごめん。凛さんが知り合いに似てて。」


「何〜?さっきも言ってたけど、知り合いに似てるって言う口説き文句かしら?」

凛は目を細めている。


「いや、俺は・・・その子以外とは絶対に何も起こらないと思う。」


「そ、そう。」

凛は残念そうなのか、嬉しそうなのか、複雑な顔をしていた。


「それにしても遠いな。」


「あはははっ!そのうち慣れるよ〜。」



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