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罰〜突然妹ができて、人生終わりました。  作者: 蓮太郎


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14/31

14.たった一言で。

「あー。うー。あー。」


「おい、こっちまで落ち込みそうなんだが?」


卒業旅行から数カ月。

新太郎と涼はいつものベンチに座っている。


「いいよな涼は。」


「まだ気不味い雰囲気なのかよ?」


「あぁ。旅行依頼、何もない。」


「ま、マジか!?」


「マジだ。」


旅行から、順調に愛を育んでいる涼に対して、新太郎は気が気ではなかった。


「凛、最近変なんだよな。」

新太郎は頭を抱える。


「と、言うと?」


「悩んでると言うか、思い詰めていると言うか。」


「それは、まさか?」


「うん。アレが来ないと。」


「アレとは?」


「察しろ。女の子の日と言うやつだ。」


「おま!まさか!それ!?」


「かもしれない。」


「・・・就職、間に合わないよな?」


「そうだな。」


「まぁ、まだ確定では無いんだよな?

大丈夫だよ!」


「だといいんだが。」

新太郎は空を見上げた。

「雲はデカいな〜。」


「・・・そうだな〜。」

新太郎を思う涼も、不安の余り、空の雄大さに呆然としていた。




「あぁ。」

新太郎は、授業が終わり帰宅した後、ベッドに横になり、天井を眺めていた。

「あぁ。うー。」


トントントン。

「はい?」

ドアを叩く音に、新太郎は体を起こした。

ガチャ。

ドアが開くと、凛が不安そうに部屋に入ってきた。

「お兄ちゃん。」


「凛。どうした?」


「お兄ちゃん、あのね。」


「うん。」


「赤ちゃんがここにいる。」

凛は大事そうにお腹をさする。


「・・・。」

新太郎は言葉が出なかった。


「お兄ちゃん?」


「そ、そうか。」


「嬉しく・・・無い?」


「いや、素直に喜べない状況と言うか、まだ学生だし。」


「そ、そうだよね。ごめん。その報告だけだったから。」

凛は、俯くと、新太郎の部屋を出て行った。

「おぃ、凛!」

新太郎は、凛を追いかけることができず、ベッドに倒れ込むと、また天井を見上げる。

「やっぱりか。」

新太郎は、これからどうするか考え出した。


・・・父さんに相談して・・・いや、それは違う気がする。

俺と凛は親になるんだ。

やっぱり、大学をやめて働くべきか。

子供を諦めるのが正しいのか。

凛は・・・凛はどうしたいのだろうか。


新太郎は、同じ事をグルグルと考え続けた。


カァカァカァ〜。

外でカラスが鳴いている。

窓からはオレンジ色の光が差し込む。


「もう、夕方か。」

新太郎は、決意を固め立ち上がる。


トントントン。

新太郎は、凛の部屋のドアを叩いた。

「凛、いないのか?」

新太郎は、ドアを開けた。

「いない。」

胸騒ぎを感じ、階段を駆け下りリビングのドアを開けた。

「凛!」


「あら、どうしたの?」

キッチンに立つ凛の母が不思議そうにしている。

「凛は?」


「ひよりちゃんの家に泊まるとか言って出かけたわよ?」


「あ、ありがとうございます!」

新太郎は、家を飛び出した。


「もしもし!涼か?」


「どうした?デートの邪魔するんじゃね〜よ。」


「デート?じゃ、じゃあ、今ひよりちゃんといるのか?」


「あぁ、今日はひよりの家に泊まる予定だ。」


「凛は?凛も泊まるのか?」


「ん?凛ちゃん?そんな事は聞いてないが?」


「分かった!」


プープー。

「何だ?良く分からん奴だな。」

涼は不思議そうにしながらひよりを見つめた。



「ハァハァハァ。どこ行ったんだよ!」

新太郎は、凛の行きそうな所を探し続けた。

「電話もでねーし。」

走り続けて体力の限界に達した新太郎は、公園のベンチに座った。

「・・・凛。」

新太郎は、少し休むと、トボトボと家へと歩いて行った。


「ただいま。」


「こんな時間までどこ行ってたんだ?」

リビングで待っていた両親は、心配そうにする。

「ちょっと。」

新太郎は、まだ話せない、凛と一緒に話そう。そう思って、誤魔化した。

「ご飯は?温めようか?」

凛の母は、立ち上がろうとする。

「あ、大丈夫です。ありがとう。」

新太郎は、コップに注いだお茶を飲み干すと、トボトボと階段を上がった。


バタン。

ベッドに倒れ込み、目を閉じた。

「・・・凛。」


ゴーー!

家の前をトラックが通ったのだろう、大きな音で新太郎は目を覚ました。

「あぁ、もう昼か。」

トントントン。

新太郎が体を起こすと、ドアを叩く音がする。

「はい。」


ガチャ。

「お兄ちゃん。」


「凛!どこいってたんだよ!」


「うん。あのね・・・もういないよ。」

凛は、涙を流しながらお腹をさする。


「えっ?」

新太郎は頭の中が真白になり、言葉が出ない。


「ごめんね。もう大丈夫だから。」


「い、いや、俺は・・・。」

新太郎の目尻からも涙がこぼれる。


「じゃ、じゃぁ疲れたから少し寝るね。」


「・・・あ、あぁ。」


凛は自分の部屋へと入っていった。


凛が部屋を出た後、新太郎は放心状態でベッドに座っていた。

長い時間、そうしていた。

「ダメだ。少し散歩にでも出て、夜風に当たろう。」


新太郎は、ヨレヨレと歩きながら、河川敷を歩く。

「俺は・・・取り返しのつかない事を。

あの時もっとちゃんと話していれば。」

後悔が新太郎を押しつぶそうとする。

「月が綺麗だな。」

新太郎は、流れそうな涙を堪える様に、空を見上げていた。


新太郎は、もう遅いと思いながらも、自分の気持ちを凛に伝えるべきだと思いたった。

家に帰ると、まっすぐ凛の部屋のドアの前に立った。

トントントン。


「凛、まだ寝てるのかな。」

新太郎は、凛の部屋のドアを開けた。


「凛?いない?」


新太郎は、凛に電話をかけた。

ブー、ブー、ブー。

「えっ?」

凛の部屋の机の上で、凛のスマホが鳴っている。

部屋を見回すと、いつも机の横に置かれていた大きな旅行用のカバンが無い。

「まさか!?凛!?」

新太郎は家を飛び出した。


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