↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スローライフ悪役令嬢は、王子の溺愛に気付かない。  作者: ラズベリーパイ@天安門事件


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
92/99

本当の年齢が分かった

 コミヤの本当の年齢が分かった。

 65歳らしい、のだが。


「……その歳でそこまでしわしわになるのかしら」

「この国に残っているコミヤ関係の資料ではそうなりますね。ただ、それ以前の記録がないため、もっと年齢がいっている人間……人間? なのかもしれませんが」

「もっと歳のいっている人外の存在……じゃあ、やっぱり……」

「やっぱり?」


 そこでトレドが不思議そうに聞き返してきたので、先ほどのグド王子と出会った出来事と、クロトから聞いた話を伝える。

 それを聞いたトレドが、


「そう言えば昔、そういった“悪魔”と呼ばれる人物達を追いかけている集団に遭遇したことがありましたね。一番の目的の人物はいる物の、それよりも弱いながらも似た能力を持ち、“破滅”をもたらす輩を排除しているとか何とか……」

「その人達とは連絡が取れる?」

「……一度で会ったきりでしたからね。あの時はヘレンもいなくて俺一人だったので大変だったな~。あ、でも魅了に耐性があるから一緒に来ないかって言われた記憶がりますね。操られませんでしたし。あ、その人達の出身国は聞いたので分かりますよ」


 というわけでその国や、クロトが聞いたらしい国は同じで、他にもうわさとして聞いた話などをまとめると、現存している範囲で5つくらいの国からコミヤは追われているのかもしれないという事が分かった。

 それらやグド王子の事も含めて、都市の方で再び調整するらしい。

 また、それらを聞いていたシルフが、トレドと一緒に席を外す。


 内緒話が気になったが、シルフに、


「リズは今日、何のお菓子を作る予定なのかな?」

「ムースでも作ろうかと思っていたの」

「楽しみにしているね」

 

 そう微笑まれてしまったのでそれ以上何も聞けなくなってしまう。

 けれどそこでふと思う。

 私はシルフの事を、シルフとここずっと一緒に居るけれどほとんど知らない。


 家族構成も妹がいる、といった話しか知らず、都市のどこに住んでいるのかもしれない。

 でも一緒に居るのはとても楽しい。

 もう会えなくなるのだから、もう少し聞いてみた方がいいのだろうか?

 

 否、もう会わないのだから未練がましく詮索するのはやめよう。

 この、私がシルフを“好き”というこの“恋”も“想い”も、もうすぐ、全て置いていかなければならないのだから。

 辛いけれど、それは仕方がない事なのだ。


 でも、キスくらいはねだっていいだろうか?

 そんな甘い考えが私の中に浮かぶけれどすぐにそれを振り払う。

 今はそれどころではないし、それだったなら今を楽しむ方が一番いい。


 これから懐かしくて輝かしい過去の思い出になるように。

 だから喜んでもらえるよう、私はムースを作っていく。

 今後この村を離れることになっても、他の誰かやサナ達が作れるようにレシピは置いておく。


 中途半端になってしまったけれど、引き継げる人が困らない程度に書置きを残しておくことにした。

 そう思いながら私がお菓子を作っていると、疲れたようなトレドと、珍しく真面目な顔をしたシルフが戻ってくる。

 何を話したのだろうと思って聞くとトレドが、


「……皆さん人使いが荒い気がする。リズのご両親も含めてですが」

「え、えっと……今日はトレド、どれくらいここにいるのかしら」

「転送の人がここしばらく忙しかったので少し休みたいと言っていましたから今日の夕方ごろですかね」


 そう答えたのだった。









 時間は、リズとグド王子が出会った少し後にさかのぼる。

 戻ってきたグド王子の様子に、コミヤは気づいた。


「なんでこの魔法が発動しているのかしら。……リズ、本当に邪魔ね。そして新しい婚約者? 何処までも“幸運”な女。……私、ああいった女嫌いなのよね」


 そう呟きながら、カリッと一つ、白い粒をかむ。

 昔よりも偽装をするのが難しい時代になり、隠れられないのはストレスがたまる。

 罠にかけ、貶し、突き落とす……それでも今だに生き残り、再びいつものように紛れ込み甘い生活を甘受する。


 今回だって上手くいったはずだった。

 まだしばらくは良い思いが出来るはずだった。

 数年数十年たってようやく追い落とされる、けれどその時には次の場所も作る時間は十分にあって……なのに。


「今回は一月もない。忌々しい。……しかも新しい婚約者に別の援助があるかもしれない。まだ、次の居場所は出来ていない」


 こんな早くに、ここまで状況が悪化するなんて思わなかったとコミヤは呟き、また一つ、白い粒を口に入れる。

 一粒では足りないからもっとというと、医者は止める。

 だが、足りないのだから仕方がない。


 大人しく言う事を聞かせた。

 そして今はこうして飲んではいるが、


「気に入らないわ、あのリズという小娘がっ……そう、でもここは辺境の地。人は少ないわね。このグド王子を惑わす愚かな女は、目障り。この私に楯突くなんて、数百年早いわ」


 そう、コミヤはにたりと赤い唇をゆがめたのだった。

評価、ブックマークありがとうございます。評価、ブックマークは作者のやる気につながっております。気に入りましたら、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。