侵入者
いつものようにムースを作って、そして孤児院の子達に渡す分は、ムースケーキにし、トレドに渡した。
また、村長さんの所にも味見も兼ねて送る。
他にもレシピ関係を幾つも書いたものを渡しておき、村長さんにはもしかしたらまた都市に戻ってしまうかもしれないので、作り方を渡しておくと告げる。
それを村長さんは残念がっていたが、公爵令嬢としての立場による理由でと説明したので、それ以上は強く言えなかったのだろう。
こうして私は本日の予定を終了し、トレドはまた明日来ると言ってくれた。
また明日話を聞けるだろう。そして、
「これから俺も忙しくなるな」
「? シルフ、どうしたの?」
「……いや、妹の婚約の件も絡んできていて」
「……寝取った女からさらに寝取る話だったかしら」
「うん、妹はやる気でね。なんでも昔で会ったその人物が忘れられないのだそうだ。寝取ったなら私も寝取ってもいいわよね、という論理らしい」
「……逞しいわ。私もそれくらい強ければよかった方がいいのかしら」
だからと言ってあのグド王子を取り返してもな……という気がしないでもない。
するとそこでシルフが焦ったように、
「いや、そこは強いとかそういった問題ではないかな」
「……うん、そうかな。でもシルフ、何で焦るのかしら」
「……俺は今のままのリズがいいんだ」
「そうなの? そうそう」
といった話をして、今日はお菓子を一つ作って、今度はこの村にある謎の形の岩を見に行こうと誘われる。
なんでも自然にできた岩なのだが、筋トレをしているムキムキの男性の形に見えるらしい。
そんな変わったものがあるらしいので一緒に見に行くことに。
「どうせならお菓子を作って、それと飲み物を一緒にもって遊びに行きましょう」
「うんうん。あ、今日もヘレンはついてこなくていいから」
シルフがさらっとヘレンにお断りを入れる。
それにヘレンはむっとしたようだがそれ以上は何も言わない。
ヘレンももうすぐ私がシルフと“お別れ”だから、放っておいてくれているのかもしれない。
そう思っているとそこでシルフが、
「最近リズは俺が送った香水をつけているんだ」
「……何日も前からつけていたのだけれど」
「うん、気づいてた」
そう言ってシルフは笑うがそれ以上は言わない。
この線引きが、私には胸が締め付けられるように感じるけれど、仕方がない事だ。
だから私は諦めて、今日は何を作ろうかといった話に。
暑いから氷の魔法を使ってアイスクリームはどうだろうといった話になる。
果実を使ったものかそれとも、クリームの美味しさを楽しむものにするか、どちらがいいだろうといった話をしていると、突然扉が開かれた。
ノックもせずに突然入り込んできた人物達。
顔も隠していて、そして武器を手にしている。
そう思っていると窓からそういった格好の人物達が更に入り込んできている。
この人達は一体……と思っているとその視線が私に注がれているのに気づく。
そんな私を守るかのようにヘレンとシルフがまず立ちふさがり、そのシルフの方にサナとクロトが、彼を守るように移動している。その様子に私は違和感を覚えているとそこで、その侵入者の一人が、
「公爵令嬢リズ様、貴方のお命を頂戴します」
そう告げたのだった。
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