何か分かったの?
私の問いかけにクロトは目を瞬かせる。
魔法の中では禁止されているものもあるが、人の心を操り人形のように掌握してしまえる魔法は、今まで聞いた事がない。
今までそういった魔法は普通では使えない物で禁断の魔法でも存在していないと習った記憶がある。
もしも使えるのならば特別な“祝福”のような“呪い”なのかもしれない。
そんなものが実在するなんてと私は思いながらさらに、変身といった美容関係の魔法もそんなものは一般的ではない。
その魔法さえあれば幾らでも外見が整えられるならば、化粧どころか、自分の望んだ顔も思いのままだろう。
けれど化粧が存在する現在、そんなものは存在しない、と思われていた。
そこで聞いたクロトが、
「人心掌握魔法に変身魔法ですか……一般に知られている魔法や、禁断の魔法の類で使えるものはありません。……禁止薬物の類で、人のいう事をよく聞くようになるものはあるにはありますが、依存性が高いのと、そこまで都合よく操作はできませんね」
どうやらクロトも知らないようだ。
やはりグド王子に感じたものや私が見たものは、見間違いだったのだろう。
そう一人で納得しているとそこでクロトが呻くように、
「ただ、そういった能力を持った“人物”の話は聞いたことがあります。それを人間と言っていいのかどうかわかりませんが」
「! 聞いた事があるの!?」
「ええ、幾つかの国が、数百年にもわたって追い続けている“悪魔”の話をご存知ですか? まるで御伽噺のようですが、幾度となく表れる怪物だそうで」
「……聞いた事が無いわ」
「そうですか。どこもこの国から遠い国の話ですからね。それは“貴族令嬢”として入り込み、国を幾度となく破滅させたり、傾かせたりしてきたそうです。残酷な人物ですが、近代になるにつれて膨大な量の“情報”が本なりなんなりで蓄積されるようになって、そこまで派手な悪事はしにくくなっているとかなんとか……けれどその“害虫”は必ず潰すと追っている人達がいるそうですよ」
「そ、そんな人物が……」
「けれどまさかそんな物語のような話があるとは思えずそこまで詳しく聞いていなかったな……聞いておけばよかった」
そう呟いたクロトだがその背後に誰かが立った。
「クロト、今の話、少し詳しく俺にも聞かせてもらえないかな」
「ひぃいっ!」
現れたのはシルフで、そのままクロトを引っ張ってどこかに連れて行ってしまう。
話をするならここでもいいのではと、シルフ達が見えなくなって私は気づいたが、その時には追いかけることが出来なくなっていた。
何故ならトレドがやって来たからだ。
「リズ様お久しぶりです。何かありましたか? こっちは凄く忙しいですよ……リズ様のご両親は人使いが荒いですよ~」
「それだけトレドが優秀なのよ。それで、何か分かったの?」
「分かったと言ってもこれからのリズ様の婚約関係が重要な部分を占めていますからね……コミヤ関係で分かった事は、コミヤはどうやら分かっている範囲では65歳らしいといった所でしょうか」
そうトレドは私に言ったのだった。
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