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いや、見た目で物事を判断してはいけない

 やって来たクロトとサナの家には、トレドはまだ来ていなかった。

 それに落胆しながらも私はシルフを探すも、シルフもいない。

 最近用があると言って、家からいなくなってしまう事が多い。


 何をやっているのか分からない。

 そして追いかけても途中で見失ってしまう事が多い。

 先ほどの不安をわかって欲しかったけれど、何処にもいないようだ。


 それを残念に思っているとサナが、


「リズ、どうかされたのですか?」

「いえ、グド王子にあってしまって、ちょっと気分が悪いだけ」

「……何をしに、ですか? 復縁をまた迫りに来たと?」

「ええ、それもあったわ」


 そう答えた私にサナは、ある事に気付いたらしい。


「……復縁も、って、他に何かあったのですか?」

「別の婚約話を知ったみたいなのよね。私とその“リザール国”の王子様との」

「……早すぎませんか? 普通は手紙などによる知らせで……ぎりぎり届くか届かないかといった所でしょうが、この村は夕方に郵便が来るのでまだ無理のような気が」

「私もそう思ったわ。でも彼は知っていた。それに……」

「それに?」

「私に復縁をと言っておいて、コミヤを“信頼”しているようにも見えるのよね」

「? 復縁を言ってきているのに?」

「ええ、まるで何かの私事を受けた人形のように、そう反応していたわ」


 私がそう答えるとちょっとサナは考えてからヘレンに、


「ヘレンさんは魔法関係には詳しかったりしますか?」

「魔法も含めた情報関係はトレドに全てお任せしていましたから、私が使えるのは基本的に身体強化系です」

「そうですか。クロトはさっき畑に行ってしまったのですよね……私が知らいほどの魔法となると、クロトに聞かないと……あら、丁度帰ってきました。忘れ物をしたのかも!」


 そう言って窓の外の様子に気付いたサナがそう言って玄関の扉に向かう。

 本当にクロトが好きなんだなと見ていて微笑ましい気持ちになっていると、そこでクロトが入ってきて、


「つい、植物の成長を助ける薬を忘れていた。リズには負けていられないから作ってみたが……うん」

「え、えっと……」

「リズの使った魔法を参考に魔法薬を作ってみたから試そうと思ったんだが、いえに置いてきてしまって……そうそう、この紫色と緑の濁った液体、これだこれ」


 そう言って嬉しそうにそれを持って何処かへと行こうとするクロト。

 だがあんな色の毒々しいあれを畑にまく気なのか? いや、見た目で物事を判断してはいけない……そう私が思ってみているとそこでクロトが、


「あ、折角だからリズとサナ、ヘレンさんも一緒に来ないか? どっちの魔法が優れているかを比較して、その気づいた点を魔法薬に反映させたいんだ」

「うーん、リズ、どうですか?」


 サナに言われてそれは構わない、と答える。

 何せ今この家にはシルフもいないのだから、お菓子を作ってもいいが少し留守にするのは構わないだろうと思ったのだ。

 だから頷いた私だが、そこで何かを忘れていることを思い出した。


「あの、クロト、一つお聞きしていいですか?」

「なんでしょう?」

「人の心を操って貴族たちに入り込む……そんな魔法がありますか? 変身もできるような魔法とか……」


 そう、私は問いかけたのだった。



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