作りすぎてしまった気がするわ
沢山作ったビスコッティなどを紙で包んでいく。
簡易的な包装にして食べやすいようにした。
先ほど作ったフィナンシェは一つづつ。
私が作ったビスコッティは薄めであるため、複数枚をまとめて包む。
幾らかサナ達の分を残して、シルフに手伝ってもらい紙に包んでいく。
そうして明日販売する分を、紙の袋数個分作り上げてから、
「これ、全部売り切れるかしら。作りすぎてしまった気がするわ」
「余ったら俺が全部もらっていくよ」
「サナ達や、うちの屋敷の人達の分も残しておいてね」
といった話をシルフとしていると、サナ達が戻ってきた。
それからコーヒーを入れて菓子を楽しんだろしつつ、すでにケーキ屋兼喫茶店の準備が整ったと聞く。
これで生菓子の提供をする場は整った。
「そういえばサナ達は喫茶店で、軽食も出すの?」
「出してもいいのですが、それをするとこの村の商店街からも遠く離れたこの場所では……ちょっとした際物でないと、来てもらえないかもしれないのでやはり止めることにしました」
「そうなの? でも際物?」
「パスタにチョコレートソースを絡めたような感じでしょうか」
「……私は苦手かも」
「話の種にはなりそうですが、この村の人口も来る人も少ないので、まずは美味しいものを少しづつにした方がいいとクロトが言っていました」
「クロトが?」
「ええ。そういった方面は私よりもクロトが得意なんですよ」
「そうなの」
「リズが疲れてどうにもならなくなっても困りますし、それに量が少ない方が希少価値が高くなるので特別感がますそうですよ」
そう言って、サナが笑う。
こういった事はクロトの得意分野なんですよ、そういった所も好きなんです~、といった惚気をそのまま聞いていた私。
そして先ほどから延々とヘレンはビスコッティをカリカリ食べてコーヒーを飲んでいる。
一番働いていたので、お腹が空いているのかもと思ってみていたが、そういえば彼女にはこれを作ってプレゼントをしたことはなかったのを思い出した。
もしかしたならすごく気に入っているのかもしれない。
などと思っているとシルフがやってきて、
「そろそろ夕暮れだし送っていくよ」
「え? もうそんな時間? ……お菓子はこのまま明日までここに置いておいていいかしら」
「いいんじゃないのかな? サナ、クロト」
「「もちろんです」」
びくっとクロトとサナがして同時にこたえた。
やっぱりこの二人、シルフへの態度が少し変な気がすると思う。
そう思っているとヘレンが立ち上がり、
「では私もお暇します。コーヒーのカップは洗って……」
「あ、それはこちらでやっておきます。どうぞ」
そう言ってサナがヘレンは私とすぐ帰れるようにしてくれた。
それから別荘へと帰る途中、シルフがこんな事を言った。
「リズ、明日の菓子の販売は、リズは隠れているのはどうかな」
「? どうして?」
「……作り手が秘密の方が楽しいかなと思って」
「でも美味しく頂いている人達の感想が直接聞ける機会でもあるから」
「そうか。そうか……そうだな。うん、俺も“頑張らないと”な」
「? シルフがいてくれるだけで心強いから、私はシルフと一緒に販売したいな」
「……うん、分かった」
そこでシルフは、何かを決めたような目で頷き、別荘に私達を送っていつものように帰っていったのだった。
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