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スローライフ悪役令嬢は、王子の溺愛に気付かない。  作者: ラズベリーパイ@天安門事件


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お菓子を焼きました

 シルフに呼ばれて次のお菓子を作ることになった。

 そのお菓子は、ビスコッティである。

 クッキーのようなお菓子だ。


 今回は、シルフの希望によりチョコレートが入る。

 何枚か購入したいたチョコレート、それを砕く。

 そこそこ形が残っている方が食べた時にチョコレートの感触があり嬉しいだろうと思って、爪の大きさの半分位で砕くのを止める。


 細かすぎても練り込まれて、入れるのはココアでも良かったんじゃないだろうか? といった風になるのは避けたかったからだ。

 口に入れてサクサク噛みしめた瞬間舌の上でとろりとチョコレートがとろける感触を味わって欲しい、というか、


「そうやった方が美味しかったのよね。だから自信を持って、おすすめが出来るわ」


 そう、以前作った時の事を思い出しながら私は砕いたチョコレートを皿の上に移す。

 これで後は生地にざっくり混ぜればいいだけだ。

 そう思って次に混ぜる予定の、“ノワクルミ”という木の実を取り出す。


 クルミの一種である“ノワクルミ”はここの地域で採れるものであるらしい。

 やや小粒だが、いると香ばしい香りがして、噛みしめると濃厚な気のみの味がする。

 これをチョコレートと合わせると、堪らない一品になりそうだと思ったのだ。


 そう思いながら私は、生の“ノワクルミ”をフライパンで炒っていく。と、


「俺は何かする事がないかな」

「うーん、じゃあ、小麦粉をふるっておいてもらえるかしら」

「どれくらい?」

「そのカップ二杯分くらいかしら」


 と言ってすぐそばにあった陶器のカップで小麦粉の量をお願いする。

 粉ふるい。

 毎回やってはいるが、地味に面倒な作業だとは思う。


 しかも振っている間もふわふわと金色の小さい光が宙を舞う。

 綺麗だと思っていたそれがまさかこんな事になっているとは、と私は最近知った祝福関係の話を思い出してそっとため息をついた。

 私にまさかそんなものがあるなんて、と思いながら振るってもらった小麦粉やシロップなどを混ぜて生地を作っていく。


 そして、“ノワクルミ”とチョコレートを入れてざっくりと混ぜて寝かせて、それをひとまとめにした状態でオーブンに入れて焼く。

 ほんのり香ばしい匂いがオーブンから漂う。

 その頃に一度取り出して、今度は薄くそれを切っていく、のだが。


 厚さは好みによるが、私は薄くした方がサクサクした歯ごたえがとてもよく感じられて好きだ。

 でも、シルフはどうだろう?


「シルフ、ビスコッティは厚めの方がいい? 薄い方がいい?」

「うーん、そこは気にして食べた記憶がないな」

「だったら薄い方でいいかしら。私はそちらの方が好きなの」

「リズの好きな方でいいよ」


 シルフにそう言われて、私は薄く切っていく。

 そしてそれを鉄板に並べてオーブンに入れ、もう一度焼き上げる。

 後は待てば、美味しいビスコッティの完成だ。


 そして、先ほどよりも小麦のお菓子が焼きあがる優しい匂いがして、そこで私はオーブンから取り出し、冷ます。

 これで完成と思った所で、シルフが一つそれをとる。


「まだ熱いわよ?」

「大丈夫! もぐもぐ……味が分からなかったのでもう一枚」


 そう、美味しいのでもう一枚と、シルフに私は言われたのだった。


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