飾ると綺麗ですよね
結局その花をつけたまま私達は再びサナ達の家に戻った。
その時、帰ってきた事をサナ達に告げようと思って、その家の端の方をのぞくとそこは、埃一つなく綺麗にされた部屋というか喫茶店になる場所があり、その中でただ一人ヘレンだけが箒を片手に立っていた。
ちなみにサナとクロトの二人だが、サナの方は壁に寄りかかる様に生気のない瞳で座り込んでいて、クロトはうつ伏せのまま床に転がり、片方にはぞうきんを、もう片方の手は、床に水らしきもので“犯人はヘレン”と書かれていた。
いったい何がここであったのか。
凄惨なその現場に私は足を踏み込むと、くるりとヘレンが振り替えsつて珍しくいい笑顔で、
「おかりなさいませ、リズ様」
「え、ええ……綺麗になったわね」
「はい。以前、手合わせをお願いした時に、お二方の力量を確認しまして、それを“最大限”発揮できるようにコーディネートいたしました」
「そ、そうなの……二人とも大丈夫かしら」
「一晩寝れば大丈夫だと思います」
ヘレンの答えを聞きながら、この明るいうちに一晩寝ないといけないくらいにつかれているのかと私は思った。
けれどこの綺麗さは想像以上だとは思う。
何でも屋をトレドとやっていた時もこういった新しいお店の新規開店のお手伝いをヘレンはやっていたがために慣れているのだろう。
このヘレンという私のメイドは私よりもハイスペックなのだ。
さすがはメイドさんだ。
ただ、サナとトレドは大丈夫だろうかと思って、クロトの方はシルフに任せてサナの方に向かうと、濁った眼で私をも上げて、
「……私はもうだめです」
「だ、大丈夫。頑張って起きて!」
「無理です。まさか、あんな……あんな……」
うわごとのように呟くサナ。
いったいここでヘレンは何をしたのだろう?
そんな風に思って私はとりあえずサナをここに座らせておくのもアレなので手を握ると、はっとしたような顔になった。
「疲労が消えた?」
「え? そうなの? でも私はさっき疲労したら、シルフに魔法で癒してもらったけれど」
「え? あのシルフさ……」
驚いたようにサナが何かを言おうとした所で、
「ひぇいいいいいい」
クロトの悲鳴が聞こえた。
見るとクロトが怯えたように体を震わせながら立ち上がっている。
そこでシルフが相変わらずの笑顔で、
「クロトは起こしたよ」
「……シルフさ……今の話はあんまりではないでしょうか」
「クロトの弱点は俺は知り尽くしているからな」
「……そうでしたね、ええ、昔から。しくしく」
悲し気に呟いたクロト。
のろのろと歩きながら私達の方、正確にはサナの方に向かってきて、そこで私の顔を見てあれっといった顔になる。そして、
「その頭につけている花は……」
「綺麗でいい匂いがするでしょう? シルフが花を摘んで私にくれたの。気にまで登ってくれたて……」
「……その花の意味はご存知ですか」
「? 何か意味があるのかしら」
「いえ、飾ると綺麗ですよね。私もサナにとって飾ってあげましたから」
「そうなんだ」
「……ええ」
そうクロトは微妙そうに言う。
どうしたのだろうと思った私だけれど、早く次のお菓子を作ろうとシルフに呼ばれて、私はそちらに向かったのだった。
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