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エピローグ

 今日もいい天気。

 さてと、護がロードワークから戻ってくる前に朝御飯の準備しないと・・・。


 私は、ベッドから這い出ると、手早く身支度を整えて、キッチンに向かう。


 今日は、何にしようかなぁ・・・。

 焼き魚とサラダに豆腐の味噌汁、ご飯かな。

 朝食の準備をしながら、お弁当も一緒に作る。

 三人分のお弁当箱を用意して、バランスよく並べていく。


「よーし。出来た」

 私は、お弁当箱の蓋をして包む。

 二人を起こさなきゃ・・・。

 私は、子供部屋に行き、子供たちを起こす。


「響、かなで。起きなさい!」

 五歳になる双子は。

「「ママ・・・まだ眠いよ・・・」」

 って、目を擦りながら言う。

「ダメ。もうすぐパパも帰ってくるから、皆で朝御飯食べよう」

 私は、グズル双子を叩き起こして、支度をさせる。

「ただいま」

 玄関から声がする。


 私は、急いで玄関に行く。

「お帰り、護」

「子供たちは起きた?」

「まだ、半分寝てるかも・・・」

 そう答えると、護は。

「仕方ないなぁ・・・」

 そう言って、子供部屋に向かう。

 私もその後を付いていく。


「こら、響きもかなでも、早く起きないと遅刻するよ」

 優しいパパなんだけどね。

 でもね。

 ちゃんとメリハリがあるから、頼れるパパなんだよ。

 双子が悪いことすれば、ちゃんとしかってくれるし、子供の言い訳もしっかりと聞いてくれる。

 教師をやってるからなのかもね。


「二人とも。パパがシャワーを浴び終わる前に、支度を終わらせるんだぞ。で、一緒に朝御飯を食べよう」

 二人に言い聞かせて、バスルームに向かう。

 その間に双子は、テキパキと動き出す。


 護は、言う事を聞かない子供には、お説教し始めるのだ。

 二人は、それを聞きたくないがために、動くって感じ。

 最初からやればいいのに・・・って思うんだけど・・・。

 そこは、子供だから仕方ないかって思う。

 二人は、顔を洗い終えると、バタバタとダイニングの自分の席に座る。


 護がシャワーを終えて、ダイニングにやって来る。

「おっ、二人とも偉いなぁ。ちゃんと座って待っててくれたのか」

 二人に笑顔を向ける。

「「パパ、ママ。おはようございます」」

 双子は、同時に挨拶する。

「おはよう。さぁ、ご飯食べよう」

 私は、茶碗にご飯をよそっていく。

  護が、味噌汁をよそう。

 私たちが、席に着くと。

「いただきまーす」

 元気な声で言う双子。

 なんか、嬉しいな。

 色々あったけど、こうして、家族揃って食事するのって・・・。



「詩織。今日の予定は?」

 護が聞いてきた。

「今日は、一日お休みもらってるから、家の事やっておくね。途中で、仕事が入った時は、お母さんに頼んでおくから、その時は、メールする」

「わかった」

 結局、私は子供を生んでからも歌うことをやめられず、護に背中を押されて、優兄の押しもあって、歌手として活動してる。

 だから、双子には、寂しい思いさせてるなって、思ってるけど、双子はそれを微塵も感じさせないほど、素直に育ってくれてる。

 これも、護やお母さんのお陰だと感謝してる。


「ママ・・・」

「うん?」

「今度、ライブやるんだよね。わたし、行きたい!!」

 かなでが言う。

「あ、ずるい!僕も行きたい」

 響きも言い出す。

 二人とも、最近は、私の仕事に興味があるみたい。

 よく一緒に行きたがる。

「そうだなぁ。二人がお利口さんに出来るって約束するなら、連れてってもいいかなぁ・・・」

 私がチラリと二人を見ると。

「かなで、お利口さんにしてるから・・・。ママ連れてって・・・」

「僕も、おとなしくしてるから・・・。お願い、連れてって・・・」

 二人とも必死だ。

 もう、可愛いたら無い。


「詩織。そんなこと言っていいのか?」

 護が、心配そうに言う。

「うん。今度のライブは、シークレットゲストに優兄が出るんだ。だから、幸子ちゃんも遊星くんも来るしね。久し振りに会わせてあげようかなぁって・・・」

「そう言うことなら・・・」

 納得してくれる護。

「それにね。いろんな事に興味を持つ時期になってきたことだし、親の仕事を見学するのもいい刺激になるかなって思うんだよね」

「ママ、何、パパと話してるの?」

「内緒話はダメだよ」

 双子が、私たちを交互に見る。

「パパが、二人の事が心配なんだって」

「「何で?」」

 二人が、声を揃えて言う。

「パパに直接聞きなさい」

 って、私、意地悪かな。

「パパ、何で心配なの?」

「何で、何で・・・」

 連呼する二人。

 あたふたしてる護を見ながら、私は一人クスクス笑うのだった。



「護。遅刻するよ」

「おっと、ヤバイ」

 私は、護にお弁当を渡すと、それを無造作に鞄に仕舞い込んで。

「行ってきます」

 慌てて出ていく。

「行ってらっしゃい。響、かなで、準備できた?」

「「うん」」

「じゃあ、行こうか」

 私は玄関を開けて、二人を外に出す。

 鍵をかけると、片方ずつ双子の手をとる。

「久し振りに、ママと一緒」

 二人が、ニコニコ笑顔で言う。

「そうだね。いつも寂しい思いさせてごめんね」

 私が言うと。

「「全然寂しくないよ。だって、幼稚園じゃ、自慢のママだもん」」

 双子が同時に言う。

 嬉しくて、思わず二人を抱き締めた。

「ママ、苦しいよ」」

「ありがとうね。ママの元気の元は、あなた達だから・・・」

「本当?」

「本当だよ。あなた達の笑顔が、一番の元気の元だから、今日も一日元気で、遊んでらっしゃい。そして、一杯お話聞かせてね」

 私は、二人の目線に会わせて、笑顔で言う。

「うん。ママが元気になれるなら・・・」

「僕たち、一杯笑うから」

 笑顔で答えてくれる。

 もう、こんなに素直にいてくれるなんて、私には、勿体ないくらいだよ。

 仕事の事に理解を示してくれてる、護とお母さんにほんとうに感謝しないといけないよね。



 たった一つの想いが、こんな幸せに導かれるとは、思わなかった。

 色々なことを経験して、乗り越えたからこそ、今があるんだって、実感してる。


 この子達の笑顔を守るためにも、一生懸命頑張りたいと思う。


 私の大切な宝物だから・・・。




 そして、ずっと傍に・・・。

一様、完結です。


今まで、読んでいただきありがとうございました。





このあと、番外編が一本あります。


よろしければ、この後もお付き合いくださいね。



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