夜の宴
「最近、街に出てみているのですが。
この国はほんとうに豊かで楽しいですね」
その夜は王宮の庭で宴が催されていた。
相変わらず、謎の楽器ばかりで演奏している。
音もなんだか不思議だ。
ぷも~とか、ぱも~とか鳴っているように、寧々子には聞こえていた。
月がなければ、ほぼ暗闇、みたいなこの世界だが。
さすがに王宮は違っていた。
今もあちこちに篝火などが置かれ、昼のように明るい……
いや、……ちょっと電球の切れかけた古い日本家屋の玄関くらいには明るい。
これで精一杯の明るさだもんな。
コンビニって、眩し過ぎない?
と今改めて思ったが、あの灯りが、寂しい夜に見るとホッとするのも確かだった。
ただ、コンビニの前とか上とかに住んだら、明るいわ、騒々しいわで大変なことになるのだが……。
コンビニは遠きにありて思ふもの――。
そんなことを考えているうちに、ちょっと離れたところにある広い場所で、変なお面を被った人たちがなにかをはじめた。
どうも芝居をやっているらしいが、お面の表情が『無』すぎて怖い。
このお面を見ながら、声色に合わせて感情を読み取れと言うのだろうか。
古代のお芝居、難しすぎるっ。
お面のせいか、声がよく響く中、寧々子と王様は相変わらず、
これは寝た方が良いのでは……?
という感じの椅子に腰掛けていた。
左右から煽いでくる人たちも相変わらずいるのだが、王様を煽ぎたい人と寧々子を煽ぎたい人が入り乱れて大変なことになっていた。
それでも、四人は精一杯そよそよとした心地よい風を送ってくれようと頑張っている。
……飴か焼き菓子でもあげたい気持ちだが、今、そんなことしたら邪魔だよな、と思う寧々子に王様が言う。
「寧々子よ。
外に出るときは充分気をつけよ。
今は治安も落ち着いているが、この国は荒れやすいのだ。
港が充実しているのはいいが、次々不審者も入り込んでくるから」
「では、港を打ち壊してはどうでしょう」
なんてこと言いやがる、という目で近くに控えていたジルが見ていた。
聞こえていたらしいベルカントなど孫にお菓子を食べさせる手も止まり、目を見開いている。
「この国、住みやすいから、悪人も住みやすいんじゃないですか?」
「では、国をアレさせたらよいのであろうか」
……どうしたらいいんだ、この夫婦。
両方討ち取るべきか、という顔でジルが見る。
どうでもいいが、夫婦のささやきもずっとみんなが聞いている暮らし、どうなんだ、と寧々子は思った。




