表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生少女はテンプレを望む改!!  作者: parade


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/31

第24話「野営と、星空と、焚き火のこと」


日が傾いてきたころ、バルドさんが「今夜はここで野営にしよう」と言った。


街道脇の開けた場所に馬車を止めて、焚き火を作る。バルドさんが手慣れた様子で木を組んで火をつけた。


「野営……!!」


来た。焚き火を囲む野営シーン。異世界旅のテンプレ中のテンプレだ。


「嬉しそうね」とフィリアさんが笑った。


「好きなんです、こういうの! 焚き火囲んで、夜空見て、旅してる感じがして!」


「テンプレってやつか」とカイトが言った。


「そう!!……って、カイトくん覚えてたんだ」


「嫌でも覚える、何度も聞かされると」


バルドさんが干し肉とパンと野菜のスープを振る舞ってくれた。外で食べるご飯は、なぜか格別に美味しい。スープの湯気が冷えてきた夜風の中に立ち上がって、なんとも言えない幸福感があった。


「バルドさん、クレインには何を届けるんですか?」


「香辛料だよ。テンパレスじゃ手に入りにくいものが、クレインでは安く手に入るんでね。逆もしかりで、こういう往復商売が飯の種さ」


「商人のテンプレ……!!」


「?」


「カッコいいってことです!!」


バルドさんは豪快に笑った。


食事が終わって、焚き火を囲んで四人でぼんやりしていると、フィリアさんが静かに歌いだした。


言葉は分からない、エルフの古い言葉らしかった。でもメロディが美しくて、焚き火の音と夜の虫の声と混ざり合って、なんだか胸のあたりがじんとした。


「綺麗……」


「エルフの旅歌よ。旅が無事であるようにって意味の歌」


「いい曲ですね」


「百年歌ってるから上手くなったわ」


焚き火の向こうでカイトが空を見ていた。


この前の夜、噴水広場で一緒に星を見たときと同じ横顔だ。


「カイトくん」


「何だ」


「クレインに着いたら、どうするの?」


しばらく間があった。


「……人を探す」


「人を?」


「昔、別れた人がいる。その人に会いに行く」


「……大切な人?」


「……ああ」


それ以上は聞かなかった。


焚き火がぱちぱちと音を立てた。フィリアさんの歌が続いていた。バルドさんがいつの間にか寝ていた。


旅の夜はゆっくりと更けていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ