第22話「旅の仲間と、出発の朝」
護衛依頼の出発は一週間後だった。
その間、私は依頼をこなしながら旅の準備を進めた。といっても荷物はほとんどない。着替え数枚、食料少し、短剣一本。それだけだ。
「荷物少なすぎないか」
カイトに指摘された。
「そんなもんじゃないの?」
「回復薬くらい持て。怪我したときに困る」
「あ、そっか……どこで買えばいい?」
「薬屋がギルドの近くにある。ミルって名前の店だ」
「知ってるの?」
「……前に買ったことがある」
カイトが教えてくれた薬屋は、小さいけれど品揃えが豊富な店で、若い女性の薬師が一人で切り盛りしていた。明るくてよく喋る人で、回復薬の種類や使い方を丁寧に教えてくれた。
「カイトと一緒に来たんですか? あの子、珍しいですね、誰かと一緒に来るなんて」
「そうなんですか?」
「いつも一人でさっと来て、さっと帰るんですよ。今日初めて誰かと来てるの見ました」
私はそっと回復薬を三本カバンに入れながら、カイトのことを考えた。
一人でいることが多くて、目的があって、でも何かを抱えていて。
それでもここ最近は、なんだかんだ私の隣にいる。
(……テンプレ的に言えば、これは……)
「何を考えてるんだ」
「!! な、なんでもないです!!」
「顔が赤い」
「寒暖差です!!」
「夏だが」
「季節のせいです!!」
カイトはしばらく私の顔を見てから「……よく分からん奴だな」と言ってそっぽを向いた。
よかった、誤魔化せた。
出発の当日。
ギルドの前に馬車が一台止まっていた。荷台には木箱が積まれていて、御者台に中年の男性が座っている。商人のバルドさんだ。事前の打ち合わせで会っていたので顔は知っている。
「おはようさん、護衛の皆さんが揃ったね!」
護衛は合計三人。私とカイトともう一人、エルフの女性だった。
背が高くて、白い長い髪を一本に束ねている。耳が長くて、目が明るい緑色で、なんというか全体的に「ザ・エルフ」という感じだ。
「はじめまして。フィリアといいます。よろしくね」
「私はサラです!よろしくお願いします!」
「カイト。よろしく」
フィリアさんは私たち二人を見て、ふふっと笑った。
「二人、仲良さそう」
「「そんなことないです」」
綺麗に揃ってしまった。
フィリアさんはまた笑って「じゃあ行きましょうか」と馬車に乗り込んだ。
馬車がゆっくりと動き出す。
テンパレスの石畳が後ろに流れていく。ハイルさんが門のところで「気をつけてね!」と手を振ってくれた。
「行ってきます!!」
初めての街の外、初めての旅。
これも立派なテンプレだ。




