第16話「ギルドランクアップと、テンプレの洗礼」
スライム五体討伐の翌日、ギルドに報告に行くと受付のお姉さんがにこにこしながら言った。
「おめでとうございまぁす! これでFランクへの昇格条件を満たしましたよぉ!」
「本当ですか!!」
「はぁい! 新しいギルドカードはこちらでぇす」
差し出されたカードを両手で受け取る。昨日までのGランクカードと見た目はほとんど変わらないけど、ランクを示す刻印がGからFになっていた。
「……ランクアップ……!!」
「よかったですねぇ」
「テンプレが……テンプレがついにッ……!!」
「???」
受付のお姉さんはよく分かっていない顔をしていたけど、私は構わずカードを夕日……じゃなくてギルドの明かりに向かって掲げた。
キラリと光る、Fランクの刻印。
感動のあまり涙が出そうになった。
「泣くところか、それ」
「カイトくん……! ランクアップしたんだよ!!」
「見てた」
「祝ってくれないの?」
「……おめでとう」
ぶっきらぼうだけど確かに言ってくれた。それだけで十分だ。
「ありがとう!!」
満面の笑みを向けると、カイトはそっぽを向いた。
(やっぱりツンデレ……)
その日の夕方、ルコの宿に帰って部屋のベッドに寝転がった。
Fランク冒険者、一ノ瀬咲空。
「……まだまだこれからだな」
天井を見ながらそう呟いた。Fランクの次はE、その次はD……。道のりは長い。でも、不思議と焦りはなかった。
この世界には、まだまだ知らないことが山ほどある。行ったことのない場所も、会ったことのない人も、見たことのないテンプレも。
「全部、楽しんでやる」
そう決めた夜だった。




