第12話「依頼完了と、ギルマスのこと」
ギルドに戻ると、受付のお姉さんが「お帰りなさぁい」とにこにこしながら迎えてくれた。
「依頼完了の報告に来ました! 青いシダ草、十束です」
「はぁい、確認しますねぇ~」
カウンターに草の束を並べると、お姉さんは一つひとつ丁寧に数えてから「確かに十束、問題ありませんよぉ」と言って報酬を渡してくれた。
銀貨五枚。
「……銀貨五枚!!」
「お疲れ様でしたぁ」
初めての依頼報酬だ。金貨と違って銀貨は小さくて軽いけど、なんかこっちの方が感動する。自分で稼いだ、という実感がある。
「テンプレ……! 初依頼完了テンプレ……!!」
「相変わらずうるさいな」
振り返るとカイトがいた。壁にもたれて腕を組んで、こちらを見ている。
「カイトくん! まだいたんだ」
「たまたまだ」
(絶対待ってた)
「報酬もらえましたよ! 銀貨五枚!!」
「Gランクならそんなもんだ。怪我はなかったか」
「ゼロ! 草採ってただけだし」
「まあGランクならそうだろうな」
カイトはそう言いながら、なんとなく安心したような顔をした。……一瞬だったけど、確かに見えた。
(やっぱりツンデレだ!!!)
「次はどんな依頼にするの?」
「明日考える。今日はもう疲れた」
「そっか。お疲れ様!」
「……お前も」
カイトはそれだけ言って、さっさと歩いていってしまった。
見送っていると、横からのっそりと人影が近づいてきた。昨日のギルドマスターだ。白髪で背は低く、杖をついているけれど目だけは妙に鋭い。
「初依頼、無事に終えたようじゃの」
「あ、はい!おかげさまで!」
「カイトに文句を言われなかったか?」
「ちょっと言われましたけど、結構良い人ですよね」
ギルドマスターはフォッフォッフォと笑った。
「あやつはああ見えて面倒見がいいんじゃよ。入ってきたばかりの新人に声をかけるなんて、本来あいつらしくないんじゃがな」
「へぇ……」
「まあ、お主が面白かったんじゃろ」
「面白い……」
「入ってくる前から殺気をまき散らしてくる冒険者なんて、儂も初めて見たわい。フォッフォッフォ!」
「……そこは反省してます」
ギルドマスターはもうひとしきり笑ってから、「また来なさい」と言って奥に戻っていった。
なんか……この場所、好きかもしれない。




