第11話「リリィちゃんのネックレス」
草原の探し物は、思ったより難航した。
「このあたりって言ってたんだけど……」
リリィちゃんは草の間をかき分けながら、眉をひそめて歩いている。私も一緒にしゃがんで地面を見渡すけれど、光るものは何も見つからない。
「どんなネックレスか覚えてる?」
「うん。銀色の細いチェーンで……真ん中に小さな緑の石がついてるの」
「お母さんの大切なもの?」
「……お母さんのお母さんから、もらったんだって」
おばあちゃんから受け継いだものか。それは絶対に見つけてあげなくちゃ。
「絶対見つけよう!」
「……うん」
リリィちゃんの返事は小さかったけど、さっきよりも少しだけ表情が明るくなった気がした。
二人で草をかき分けること十数分。
「……あ」
リリィちゃんが足を止めた。
彼女の視線の先、根元に細い草が生い茂った岩のそばに、何かが光っている。
「見つけた……!!」
私が草をどかすと、銀色のチェーンと、小さな緑の石がついたネックレスが姿を現した。
「これだ……!!」
リリィちゃんが駆け寄って、ぎゅっとネックレスを握りしめた。
しばらく無言のまま、両手でそっと包んでいる。
「……良かった」
小さな声だったけど、その一言で十分だった。
「良かったね、リリィちゃん」
「……うん」
リリィちゃんはもう一度「うん」と繰り返して、それからちょっと照れたように笑った。
「ありがとう、お姉ちゃん」
「どういたしまして!」
「……名前、聞いてなかった」
「あ、そっか。私はサラ!よろしく」
「サラお姉ちゃん……変わってるけど、いい人だね」
「変わってるはよく言われる!」
二人でくすくす笑いながら、街へと戻る道を歩き始めた。
夕方になりかけた空は、オレンジと紫が混ざり合って、なんとも言えない綺麗な色をしていた。
(こういうの……テンプレよりずっと、好きかもしれない)
そんなことを思いながら、私はリリィちゃんの隣を歩いた。




