第5話 ユメルサへの協力者(6)
そうするうちに、ウエイターがBランチを私たちのいるテーブル席へ運んできた。5人は、すぐに主菜である酢豚や八宝菜に箸をつけた。
「藤本副部長、ここの酢豚や八宝菜を食べたけど本当においしいね! こんなにおいしいお店を案内してくれてありがとう!」
「夢宮さんがそう言ってくれるのなら、私もみんなをここへ連れてきたかいがあるわ」
ここで食べる酢豚や八宝菜の味に、私も顔がほころぶほどのおいしさに大満足です。あまりのおいしさに口元へ箸を運ぶその姿に、藤本も柔和な顔つきで私を見つめている。
藤本が見せるその笑顔は、先ほどまでラジオ部門やアナウンス部における内情を話し続けた人物とは思えないほどの明るさです。そこには、ユメルサを番組内でアピールすることで、若者世代をラジオの新規リスナーとして取り込みたい藤本の思いがあります。
しかし、グループとして結成しても、実際に活動するのはそんなに生やさしいものではありません。
「とりあえず、ユメルサというアイドルグループを結成する以上、色々と準備しないといけないでしょ」
「歌うにしても、アイドルを目指していた私はともかくとしても、加世ちゃんやさゆ子ちゃんは……」
「一応、私たちもカラオケで歌ったりしているけど、実際にアイドルとして歌うとなると……」
アイドルを目指していた私はともかく、残り2人の場合は全くの未知数というのが正直なところである。それでも、一度決めた以上はアイドルとしてやり通さなければなりません。
「それなら、ラジオスタジオがある4階の小会議室を使って歌やダンスの練習をしたらどうかな? 夢宮さんはアイドルを目指してダンスはお手のものだから、猿川さんや湯沢さんは夢宮さんにダンスを教えてもらうと良いよ」
「私たちも、アイドルに必要なダンスができるようにがんばるからね」
「加世ちゃんもさゆ子ちゃんも、練習すればすぐにダンスがうまくなるよ。いっしょにがんばろうね」
私たち3人は、明日からアイドルとして必要なダンスの練習をすることになるが、それ以外にもアイドル活動として必要なものが山積しているのが実情である。アイドルとして披露する歌をどうするのか、アイドルにふさわしい衣装はどんなものが良いか、私たちは早くも頭を悩ませることになった。




