第5話 ユメルサへの協力者(4)
「確かに『ラジあさホームタウン』は、中高年向けの典型的な朝ワイドだった『あさネット健康一番』に代わる番組としてスタートしたわ。港南放送ラジオがパソコンやスマホなどへ全国に向けて発信するにあたって、これまでの中高年向けを払拭した朝ワイドが『ラジあさホームタウン』なの」
藤本は、現在放送している朝ワイド『ラジあさホームタウン』がどうやってスタートしたのか話し続けている。なぜなら、この朝ワイドの立ち上げには藤本が大きく関わっていたからである。
「ターゲット層は、前半は通勤時にスマホでラジオを聴くビジネスマンやOL、後半は子育てや家事に一息ついた主婦層をメインとしたわ。おおよそ30代~40代がターゲットで、50代以上を主要ターゲットにした前番組とガラリと番組内容を変えたのよ」
朝ワイドの立ち上げ時のパーソナリティだった藤本であるが、番組改編の都合で半年で朝ワイドを離れることになった。とはいえ、藤本にとっては思い入れがある番組である。
しかし、半年ほど前からこの朝ワイドが再び中高年向けの内容に戻ってしまったことに藤本は嘆いていた。
「まあ、リスナーからの反応が鈍かったこともあるし、新機軸をうちだして若いリスナーの獲得を目指したけどうまく行かなかったというのが正直なところだけどね。でも、今年の春に『ラジあさホームタウン』のテコ入れ策として、『あさネット健康一番』のパーソナリティだったベテランの内垣孝也アナを復帰させたのよ」
内垣を復帰させてからは、ニュースと健康情報、ラジオショッピングと中高年を主軸に置いていることもあり、リスナーからの支持も高いことから路線変更は一見すれば成功したように見える。しかし、タイトルが『ラジあさホームタウン』のままなのに、内容は事実上前番組の焼き直しで中高年主体の路線に戻ったことに藤本は複雑な心境を表している。
その背景には、朝ワイドのテコ入れ策が局の上層部主導で行われたことに加えて、内垣のパーソナリティ選任にアナウンス部の若手・中堅とベテランの間でギクシャクするようになったからである。




