登場人物&世界観紹介:第弐章
第弐章に登場した登場人物や、舞台設定の紹介です。
【過去に主要登場人物枠にあって再登場したキャラ】
アンズ、コナツ、クマリ、ナルミ、イナリ
第1章の登場人物紹介を参照
【主要登場人物】
<ミズタマ>
【年齢】200歳以上300歳未満
【真名】水珠
【種族】河童(女)
【出身】大和龍山
【好きなもの】きゅうり
【苦手なもの】長続きする日照り
【長所】身内への献身は我が身を顧みない
【短所】何歳になっても子供っぽい
【特技】相撲
【秘密】人間達のことは本当は大好き
【大事なもの】大和龍山に棲む仲間達
【弱点】手ぬぐいを取られるのは本当に嫌。泣く。
【好きな異性の傾向】感情的な自分を許してくれる人
【雑記】嫌いな相手には徹底的に好戦的だが、懐いた相手にはべったべた。攻略難易度の高いツンデレだが、落としてしまえば一転デレッデレのタイプ。
【解説】
大和龍山に古くから棲む河童の少女。人の姿にかなり近く、あまり妖とは見えない。
幼い姿をしているが、実際のところは大和龍山の妖の中でも遥かなる年長者であり、大和龍山に集まってきた妖の纏め役としての立場が固まっている。古くは寛容な神様により流れ者の妖も受け入れられていた、行き場を無くした妖の最後の寄る辺でもあった大和龍山で古くから面倒見が良かった身であり、山に棲まう者達のことは家族のように愛し、慈しんできた。半面、ようやくもたらされた家族の平穏を乱す者への拒絶は強く、多くの場合は余所者がその和を乱してきた数百年の経験から、定着するわけでない余所者に対しては元より当たりがきつめ。特に昨今は、侵略者である悪鬼どもに大和龍山を荒らされ、敬愛してきた神様すら見失い、暗い毎日を何年も過ごしてきたせいもあり擦れており、外来者に対する敵愾心が強くなってしまっている。
頭の上には河童よろしくお皿もあるのだが、普段は手ぬぐいで覆っている。これは渇くと体調が悪くなる河童のお皿を、湿った手ぬぐいで常に覆っておきたいからである。昔、お皿が渇いて何日も濡らせず、死にかけるほど苦しんだ経験があってトラウマになっているらしく、手ぬぐいが無いと落ち着かなくなってしまったのだ。河童にとってのお皿は何一つ恥じるものではないため、人目に触れることが嫌で隠しているわけではない。
<ゼンドウ>
【年齢】100歳以上200歳未満
【真名】善導
【種族】赤鬼(男)
【出身】山波国と大奈国と摂泉国の国境にある山
【好きなもの】酒。無いと手がバタバタする。
【苦手なもの】湿っぽいもの
【長所】力加減が上手く、小さな妖とも無理なく遊べる
【短所】有事無い時の仕事のサボりっぷりは目に余る
【特技】崖昇り競争最速記録持ち
【秘密】山の外に別荘めいたものを持っていて時々赴く
【大事なもの】ミズタマと相棒のミョウドウ
【弱点】爪が割れやすく密かによく痛がっている
【好きな異性の傾向】かかあ天下ぐらいで丁度いい
【雑記】腹筋を鍛えるのが趣味。いい形に保つのが好き。今日のデキがいいと思ったらミズタマに自慢する。しょっちゅうなので鬱陶しがられる。
【解説】
大和龍山に古くから棲んでいた鬼。実はミズタマより年下だったりする。
いかつい鬼らしい風貌ではあるが、中身は人に例えても好漢の部類であり、悪しきを挫き弱気を救う志の持ち主。悪鬼という言葉は絶対に似合わないだろう。神様が大和龍山を治めていた頃に流れ着いた身で、受け入れてくれた神様やミズタマには強い恩義を感じており、山の同胞に対する親愛感情もまた強い。力ある身として、邪まな考えを持つ者が山に立ち入った時、真っ先に駆けつけて退けてきた頼もしい存在として知られている。その一方で、平静時におけるぐうたらで怠け者な過ごしっぷりもまた山の身内には語り草であり、大きくて力持ちな割には俗な一面も併せ持つ兄貴分として親しまれていた。
鬼としては上位の存在である赤鬼だが、本能のまま闘争に心身を捧げる鬼本来の生き方とは離れ、道理と和を重んじる鬼の生き様とは対極の存在となった今、大和龍山を侵略した悪鬼らには力で遠く及ばなくなってしまっている。しかし、きっと箍をはずして鬼としての本能に身を任せれば、悪鬼を相手でも見せ場の一つぐらいは作れるのだろう。ただしそれは、この山へ自らを受け入れてくれた神様と結んだ、和を重んじる妖として新たな生を歩んでいくというかつての誓いに背くこと。守るべきものが多く苦難に立たされた今、怠け者として知られた彼でありながら、日夜己の生き様に葛藤し続けている。
<フユナ>
【年齢】12歳
【姓名】冬奈
【出身】大奈国の和良村
【好きなもの】お兄ちゃん
【苦手なもの】働かない人
【長所】勉強熱心
【短所】ちょっとブラコン
【特技】編み物
【秘密】大奈村で最近気になる男性が出来た
【大事なもの】母の形見である簪
【弱点】見れば震えてしまうほど血が苦手
【好きな異性の傾向】背が低い方がいい
【雑記】戦行脚に明け暮れる兄を祖国で案じる幼い女の子と思いきや、実は喧嘩になると荒っぽい言葉も使えるほど気が強い。あの兄の妹が弱いわけがない。
【解説】
コナツの妹。現在は生まれの和良村ではなく、大奈村に身を寄せている。
鬼の襲撃にしばしば晒される和良村は常々危険と隣り合わせであるため、大奈村にて呉服屋を営む叔母ハルミの家にて養われている。ただ世話になる一方では恩に報いられぬとし、読み書きと数字を幼いうちから習得し、呉服屋の手伝いやお使いもこなせる良い子の鑑である。当の呉服屋は子宝に恵まれなかったため跡継ぎを意識していなかったようだが、フユナが上手く育てば後継者として恥ずかしくない大人になるだろう。我が子でない子を引き取り育てるというのは、一般的な村人にとっては大変なことなのだが、それほどの恩にしっかり報いつつある辺り、この幼さにして立派なものである。
鬼への復讐に人生を捧げる兄コナツの心境に理解は示しているが、本心では兄までも喪ってしまうことを恐れ、そんなことはやめて一緒に穏やかに暮らそうと訴えてもいる。母を鬼に奪われたという点ではコナツと同じだが、母はフユナが幼過ぎる頃に亡くなったため、コナツとは母に対する記憶の歳月が大きく違うのも価値観が大きく異なる一因なのだろう。環境に恵まれてはいるが、やはり彼女も鬼に人生を狂わされた一人には違いない。
<カネグマ>
【年齢】不明
【真名】金熊獣士
【種族】赤鬼(男)
【出身】山波国北部の山
【好きなもの】勝てる相手
【苦手なもの】望まない戦い方をしてくる相手
【長所】勝ちに拘る姿勢は語弊無く長所
【短所】都合の悪い展開への拒否感は駄々同然
【特技】酒呑導獣郎を除けば鬼族一の酒豪
【秘密】嘘は嫌いと言うがこっそり結構嘘はつく
【大事なもの】勝ち続ける自分
【弱点】予想外の展開には怯みやすい
【好きな異性の傾向】従順であればそれでいい
【雑記】大抵のことを自分に都合良いように解釈してしまえる無敵メンタル寄り。美徳ではないが、生きやすさという点では冗談抜きに強いので馬鹿にならない。
【解説】
大和龍山を侵略した悪鬼の群れの大物格。岩のような筋肉を身に纏い、その形相も恐ろしい、典型的な恐れられる妖魔らしき風貌である。
無双の怪力と健脚を誇る、駆けて速く、握って骨をも容易に砕き、殴れば岩をも粉砕する怪物である。下級の黒鬼ですら子供扱いするその実力は、名のある武士が数人がかりで挑んでも歯が立たぬ恐ろしさを誇る。人智を越えた身体能力だけが妖魔としての唯一の特徴であり長所だが、逆に言えば小細工無しでどんな相手も完膚なきまでに叩き潰せるその強さには誤魔化しが利かず、かえって具体的に有効な対処法も存在しないということ。鬼という存在の怖さをこれほど如実に表せる存在もそう多くは無く、最も恐れられる妖魔として恥じぬ力の持ち主である。
武士を真似た言葉遣いや、尋常に勝負という言い回しを好むが、これは自分に都合の良い戦いと、それによって安定して得られる勝利を欲しているからである。産まれは等しき人間同士で、本来望まぬ殺生の世界に身を投じる武士の葛藤から生まれた士道というものを、カネグマは理解もしていないし興味も無い。人間相手に喧嘩で負けるはずのない鬼として、最も有利な一対一の真っ向勝負を望み、それに沿わぬ相手に追い詰められれば、卑怯や姑息といった言葉で相手を罵倒することをも厭わないというわけだ。強者として生まれた傲慢さを省みもしないその乱暴狼藉、身勝手ぶりは、蹂躙される村に生まれ育ったコナツから、蛇蝎の如く嫌われているのも当然というものである。
【その他の登場人物】
ざっくりと書いてます。
それぞれ詳しい人物紹介はまた機会があれば。
<イバラギ>
大和龍山を支配する悪鬼の指導者の一角。
褐色肌の成人女性にしか見えぬ風貌であり、まったくもって鬼らしくは見えない。ただし人としては珍しい地毛の緑髪と、額の上に生えた短い角を見る限り鬼であることは間違いない。緑鬼という一般的な鬼においては珍しい肩書を持ち、鬼の中でも異質な存在として際立っている。
<アオグマ>
大和龍山を支配する悪鬼の指導者の一角。
かつて存在した最強の紫鬼を除けば、鬼族の中でも最高位の青鬼であり、現在大和龍山を支配する鬼の中でも最も高い地位にある。カネグマとは違う意味で勝利に対しては手段を選ばず、毒矢を放つ筒や、人質を使って脅すことも厭わない。当然普通に戦っても強いので、なかなか始末に負えない親玉である。
<イブキ>
アオグマの傍仕えである黒鬼。
黒鬼というのは鬼の中でも最も格下で、かつ言葉を話す知能を持つ者も珍しいほどなのだが、イブキは中鬼程度の体格にして大鬼をも超える強さを持つようで、事実上は大和龍山で最も強い黒鬼と形容して間違いなさそうだ。コナツ達への言及にも何かしらの含みがあり、他の黒鬼とは別の意味で異色さが伺える。
<ミョウドウ>
名前だけ出てきた鬼。女の青鬼とのこと。いつかは登場するはず。
ゼンドウと同じく、大和龍山を見守る側の妖であり、悪行に手を染めるような妖ではない。ゼンドウの女房であり、かなり気が強いらしい。かかあ天下で丁度いいと言うゼンドウの女房なのだから、それはそれは尻に敷いていそうである。
<ハルミ>
コナツやフユナの叔母さんであり、二人の母の妹にあたる。
大奈村にて呉服屋を営んでいる一般的な村人。しかし旦那もおらぬ中、父から受け継いだ呉服屋を安定して経営しているのだから手腕は確かである。姪のフユナを引き取り育てながら、本業が傾くこともないのだからたいしたものだ。
<シヅナ>
かつて大和龍山にて信仰されていた神様。
決して滅されたわけではないのだが、山を侵略してきた悪鬼に敗れ、その姿を顕せなくなっている。山に悪鬼が溢れたことが知れ渡り、神の敗北を知った大奈国の民からの信仰心が薄れてしまったことも相まって、少なくとも山が鬼から解放されるまではその復権も絶望的だろう。しかし、風の神様として知られていたその力を彷彿とさせるものが、山の鬼に挑むコナツの身に宿っていると見えることからも、今なお山の解放を諦めず祈り続けてはくれているようだ。
ちなみに真名は志都那古比神。テンジン様もそうだが、神様の真名は長い。
【舞台設定】
<大奈国>
山波国の南に位置する国。南北に広い領土を持つ。
国の北部に位置する大奈村の存在感が、後述の理由もあって飛び抜けているため、人間社会としての中心地は北部に偏っている。風神シヅナ様がかつて信仰されて長かった大和龍山も北部に位置し、このお話の中でアンズ達が歩む舞台となるのも専ら北部となる。
そんな大奈村からも比較的近く、その頂を村からも望める大和龍山が鬼の巣窟となっていることは周知の事実であり、大奈国の人々は潜在的にその脅威がいつ我が身に降りかかってくるかを常に恐れている。大和龍山が今のような現状でなければ、人間同士の大きな諍いも無く平和な国であるはずなだけあって、良くも悪くもこの国の実情を語るには鬼という存在が避けては通れぬようになっている。
<大奈村>
大奈国最大の村。
数百年前においては、帝に連なる皇族のお住まいである大奈京と呼ばれていた地であったが、現在は山波京に遷都したこともあって一般的な村に落ち着いている。しかしそこはかつての和大国一番の京であった地、広大な領土とそれを守るために村をぐるりと囲う胸壁は未だに保たれ、ただの村と呼ぶには一線を画した存在感と栄えぶりである。西の隣国、摂泉国にも近く、山波国との国境にも近いため、他国との交流の要でもあり、今なお栄える根拠には有り余っているほどであろう。京であった時代から続く、由緒正しい老舗の店なども多く、この時点でも歴史深い都として名高い。京であった頃に建立された寺や大仏など、時が経てばいっそう歴史的な存在となっていくに違いないものも多く、暇があるならアンズも色々見て回りたいものが沢山ある村である。
<和良村>
大和龍山の麓にある村。恐らく現在、和大国全土を見渡しても最も不幸な村の一つ。
元は神様が御住まいの山のそばにあるという、何の変哲もない農村に過ぎなかったのだが、その山が鬼に支配されるようになってから状況が一変。鬼の巣窟となった山に恵みを採りにいくことが出来なくなっただけならまだしも、しばしば山を降りてきた鬼が和良村を荒らし、為すすべもなく村人の財産や命を蹂躙される地となってしまった。強力な妖である鬼は、村人にはどう対処することも出来ないので、いつまた鬼が折りてきて自分達の暮らしを破壊していくかと、日夜怯えて過ごすしかない村となり果てている。
村から逃げて生きていけばいいと思われるかもしれないが、我が家の畑という生活基盤を捨てて新たな地で生きていくことは、単に飢えを凌ぐだけでも極めて困難なこと。コナツの妹のように他の村に住む親戚に身を寄せて生きていける者ばかりではなく、生まれ育った地を捨て、寄る辺無き新天地にて天寿を全うするというのは、この時代においては現実的な話ではないのだ。そのような村と化して二十年以上、逃げ場すら無くこの村で生きていくしかない村人達の不幸とは、つくづく尋常なものではない。
<大和龍山>
大奈国北部にある大きな山。広い山だが、和大国の山々の数々の中では意外と標高は高くない方であったりもする。
かつては風の神様が治めていた山として知られ、人のみならず妖にも寛容な神様の計らいで、人に害を為さぬ力無き妖をも受け入れていた山である。ミズタマやゼンドウはその頃からの古株であり、自分達を受け入れてくれた神様への恩は未だに忘れておらず、年長者としてこの山に住まう妖の纏め役を担っている。当時は人が入り込んでもさほど妖魔に襲われることもない山ということで、自然の恵みも比較的安全に授かれる山とも名高く、広義で言えば人と妖がある程度の距離を保ちつつも、共存することが出来ていた山とも形容できるだろう。
山に大挙した鬼に神様は討たれてしまったのか、今や神様の気配は無く、鬼が跋扈する大奈国一の危険地帯となっている。おかげで神様への信仰もすっかり薄れ、大和龍山の神様が復権する未来は、アンズが何とか踏ん張っているテンジン様以上に絶望的。他人事じゃないので、アンズも思う所の多い話である。
<山奈街道>
<大波街道>
山波村と大奈村を繋ぐ大きな国道。山波国内のうちは山奈街道と呼ばれ、大奈国に入ると大波街道と呼ばれる。
山奈街道は、山林の中に拓かれた太い道。かなり太く開拓された道で、日が高いうちは周囲の山林の木々による影で道が満たされることも無いほど。山波国は人里を離れると山林ばかりの国であり、山波村を離れた最南部もその例に漏れず、山奈街道は山の中を貫通する形であると空から見ても明らかである。起伏の多い山中の道の常として、気ままに真っすぐ伸ばしても上り下りが多過ぎて旅足にはつらくなるため、なるべく坂道が緩やかに済むよう道が曲がりくねっている。国道として山間の村にも寄りやすく道の軌道が考えられているため、それによる山道も多く、山波村と大奈村を直線で繋ぐよりも倍ほどの長さがある。
大波街道は大奈国に入って以降だが、国の最北部から大奈村までの距離が近すぎて、あまり街道としての存在感は無い。ただしそれでは折角の名高き看板も薄れて勿体ないとし、近き大奈村の延長と言わんばかりに人も遣わされて治安良く整えられており、出店なども並んでいる。見ようによっては大奈村の北部にはみ出した領土の一部のようなものとさえ捉えられており、国道としてではなく街道の名を借りた憩いの場として存在感を発揮している。
<穢れ・瘴気>
妖魔が棲む場所に発生するもの。穢れとも瘴気とも呼ばれるが意味は一緒。
人が生きていれば息をするように、妖魔がそこにいればその全身から溢れ出るものとされる。少々の妖魔が発する程度なら、空気に紛れて霧散していって気にもならないものであるが、大量の妖、あるいは力の強い大妖魔が発する濃厚な瘴気などが一つの場所で大量に生じ続けていると、霧散しきらず溜まっていくらしい。大和龍山や、山波国の山波天山のような、無数の妖魔がひしめくような場所はまさにその状況であり、瘴気を可視化できる者にはあらゆる場所が墨溜まりのように穢れて見えるという。
あまりに強く濃い瘴気は、多く吸ったり長く触れたりすると人間の体調にまで悪影響を及ぼすほどであり、その症状は瘴気を認識できていようがいまいが関係ない。妖魔の群生地はそれだけで、人間にとっては危険な地ということだ。ただ、鬼の群生地である大和龍山ですら、人の子が歩くだけで体調を崩すほどの瘴気には満たされていないので、そこまで濃い瘴気に満ちた地というのは余程である。先述の山波天山は、人が体調を崩すレベルの瘴気に満ちているそうで、危険性では恐らくこちらの方が上。
アンズは主神と近過ぎて育ってきた影響なのか、テンジンが信仰を得て少しずつ力を取り戻すに伴って、人の身でありながら瘴気が可視化できるようになりつつある。匂いすら認識できるようになってきたが、感知できると瘴気は非常に臭い。テンジン様の仰ることを俗っぽく要約するとクソみてぇな匂い。
【アンズの披露した技】
<火鼓・蒲公英>
雷の力を込めた球を敵に向けて放つ技。それを任意ではじけさせ、強い光を放つことで敵の目を眩ませることが出来る。
敵に大きなダメージを与えるための力は殆ど注ぎ込んでおらず、完全に目潰しのためだけに使う技として用いる。威力も伴うように神力を注ぐと、コストパフォーマンスがあんまり良くないらしい。威力を捨てて支援や奇襲に特化した技と言えるだろう。ただ、性質上一度でも披露した相手には警戒されてしまうので、何度も同じ相手に使える技ではないと留意しておきたいところ。
<伏火鼓・松笠>
雷撃を司る火雷鼓の力と、雲を操る伏雷鼓の力を併せた複合技。
掌に余るほどの大きさの帯電した黒雲を放つ。それ自体を相手に触れさせても雷撃を浴びせることは出来るが、そうした使い方では威力は控えめである。この黒雲を滞空させ、春告といった稲妻砲撃の中継点とし、その攻撃を曲げたり、黒雲が擁する神力を相乗させることで増幅した威力とすることを目的とした技である。アンズの攻撃手段は殆どが直線的で、曲がるものに至っても自由自在とはいかぬものばかりなので、この技を介することで攻撃の軌道をコントロール出来ることは戦術にかなりの柔軟性をもたらす。一方で、敵の目にも明らかな黒雲を下準備として用意することで為せることでしかなく、一度種が割れると対処もされやすくなってしまうのは避けられぬ欠点とも言える。
<火鼓・柳>
周囲に無数の細い稲妻を降らせる技。
見た目は派手だが稲妻一つ一つの威力は比較的小さく、強敵相手にはさほど大きな意味を為さない。発光自体はかなり強いので、目くらましとしての効果はある程度見込める程度。小妖に包囲された時などには一掃するための技として有力で、自分が宙にいて真下に敵が密集しているなら尚のこと有効だろう。ただしいくつもの稲妻を生み出す都合上、消費する神力は威力に対して割高でコストパフォーマンスが悪めであり、使いどころはそれなりに限られる。
今よりも未熟な頃に派手なこの技を編み出したアンズが、戦い方を覚えて以降、自ずとあまり使わなくなっていったというのが実態である。それでも戦い慣れていない頃、妖の群れに包囲されてもこの技で無理矢理包囲網を怯ませて命からがら突破、逃亡したなど、幼い彼女の命を助けた思い出深い技でもある。
【登場した妖】
<鬼>
古来より人類に最も恐れられた妖魔の一つ。
何と言っても人類を超越した身体能力が名高く、8歳児ほどの体格の小鬼であっても人間の大人を圧倒できる怪力を持つ。体色で格が決まっており、紫>青>赤>黄>白>黒 の順に格上とされる。その最下級の黒鬼ですら上記の強さであるため、いかに武装した名のある武士でも、いざ立ち合えば死を覚悟せざるを得ない恐るべき存在である。
黒の小鬼は人間の子供ほどの大きさ。身体能力は驚異的だが、一応農民でも武器で運良く致命打を与えられるなら撃退できる。数が多いのでやはり怖いが。鬼の中鬼は成人男性ほどの体格になるが、もうこの時点で武士でも一対一で破るのは非常に困難。それよりも頭二つぶんほど大きくなった黒の大鬼ともなれば、武士数人がかりで一体を取り囲んで戦っても勝利の見込みは低いと言われる。普通に勝ってるアンズやコナツは結構おかしいのである。
白以上の鬼は"色鬼"と呼ばれ、まったく次元の違う強さになる。ここまでの相手となれば、神様の力を借りて戦うアンズですら危険な相手である。
<河童>
人類には恐れられたり親しまれたりする、なかなか特殊な立ち位置にある妖。
人間よりも力持ちで、怒らせると尻子玉を抜いてくるので、人類にとっては怖い側面も決して小さくはない。若い河童は人間との付き合い方を知らず、感情のまま乱暴なことをすることも多いので、人間が関わらない方がよい妖には違いないだろう。しかし年経た河童であれば、人間と自分達との力関係や価値観も理解し、むしろ節度を以って接してくれる隣人にもなり得る。ミズタマなどはその後者の典型例であり、平和な頃であれば和良村に降りてきて、山の恵みを隣人である和良村の人々に分け与えてくれたりもしたようだ。
若い河童には関わるべからず、年経た河童には親しくしよう、という通説で知られるのが河童なのだが、見た目でその年齢を見極めるのは人間には難しいため、人の側から積極的に関わろうとするのはそれなりにリスクがある。しかし、人里に侵略目的で近付いてくる河童というものは皆無であり、怒らせぬ限りであれば平和的な妖には違いないので、遭遇してしまえば慎重にやり取りすることで害無く別れられる相手でもある。人類の敵、ではないと言ってよいはずだ。
<靄人、黒墨、笛鼠、球虫、丸鳥、紐蛇>
大和龍山にひっそりと棲む妖の数々。戦う力を持つわけでもなく、人でも踏み潰して滅せてしまうほど弱き存在である。それらがどんな風貌であるかは第31話にちょろっと箇条書きしてあるので、どれがどんな名前だったのかは見比べて貰えればわかると思います。
人に危害を加えるどころか、人間のことすら恐れて逃げていく存在なので、そもそも人の目に触れること自体が稀であり、余程に妖に博識な者でもない限りはその名も存在も知られない。しかし、そんな彼らがようやく辿り着いた大和龍山という、かつて侵略者のいなかった大和龍山においては、ミズタマをはじめ年長者の妖ら、あるいは動物達にとっては家族同然の仲間達であり、種族名はもちろん、ちゃんと個々が名前も持っている。努めて人がこれらの存在を、意識して憶える必要は無いだろう。人の世を離れた場所で静かに過ごす、罪無き命をそっとしておくのも慎みだ。




