第11話 護衛任務1
次の日。
俺とアダン君は約束の時間にカイの街唯一の城へ向かった。
迎えられたのは城の中の一室。
「私が君たちに護衛任務について教えるアルカディーだ。騎士の称号を持っているが、軍団副長の階級についている。よろしく頼む」
そう出迎えてくれた男性は中々歳を取った人だった。
部屋はどうもこのアルカディーさん専用らしく、大きな机と本棚。そして来客用のソファが二つ向かい合ったシンプルな仕事部屋だった。
「軍団副長?」
何だ、その階級は。
「差し当たって、君たちには護衛任務についての理解をしてもらいたい。ただ警備任務に通ずるものがあるため、警備任務を終えてきた君たちには問題はないと思う」
あれ、無視ですか?
「その後、今後についての説明も行う予定だ。待遇…………休日や給料という面の話だ。これは君たちが行った先般の任務についても同様の説明を行う。本来、はじめにこの説明をするはずなのだが順序が変わり申し訳ない」
「いえ、それよりも、あの。その。軍団副長とは何ですか?」
「それについては騎士見習い時代に学んだはずだ」
いえ、知りません。
知らないから聞いているのだけども。
ふむ。なんかここで聞くのは場違いみたいだからやめよう。しつこく聞けば怒られそうだ。実際アルカディーさんの表情は険しい。
「では着いてこい」
アルカディーさんが部屋を出て言った。
その後は城の中の案内と共に護衛任務についてアルカディーさんが説明を始める。
「まずはじめに、護衛対象は第八王女、アデリーナ・ヴィリアーズ様になる。君たちの称号授与式にも参列されていた。覚えているはずだ」
確かに一人、王女がいたな。
名前はすっかり忘れてしまっていたけども。
「現在、護衛任務は騎士57名と雑兵約二百名で行っている。またこの港町全体で言えば騎士の総数は百を超え、雑兵の数も同様に二千を超える計算になる」
そんな数の軍が在住しているのか。
「君たちがここで護衛任務お学ぶ期間は二週間を予定している」
「二週間? ずいぶん長くないですか?」
聞いてみるとアルカディーさんは答えてくれた。
「逆だ。短い。他の任務も本来ならば一月ほどかけてゆっくりと学ばせる予定だった。ただ君たち2人は警備任務、討伐任務に就くことはない。そのため短く済ませる形となった」
「私たちが何に着くのか決まっているのですか?」
その質問にアルカディーさんが睨んでくる。
空気が読めなかったみたいだ。
「リヴァ、君は騎士隊長の座が確約されており、イーゴル軍団長の下に着くことになっている。騎士隊長になった暁には三名の騎士副隊長を選ぶ権利を有することになる」
新しい単語が生まれたぞ。
イーゴル軍団長。軍団副長の上なのだろうが、つまり階級的に軍団長の下に騎士隊長があって。軍団長は軍の階級なのだろうか?
「アダン、君はコーリャ騎士隊長か、ディーナ騎士隊長の下に着くことになるだろう。最初の仕事は副隊長の補佐として事務作業か、それに近いものを行うと思ってくれ。決して護衛任務や討伐任務、警備任務を行うことはないと思ってもらって構わない」
「分かりました」
代表となったアダン君も中々良い待遇らしい。俺には遠く及ばないけども。
いや、そうじゃなくて。
「騎士の仕事は護衛任務、討伐任務、警備任務がその大半を占めると思いますが、今あげた二人は別の任務を行っているのですか? そして私の仕事もこの三つ以外ということですか?」
「そうだ。コーリャ騎士隊長は主に諜報と裁判関係の任務を行っている。モンスターの討伐ではなく犯罪者を取り締まっている。ディーナ騎士隊長は領土と領主に関する任務を行っている。どちらも政治的な仕事に近い」
なるほど。
騎士はそんな仕事もするのか。知らなかった。
「そしてリヴァ。君の仕事は恐らくシモン騎士隊長の仕事を引き継ぐことになるだろう」
「シモンさんの? どんな仕事ですか?」
「戦争および軍関係だ」
何その面白そうな仕事。
「主に軍の強化、および軍内部の改善などを行っている」
訂正。
なんて地味そうな仕事だ。
最強の騎士がそんな細かい作業をするなんて、予想外だ。
「無駄話が多すぎた。城の構成の説明に入ろう」
その後。
アルカディーさんから護衛任務について詳しく教えてもらった後。待遇についても教えてくれた。
つまり休日と給料である。
護衛任務は警備任務同様在籍することに意味があり、故に騎士の出勤日数はそこまで多くないらしい。休むのも仕事の内だからだ。
これは警備任務同じくローテーションで、三日に一度休みが貰えるらしい。つまり完全週休二日制と同じような物。
何とも素晴らしい。
給料面は少しだけプラスされるらしい。初めてであった頃のクロエさんみたいに護衛任務は街から街までも行われる。その間はやはり危険があるため、その手当が付くらしい。
そして、こっそりと俺はアダン君に軍団長と軍団副長について聞いてみることにした。
「軍団長は軍の最高責任者の下に着く階級だ。十二名いる。そしてその軍団長にそれぞれ十二名の軍団副長が着き、それとは別に騎士隊長が二名ないし三名が下に着く。本来騎士は軍とはかけ離れた存在だが、政治的な面での支配が必要なためこのような形になっている」
「はあ」
「ちなみにだが、ハイデン騎士隊長、賢者クラスは軍団長と同等の階級になる。それ以外の騎士隊長は軍団副長よりも上ではあるが軍団長よりも下の階級として扱われているから目上の方には敬意を示した方が良い。今現在、俺たちはアルカディー軍団長よりも下なのは明白なのだから、発言には注意した方が良い」
確かにそうだ。
年下の新人が馴れ馴れしくしてくるのは問題だ。
「お前は騎士見習い時代、何を学んできたんだ?」
アダン君からの叱り。
ズルして合格するのは後々後悔するのは本当なんだなと深くと思った。




