第11話 合格発表と決意の告白
結果発表は二日後に行われた。
その理由は実技試験は二日間行われているからであり、そして一チームがまだ帰ってきていないからである。
これはアレットさんがこっそりと教えてくれたことだが、今回の騎士試験は二日目に突入した時点で不合格となるらしい。この時点で五人の不合格者が出たことになる。
帰って来たチームは俺たち第三チームとアリス、リナの第二チームである。
運命の日。
騎士見習い総勢13人が教室に座る。
そしてルドルフさんが前に立った。
「第一チームから順に来るように」
その言葉で第一チームであるコスタヤ、カーク、リーク、ダン、ラクの五人がルドルフさんの前に並ぶ。
「初めに第一チーム、コスタヤ、カーク、リーク、ダン、ラク。全員不合格」
「えっ!?」
「嘘だろ」
「静かにしろ。残念ではあるが、不合格だ。理由としてチーム力の欠如、そして試験へ時間をかけすぎた点。個人に細かく不合格理由も存在するが今は伏せる。次も頑張れ。まだ時間はある」
「…………はい」
五人の声がはもる。
そして、落ち込んだ様子で五人がそれぞれの席へと戻っていく。
「次、第二チーム」
その言葉で、アリス、リナ、フルト、ノーク、ロンの五人がルドルフさんの前に並ぶ。
皆緊張した様子だ。先ほどの第一チームと違い、フルト君を除いた四人は誰も自分が合格する自信があるようには見えない。
フルト君は別だ。自信に満ち溢れた表情だ。
「全員が同じ結果ではないため順に発表する。まずアリス」
ルドルフさんはアリスに笑顔を向けた。
「合格だ」
「やった!」
アリスが跳ねて目に見えて喜ぶ。ルドルフさんから合格の書を受け取り、にこやかな笑顔を俺へ向けてきた。
「次、リナ。残念ながら不合格だ」
そしてリナに不合格が言い渡される。
「よく頑張った。でもまだ足りない点があった。まだ四年ある。次も頑張れ」
「はい」
「次、フルト。お前も残念ながら不合格だ」
「そんな!」
「慢心が原因だ。お前の悪い癖だ。例え自身が貴族だろうとそうでなかろうと、全力で挑め。そうすれば次は必ず合格できるだろう」
「…………はい」
フルト君も落ちる。
「次、ノーク。お前も不合格だ」
「やっぱり」
「もう少し自信をつけろ。そうすればおのずと結果として帰ってくる」
「頑張ります」
「最後にロン。合格だ。よく頑張った」
「ありがとうございます」
最後にロン君が合格の書を受け取る。
第二チームが終わりとなる。
そして自分の番。
ホン君、アラン君、俺の順に第三チームが並ぶ。
「第三チーム。初めにホン」
ルドルフさんはホンに合格の書を見せ。
「合格だ。だが、次からは常に全力を出せ。フルトとは違い、実力があるくせして隠すのはダメだ」
「はい。申し訳ありません」
「次、アラン」
そしてアラン君の番。
「不合格だ。理由はまだ実力が足りないと判断されたからだ。身もふたもない。だが、素質はある。そして時間もある。頑張れ」
「…………はい!」
アラン君は元気な返事をした。
気持ちからして、落ち込んでいるだろうに。アラン君は元気な返事をしたのはやっぱり分かっていたのだろう。自分がこの中で一番落ちる可能性が高かったことを。
「最後にリヴァ。合格だ」
「はい!」
「実力は十分にある。だが、学力はまだない。次は不正をするなよ」
「気づいていましたか」
「当たり前だ」
こうして十三人中四人の合格で騎士試験は終わりを迎えた。
「二人ともおめでとう」
合格発表後。広場に集まった何時ものメンバーの中、リナが俺たちに祝福の言葉をかえてくれた。
リナも目に見えて落ち込んでいた。自信があったわけではないらしい。でもやはり合格したかったみたいだ。
「ありがとう、リナちゃん」
「ありがとう」
「アリスちゃんたちは、明日には、王都の方に行って。騎士になる前の、称号授与式に出るから。今日でお別れだね」
そう言って、リナは寂しそうな表情をする。
アラン君は逆に元気よく。
「リヴァさん。短い時間でしたが、ありがとうございました。僕の師匠をしてくれて!」
「ううん。私の方こそ師匠らしいこと何もできなくてごめんね」
「いえ。リヴァさんからいろいろと学ぶことが出来ました!」
多分気を使ってくれているのだろう。
「そうだ」
ふと俺は一つの魔法を思い出す。
高度な魔法の一つ。
もしかしたらアリスは知っているかもしれない。でも例えばれたとしても、アリスは知らないふりをしてくれるはずだ。
「アラン君、おでこ出して」
その言葉に不思議そうにアラン君が髪をあげてくれる。
俺はそんなアラン君のおでこに人差し指を向けて。
一つの魔法をかけた。
「何ですか?」
「おまじない。次こそは合格できるように」
「本当ですか?」
「リヴァちゃん! 何それ! 私にも!」
「アリスちゃん? 先に私」
「じゃあ、リナからね」
同じようにリナにも同じ魔法をかける。
ほんの少しだけ俺の力を譲渡する魔法。常にではない。何時か危機、あるいは全力を出すべき時この魔法は発動される。
最後に俺はアリスにもかけて。
「えへへ」
アリスが嬉しそうににやけて。
「これから騎士になるから、まだ当分は一緒だね。これからよろしくね」
「うん」
「リヴァちゃん。ずっと友達でいようね」
その言葉に引っ掛かりを覚えた。
「ねぇ、リナ。それとアラン君。少しだけ席を外してくれない? できれば会話が聞こえない場所まで離れて欲しい」
「どうしてですか?」
まだ空気を読むことができないアラン君はそう素直に聞いてきた。それをリナがシーと口元に指をあてて、アラン君の腕を引っ張る。
アリスも不思議そうにしていた。
リナとアラン君が遠くへと行ったのを確認した後、俺は真剣な表情でアリスを見る。
「どうしたの? 二人きりになりたいなんて初めてだね。は! まさか愛の告白」
「ううん。むしろ逆かな」
「え?」
俺は決意したのだ。
男に二言はない。
すると言えばするのだ。
「リナから聞いた。アリスのお母さんはこの国でも数本の指に入る賢者だって」
「うん。そうだけども」
「アリスのお母さんは今どこにいるの?」
その質問にアリスは楽しそうに。
「数か月前に大陸の向こう側に行く船に同乗してるかな。何でも王様から重要な任務を言い渡されたとかどうとか。それがどうかしたの?」
やっぱり。
世の中うまくいかないなと俺はつくづく感じた。
「もしかしたらだけども」
「うん?」
勇気を振り絞れ、俺。
俺はアリスの友人に決してなれないのだから。
俺は震える声で言った。
「私はあなたのお母さんをこの手で殺したかもしれない。だから私はあなたの友達になる資格も愛される資格もない」
キャラ紹介30
モブ ラミ・クレム
31歳女性。夫と子持ちの貴族の妻。ダリアさんの友人の一人。
生まれも育ちも貴族。旧姓は考えていない。
多分もう出ない。でも出したい気持ちはある。




