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第2話 アリスは何時も通り

 あの事件から気づけば15日経った。

 初めの頃は事情聴取だったり、騎士の葬式などで慌ただしい日々が続いたが、それらが終わると何もない日々へと戻った。

 何も起きない日常へと変わった。

 様々なことは経験したいが、あんな事件はもう経験したくない。やはり日常の毎日の方が俺に向いているのかもしれない。

 そんなある日の朝のこと。

「おはよう、ブー」

 毎日のように俺の上で眠るブー。

 そして隣で眠るアリス。可愛らしい寝顔で、可愛らしい寝息を立てている。

 何となく、頬を突っついてみる。少しだけ反応を見せるが、起きない。

 ブーを床に置き、俺は起き上がると、アリスがまだ寝ていることを確認した後、机の引き出しから袋を取り出した。

 そしてその袋からあの禍々しい宝石を取り出した。

「結局、これは何なんだろうか」

 アレックは敵だったが、それについて誰にも言っていない。もしかしたら新しくやってきた騎士隊長の二人が、調査の末、この事実に気づいているのかもしれないが、俺は知らないふりをした。

 そしてこの宝石はアレックがヨハン邸から盗んできたものだ。

 俺が持っているべきじゃない。

 だだ、ヨハンさんに返すと色々と問題が起こりそうだ。一体どこで拾ってきたのかとか詳しく聞かれそうだ。

 そして、日にちが経てば経つほど返す事が出来なくなっていく。

 うーむ。

 まあ、良いか。

「おはよう、リヴァちゃん」

 ふいにアリスが目を擦りながら挨拶をしてきた。

 俺は俊敏な動きで宝石を袋に戻し、机に戻す。

「リヴァちゃん、何しているの?」

「何もしてないよ」

「本当に?」

「うん」

「ふーん」

 まだ頭がはっきりとしていない様子。

 危なかった。

「それよりも、早く仕度して。朝食食べに行こう」

「はーい」

 アリスはあくび交じりに返事をした。



「そう言えば、今日。リヴァちゃん。来なかった、ね」

 食堂で、何時もの四人で朝食を取っていると、リナがそんなことを呟いた。

「ああ、そう言えば」

 今まではアリスが部屋で寝る度に、毎朝リナに退治を依頼してたっけ。

「今日だけじゃなくて、昨日も。一昨日も。どうかしたの?」

「いや、まあ」

 言えない。毎朝リナの部屋を訪ねるのが面倒になったなんて。

「リヴァちゃんは私と一緒に寝るのが好きなんだよね」

「全然」

「そこまで否定しなくても。でもそんなツンなリヴァちゃんも私は好きだな」

「そっか」

「少しぐらい照れた反応見せてくれても良いのに」

 アリスが唇を尖らせる。

 普通にしていたら可愛いのにな。

 本当に勿体ない。

 なんて思っていると、アラン君が苦虫を噛み締めたような表情で一つの野菜をすべて食べ終えた後、聞いてきた。

「そう言えば、リヴァさん。知っていますか?」

「何?」

「もうそろそろしたら騎士試験が始まります」

「そうなの?」

「6の26から28までの三日間です」

「今日は何日?」

「6の20です」

「本当だ。近い」

 騎士試験か。

 確かに最初の説明で聞いた気がする。

「でもリヴァさんは試験を受けれるのかどうか」

「どうして?」

「半年以上在籍するのが条件ですので」

 何それ初耳。

「確かにそれは無理だね」

「大丈夫。リヴァちゃん、侵入者の一人を倒したのだから。多分ヨハンさんが根回しして受けることを許してくれるよ」

 するとアリスがそんなことを言った。

「そうなるのかな?」

「だって、今騎士が少なくて困っているから。リヴァちゃんみたいな強い子はすぐにでも戦力として欲しがるものだけども」

「そうだと良いなぁ」

「アリスちゃんなら、大丈夫。筆記試験、以外」

「ああ、そっか。筆記試験があるのか」

 無理だな。今年は無理だ。

 まだ小テストで60点代の俺には無理だ。少しずつ良くはなっているけども、筆記試験突破か。ヨハンさん、筆記試験を排除してくれるかな?

 いや、さすがに騎士見習いと騎士は違うから、出来ないか。

 学のない騎士を傍に置きたくないだろうし。

 後でルドルフさんに聞いて来よう。

 ふとアラン君がまた苦虫を噛み締めたような表情をする。食べているのは緑色の付け合わせの野菜。

「アラン君。その野菜苦手なの?」

「…………はい。実は」

「だったら私が食べようか?」

「良いんですか?」

 俺はアラン君の皿からその野菜だけをフォークで取ると、パクッと口の中に入れた。

 うん、美味しい。

 なんて思っていると、隣でアリスが体を震わしながら俺の方を見ている。

「リヴァちゃん、何をして」

「アラン君が苦手な野菜を食べた、だけだよ」

「でも。それ。アラン君が食べた後があった」

「そうだった? 気づかなかった」

「リヴァちゃん。少しはそういうの気にしよう! ダメだよ。だいぶ年下だからって、そういうのを平然とするのは。もう少し淑女らしい振る舞いを!」

「いやでも」

「怒った。私は怒りました。リヴァちゃん。私が食べ残したこの野菜も」

「アリスちゃん?」

「リナちゃん、止めないで」

「ううん。その」

 リナの歯切りが悪い。

 なんて思っていると、足音なく、まるで暗殺者のようにこの上なく静かに、食堂のおばちゃんが立っていた。仁王立ちだ。

 表情は笑っているが、角が見える。手にはフライパン。

 バカな。

 食堂のおばちゃんは暗殺者か何かか?

「アリス。食堂では静かにしなさい!」

 そして。

 アリスは思いっきり叩かれた。

キャラ紹介24

モブ キリル

32歳独身男性。騎士隊長第19位。

それ相応の学はあるが、バカ。どちらかというと剣よりも魔法を使う戦い方をするが、明かに剣のみで戦った方が良いのではと思ってしまうほど魔法での戦いが不慣れ。それでも魔法を使うのは魔法を使う方が格好いいから。

バカだけども、純粋な身体能力が高いため、普通に強い。バカと天才は紙一重。

8年間、婚活をしているが、失敗続き。

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