第3話 リナは優しい子
今日は6の23。
待ちに待った休日だ。
騎士試験まで残り三日となる。
騎士試験の存在を知った俺はルドルフさんに聞きに行った。受けることが出来るか否かでもあるが、こんな重要なイベントをどして教えてくれなかったのかの意味も込めて。この理由までルドルフさんは詳しく教えてくれた。
どうも上層部で俺に試験を受けさせるべきか否かで揉めていたらしい。
結果的に了承されたみたいで、俺は試験を受けることが出来るみたいだ。
良かった良かった。
というわけで勉強をしなくてはいけない。
「嫌だなぁ」
アリスを部屋から追い出し、俺は朝から勉強をする。
世界情勢から、魔法の構造、語学など学ぶべきことは多数ある。
特に大事なのは世界情勢だ。
「俺がいる国の名前はカウナ帝国。隣国がタトス王国。そして世界最大の国がニケ帝国か」
カウナ帝国は世界において三番目の地位に立っているらしい。
そして、あの事件の日。攻めてきた国はタトス王国、二番目の国である。カウナ帝国とタトス王国は仲が悪い。ニケ帝国があるため、戦争まで発展することはそうそうないみたいだけども、あんな事件を起こす国だ。何時まで続くことか。
「魔法でズル出来たら、こんなこと覚える必要もないのだけど」
どうして俺はあの時、あの魔法使いの魔法以外の知識も手に入れれなかったんだ。しかも魔法の知識と言っても魔法の使い方の話であって、構造とかは分からないし。
そもそもの話。
なんであの時、俺はあの魔法使いを食べたことによって知識を得たんだ。
うーむ。
分からん。
「人類の神秘、か」
「人類の、神秘?」
「うわ!」
俺の背後から突如現れたリナが驚いた俺に対して驚く。腰を抜かし、床に倒れこむ。そんなリナに対して、俺は慌てて手を差し出した。
リナの手には紙の束が見える。
「リナ。せめてノックぐらいして」
「ごめんなさい。ノックしても、返事がなかったから」
そこまで勉強に集中してたのか?
「まあ良いけども。それでどうしたの?」
「あ、うん。アリスちゃん、知らない?」
「さあ?」
「そっか。それと」
リナが紙の束を差し出してきた。
「私が今まで、学んだことの、集大成」
「うん?」
「私は一度、試験に落ちたから、今学んでいることは、ある程度。大丈夫だから。リヴァちゃんの力になれると思って」
そう言って渡された紙の束はリナの丁寧な字で今まで学んできた授業の内容が綺麗にまとめられていた。
所々要点の印がついており、非常に見やすい。
「良いの?」
「うん。助けてくれたお礼。まだしてなかった、から」
「そっか。ありがとう」
リナ。良い子だ。
「それと、一つだけ良いこと、教えてあげる。リヴァちゃんが、どれぐらい魔法得意か知らない。けども、魔法でのズルはしても大丈夫」
「…………へ?」
リナの言葉に思わず聞き返してしまう。
なんだそれ。
「どういうこと?」
「アリスちゃん、小テストはクラス平均で見ると悪いけども、全然勉強してないでしょ?」
「あ、うん」
確かにしてないな。
「アリスちゃん、魔法に関して言えば、クラス一だから。魔法で試験前に学力を身に着けているの。そういう魔法、がある。永続的じゃないから、騎士試験ぐらいでしか、使わないけども」
「何それ」
初耳。
すごく初耳。
正直な話、リナから貰った紙の束よりも使える情報だ。うん。この紙の束が不必要になるほどに。
「ばれないの?」
「うん。試験中に使うことはできないけども、試験前なら使えるから。それを止める術はないし。見破る術も今のところ、ないから」
「小テストと結果が大きく異なっても、確実な証拠にはならないし」
強い。
だったらその魔法を覚えたら良いじゃないか。
「でも、あまりおススメはしない。騎士になったら、嫌でも知らなくてはいけないこと、だから、結果的に変わらないし。正々堂々と騎士になった子たちと、学力の面では遅れている、使えないことになるし」
「ああ、そっか」
確かにそうなるのか。
「もしも、魔法を使って無理やりにでも知識を付けるなら、その魔法。アリスちゃんに聞いた方が良いよ」
「大丈夫。知っているから」
少なくとも使える魔法の数に関して言えば、相当優秀です。知らない魔法使いの知識のおかげでね。
「そうなの?」
「うん」
リナはどこか不思議そうだった。
「どうかした?」
「ううん。ただ」
リナは続ける。
「どこの魔法学の本にも、載っていないはずなのに、どうして知っているのかな、なんて。純粋に疑問に思っただけ」
キャラ紹介25
モブ フランツ
33歳男性。隣国の火の一人。騎士みたいなもの。
アレック、もといミケルとは腐れ縁。ミケルと実力は五分。
火の一人、水の一人とかは二つ名みたいなもので、正式な席があるわけではない。
多分何時か敵として出る。




