第11章Bound by Blood【白蛇】
「神様……」
この怪しい男を神庁関係者であるとはなんとなく把握していたが……神?
焔や洌と同等なのだろうか?
どのくらいの地位に値する神なのだろうか。
「ははは、さっすが青龍。俺を見る目。美しいその目。すでに自分より力あるものなのか判別してんねんやろ」
マルさんは高らかに笑いを放つと、俺を座った目でじっと見つめた。
まるで最初から俺たちが過ごした時間は無駄だったと俺に教え込む様に。
「そんなことはないです。マルさん!何かしでかそうとしているんですか!?」
「はははっ、そんなことないわぁ。しかし雷はさ、ほーーーんと天と渚が大好きなんやな。あははっ。歪んどんな〜」
マルさんの子供を揶揄う様なわざとらしい声を聞けば、露木のいつも優しさに溢れる顔は、鬼を憑依したのかと思うくらい顔に皺が寄った。
「菫様。あまりおふざけになるのはお控えいただけますか」
「ははっ、ふざけてなんかないわ〜雷。神庁の未来繁栄のために俺は動いているだけや?そもそも雷はぜーんぶ知っているくせに意地悪やなあ。青龍に問題解決させるために渋っているん?」
マルさんは俺と露木を交互に見ているが全く動揺していない。
まるで全てが自分の手の中にあり、操り人形の様に動かしているかの如く余裕の表情である。
「おい、天と渚ってなんだよ。どいつもこいつも俺がいる時に俺がわからない話をするな」
「はははっ、なーーんや。雷は自分がなんでこんな僕ちゃんに執着してるんか話してないんやなあ?」
煽る様なマルさんの言葉を聞くと、露木は眉間に皺を寄せてグッと唾を飲んだ。まるで言われたくなかった確信を突かれたかの様に。
「菫様。最高位、青龍に仕えし白龍の前で揶揄う様な発言はお控えください」
露木はフーッと深呼吸をして息を吐くと、冷静を取り戻させる様にゆっくりと言葉を繋いだ。
「亜について、みんなして俺を疑ってんか?俺は神ではあるけどおっかない天様に力をうばわれてんねん。なーんもできない悠々自適のおっさん。ね?星くん。今日は星くんと吉本見て酒飲んでただけや」
この人だと決めつけたくはないが、露木の目を見ればわかる。この男は亜に密接に関係しているのはわかってしまう。
そして……また天だ。
「悪いけど、本当に関係ないならなんでわざわざ現れたんだ?そして…何故鍵をかけた?」
「ひゃー!さぁすが!!胎で見よったんやな!?俺が鍵をかけたんを!?最高や!!天と同じくらいか、いやそれ以上かもなぁ。人間とのハーフなんに。ああ、それを言えば雷、お前も白龍ちゃうもんな?」
とにかく雷をイラつかせたいのか軽快な関西弁で追い詰める口調を並び立てる。
そして口調に合わせるかのように、マルは身体を小刻みに揺らした。
「マルさん!?身体から……煙が!?」
マルさんの足元からは沸騰したお湯に群がる湯気が立ち上がっている。
不思議と温かみは感じない。
「あー、星くん。俺って澄と菫兄弟の属性知らんか?」
「知らないです。あんたは難波で知り合ったただの友達ですから」




