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第10章 Two Sides of the Same Coin【お迎え】

「ほな、星くんまたな〜すぐ会おうや。」


あの後、ビールやらハイボールをしこたま飲んでヘロヘロになった菫を俺はタクシーに乗せた。


「多分きっとこれは…みんなに報告しなきゃいけ…ないけど」


したくない。報告。

特に…露木には。


最近の俺は彼奴の行動や、仕草に振り回されている。

急に神様と言われてモヤついてるのもあるが、

受け入れている自分にも少しばかりがっかりしている。


そして…露木が傍にいる環境に安堵しきっているのだ。


俺は、タクシーを拾った場所から見えた地下道に続く階段になんとなく吸い込まれて行った。


地下道は、飲食店やマッサージ店が連なっていた。

足を踏み入れた瞬間、なんだか自分の身がキュッと縮まり鼠程のサイズになった感覚に陥った。


そんなわけないのに、店の中で働く人間も小さく見える。


この巣穴で全ての世界が完結しているのではないだろうか。


「俺、何線に乗ればいいんだっけ」


スマホの乗換案内を見ていたが、まだ18時程の時間だ。一旦アプリを閉じてお土産に入店した。


「これ、あいつ食うかな」


たこ焼き味のポテトスナックを手に取ると、俺はムシャムシャとぶっきらぼうに食べる制服姿の露木が目に浮かんだ。


あいつ、期間限定とかご当地とか好きだもんなぁ…。


そういや、あいつって普段は高校生の振りしてるって言ってたけどなんでぶっきらぼうなんだ?


白龍の時はデレデレで俺がいなきゃ生きていけない!とでも言いいかねない具合なのに。



「…おい。何時だと思ってんだ」


手に取っていた、お菓子が目の前から消えたと同時に思い出していたぶっきらぼうな声が頭の上から降り注いだ。


「!?露木!!??」


ドクンと胸が高鳴り、一瞬口から心臓が出そうになったが唾と一緒に飲み込んで勢いよく頭上を確認した。


「ったく…LINEの返事も寄越さねーし。電話も出ねえ」


露木は、何故か高校の制服を着ていた。


近くにあったカゴを持ってきて、俺から奪い取ったたこ焼き味の菓子を数個ドカドカとカゴに入れた。


「なんでここがわかった?あとなんで制服?」


…ドクン。ドクン。


飲み込んだはずの心臓は、格納場所を間違えたのか耳たぶで鼓動を鳴らした。


触ってもいないのに、耳全体の温度は高音になっているのがわかる。


久しぶりに見たからだ。この冷たくも、面倒見が良くて、常に俺から離れようとしない露木を。



「ねーんだよ。服。制服しか!別に白龍の姿で迎えに来ても構わ無かったが、今日のお前は…」


露木は、はぁとため息をつくとジッと俺を見つめた。すぐ目を逸らしたが、遅かった。

耳にあった心臓は身体中を駆け巡りここから出せと言わんばかりに暴れている。


「普通の高校生としていたかったんだろう?」


「…別に。俺は今でも普通の高校生だよ」


俺は適当なお菓子をポイポイと露木の持っているカゴに詰めた。


熱を覚ますためには、近くにいてはならない。


熱い。


身体中が、熱い。


込み上げる熱が俺の思考を操ろうとしているのか、

指先から内臓までグツグツと煮え始めた。


「おい。大丈夫か?お前…角、出てるぞ」


露木が俺の腕を掴み、自分の身体に引き寄せた瞬間ーーーー


「――お客様!!おやめ下さいー!!!!」

鼓膜を直接殴られたような、耳障りな金属音と叫び声が地下道に響き渡った。


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