1184話 解呪の方法は?
「その呪いって、具体的なところはわかるん?」
ニーナの頭の上に乗るティナが、そう問いかけた。
コハネは難しい顔をして。
ぺこりと頭を下げる。
「……申しわけありません。そちらの解析も進めているのですが、とても複雑なものでして、さらに時間が必要に……」
「ああ、責めているわけやないで。なんかうちらも手伝えることないかなー、って思っただけや」
「うん……お手伝い、するよ?」
「……私も」
ルリもそう言ってくれた。
最初は人形のような子で。
全てのことに無関心で。
でも、今は色々な表情を見せてくれるようになって。
こうして、みんなのことを気にしてくれている。
なんだか親になったような気持ちで、とても嬉しい。
「はい、ありがとうございます。みなさまのお力をお借りできればと思いますが……ただ」
「ただ?」
「解呪だけを目的とするなら、より効率的な方法があるかと」
コハネはすでに解呪に至る道筋を見つけているようだ。
ただ、俺達はそこに至らず、揃って首を傾げる。
「えっと……解析はまだまだかかるんだよね? それなのに解呪できるの?」
「んー……力でわー! って?」
「母さん……お願いだから、ばかっぽい発言はやめて」
タニアが嘆くけど、まあ、今更気にすることじゃない。
ミルアさんの個性のようなものだし、このままでいてほしいと思う。
「言うなれば、呪いは状態以上の一種です。毒や麻痺、魅了などと同じですね」
「おっ、わかったのだ! 我と……この我と契約したことでレインが得た能力、『状態異常無効化』を利用するのだな!? この我のおかげで!」
「やたらと自分を強調しないでください、浅ましいですよ」
「アニキって、なんでもありっすね」
「しかし、己の能力を他人に応用するなど、可能なのか? 私も知らぬぞ?」
「最初からそういう能力でないと、他人に応用することは不可能です」
その人が持つ能力はその人だけのもの。
天から与えられた唯一無二のもので、他人が使うことは基本的に無理のはず。
俺はみんなと契約して能力を得ているものの、それはみんなの能力を譲り受けたわけではなくて、新しく似たようなものを発言させただけ。
厳密に言うと、似て異なるものだ。
エーデルワイスは、歴代の魔王の能力を使えたりするけれど……
それは『受け継いだ』から。
借りたわけではないし、一時的に移行されたわけでもない。
「なので、ルナさまが言う方法は難しいかと。もしかしたら、そういう研究が進められることで、将来的に可能になるかもしれませんが」
「むぅ、残念なのだ」
「それなら、どうやってタニアの呪いを……あぁ、なるほど。そういうことですか」
ソラはコハネと同じ考えに至ったらしく、納得顔を見せた。
「えっと……にゃん? 結局、どうすればいいの?」
「とても単純な話です。呪いを受けたのなら解呪すればよろしいのです」
「それ、簡単に解呪できるものなの?」
「無理だぞ? 呪いというのは、呪いって呼ばれているから呪いなのだ。そうそう簡単に解呪できたら、それはもう呪いじゃないのだ。呪いだからな」
「……どうしよう。ルナの説明がまったく理解できない私は、ぽんこつなのかな……?」
「安心しなさい。あたしもまったく理解できないわ」
「まあ、ルナの説明はさておき……簡単に解呪できない、ということだけ理解シてもらえれば問題ないです」
そんなものをどうすれば?
疑問に思うのだけど……
少し考えて、俺もコハネとソラの考えていることを理解した。
「なるほど……フィーニアか?」
「さすが主さま、その通りでございます」
「ん? どういうことっすか?」
「なるほどな……私も理解できたぞ」
「教えてほしいっす!」
「思いつくまでは大変かもしれないが、思いつけば、なんだこの程度か、という簡単な話だ。いいか? 呪いというのは一種の状態異常だ。毒には薬草、あるいはポーションを使えばいいように、大抵の状態以上には対策がある」
「むむむ……? 呪いへの対策は……祈祷とか、そういう感じっすか?」
「悪くはない答えだが、フィーニアは関係ないぞ?」
「えっと……あっ、そういうことっすか! フィーニアに治療してもらうっすね!」
正解だ。
不死鳥族のフィーニアは癒やしの力を持つ。
瀕死だとしても助けることができて。
それに、毒などの状態異常に対する効果もある。
そんなフィーニアならタニアにかけられた呪いを解くこともできるだろう。
もしもフィーニアにはまだ難しいとしても、その時はエルフィンさんを頼りにしてもいい。
たぶん、応えてくれるはず。
「なるほど! さすがコハネっす、そんなこと、自分はまったく思いつかなかったっす!」
「ライハであるからな」
「なんか魔王さま、棘のある言い方っす!?」
「……でもさ」
カナデが小首を傾げつつ言う。
「フィーニア……今、いないよ?」
新作を始めました。
今度の主人公は、前世で国を守って死んだ最強の黒騎士。
ただし、転生後の姿は天使のような幼女王女です。
赤子の頃から魔力を鍛え、一歳で魔法書を読み、三歳で剣を握ろうとして、侍女と騎士団を大混乱させます。
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