1185話 二手に分かれて
タニアにかけらえた呪いを解呪するには、一番確実で手っ取り早いのはフィーニア……不死鳥族の協力を得ることだ。
こちらはさほど問題ない。
不死鳥族は、遥か北の大陸で暮らしているものの……
一度、足を運んだことがあるため、ソラとルナに協力してもらい、精霊族が使う転移門を借りれば移動時間は大幅に短縮される。
以前、色々とあって……
不死鳥族の長であるエルフィンさんを始め、色々な人と友好関係を築くことができたから、たぶん、断られることもないと思う。
少しの間、竜族の里を離れることになるが……
問題といえばそれくらい。
とはいえ。
「まだ、ちょっときな臭い雰囲気なんだよな」
グローヴェインとの決闘に勝利して、タニアが望まない婚約を破棄させることに成功した。
また、その決闘を見ていた他の竜族から認められることになって、わりと友好的な関係を築くことができたと思う。
ただ、それは一部だけ。
グローヴェイン派の竜族は、未だ態度は硬く。
時に睨みつけるかのような視線をぶつけてくる。
厄介事には関わらない。
それが正解なんだけど……
この様子を見ると、向こうから関わってきそうなんだよな。
ここで里を後にしたとしても、今後、より大きな問題となりそうだ。
そんなことになるなら、もうしばらく里に滞在して、根本的な問題を解決したいと思う。
竜族だけの問題ではなくて。
タニアだけの問題ではなくて。
もっと、それ以上の……
大きな『なにか』が水面下で蠢いているような気がしてならない。
まあ、これは俺の勘のようなものだ。
外れている可能性は十分にある。
というか、外れていてほしいと思う。
……というようなことをみんなに話したら。
「確かに、レインの言う通りですね。ソラも、まだなにかあるのではないか、と思っていました」
「タニアの解呪は大事だけど、でも、ここも気になるよね。私も、もう少し里に残るっていうのは賛成!」
「では、二手に分かれるというはどうでしょう?」
コハネが言う。
「里に残るチーム、外に出てフィーニアさまを探すチーム。この二つに分かれるのがよろしいのではないかと提言いたします」
コハネがとてもわかりやすいことを言って、
「「「っ……!!!」」」
瞬間、いきなり場の空気が緊張した。
ピリピリしているというか。
突然、戦場のようになったというか。
互いが互いを牽制しているような感じ。
「「「レインはどっちに行くの!?」」」
そして、みんな、ほぼ同時に問いかけてくる。
「えっと……?」
なんで、俺のことをそんなに気にして……あ。
もしかして、そういう……?
一緒にいたいから、とか……そ、そういう理由……なのか?
「……」
「レイン、顔が赤い」
「どう……したの?」
「いや……なんでもないよ」
ルリとニーナが小首を傾げた。
以前は、恋愛方面は苦手……というか疎くて、なかなか察することができず。
みんなを色々とヤキモキさせてしまって。
さすがに、いつまでもそれはまずいと、俺なりに改善しようと努めて。
結果、以前よりはそれなりにまともになったと思うのだけど……
なったらなったで、みんなから向けられる想いをそれなりに理解できるようになって。
それはそれでこそばゆい感じがして。
ようは……
みんな、俺と一緒にいたい、っていうことだよな?
その気持ちはすごく嬉しいんだけど。
ただ、ストレートな想いに照れてしまう。
恥ずかしさもある。
……こういう気持ちにも慣れないといけないんだよな。
恋愛って大変だ。
妙なことを考えつつ、仕切り直すように言う。
「俺は……」
新作を始めました。
今度の主人公は、前世で国を守って死んだ最強の黒騎士。
ただし、転生後の姿は天使のような幼女王女です。
赤子の頃から魔力を鍛え、一歳で魔法書を読み、三歳で剣を握ろうとして、侍女と騎士団を大混乱させます。
「中身おっさん騎士な幼女王女が、真面目に国を守ろうとして周囲から女神扱いされる話」が好きそうな方は、下のランキングタグから読んでいただけると嬉しいです。




