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双眸妖異譚  作者: 夜澄レイ


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少年と天椿

 今日も今日とていつも通りの日常を送るつもりだったのに今日は妖関連の依頼が入った。差出人は不明。内容は殴り書きのように書かれた住所と保険の文字。そして椿の印。


見覚えが無いわけが無かった。ここから近い神社の印だったからだ。其処の古い神主とは顔見知りだから恐らく其方の方だろう。内容が分からないけれど保険ということは何かあるかもしれないと重い腰を上げた。


「雪〜仕事〜?」肩にどっさりと重みが掛かる。重たいのだが……いつも通りのこと過ぎて少々ツッコミづらい。「嗚呼、仕事だ。世話になっている神社からのな」「ふ〜ん」と興味無さげに開いてある依頼文に目を向けた詠が呟く「これ早めに行った方がいいかもね〜〜俺はどうでもいいけど、多分神主さん死ぬよ」ガタッと椅子から立ち上がる此奴のこう云った言葉は大体当たる。頭を掻きながら羽織を着て外に出た。


 肌寒い空気の中走った。頬が冷たく感じたが気にも止めずただ走った。もう知り合いが死ぬのを見たくない。


暫く街を走り山へ入り天椿神社へと入る。ここは他の神社とは少し違う神域であり、特殊指定区域であるからあまり近寄ることを許されていない。だが今回は急を要する可能性がある為政府には見逃して欲しいものだな。


神域に入ると、少年の叫ぶ声が聞こえる痛みに悶える声だ。民間人が巻き込まれた…?いや違う、恐らく神主の……


頼むから生きていてくれ。強く唇を噛み締めた。森へ向かった。妖の匂いがする方へと。そこで見たのは紛れもなく、知り合いの神主と小さな気弱そうな少年。傷を抱え木に横たわっている。「間に合わなかったか…ッ」


「雪見て、あの少年まだ生きてるよ」詠の言葉で地面へと向けていた瞳を少年へ戻す。少年が立ち上がっているのだ。先程と違う風貌をして。髪は長く傷も癒え赤く光る瞳で妖を捉えていた。「これは…」「憑依型の神力…!噂程度ではあったが本当にあったのか!」少年は神主が所持していたであろう刀を持ち、足に力を入れる。正面の妖を一突きした。妖が叫び声を上げ、首がドサッと落ちるのと同時に身体が消滅を始めていた。


少年は切っても尚鞘に刀を仕舞う姿のまま留まっており、姿も一向に戻らない。「少年」と声を掛ける。するとそれはギラリとこちらを振り向き刀を抜こうとした。「させる訳ないだろっ」パチンと詠が指を鳴らすと神力から少年は解放されドサッと身体を落とした。


「さーて、色々聞きたいことは山程あるけど取り敢えず少年の事助けてくれてありがと、天椿サン」「お主ら、コヤツの知り合いか?」生まれて間もないからなのか実体を持たぬ幽霊のようにフワフワと飛んでいる。「何方かと言うと後ろの倒れてる神主の方と知り合いではあるが」「まぁ良い何となく状況は察した、其方相当強いと見た、少年と我を匿えはせぬか?」「それに関しては少年次第だな」「提供する代わりに仕事を手伝えばの話だ」「良かろう、話してからでも良いわ」「さて、我は眠るからの」「少年の事は任せたぞ」


少年の身体の中にスルスルと戻っていく。「なぁ、雪」「これ絶対に面倒事持ってくる類だぞ」「分かっているさ」それでも守らなければいけない理由があるから、この少年は保護するべきだ。神力を使える祓魔師であり、それでいて憑依型の神力使いとあらば彼奴らは喉から手が出る程欲しがるだろうからな。


過去の過ちは二度と起こさせない。詠が到着の際に生命を確認してくれたが残念ながら間に合わなかった。命を賭して守ったこの子を守る。それが私の今の使命だ。


「さてと…っ」倒れた少年を背中に背負い、山を降りる。詠が手伝ってくれればいいが生憎此奴は手伝う気がサラサラないのがムカつく。私だって腰が痛いというのに…


さーて事務所に戻るまでに何度腰が悲鳴を上げるかな。

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