表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使の探究者  作者: はなり
第五章 忘却再生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
83/88

要塞都市戦(四)



紅羽はようやく三人が分かれた分かれ道に戻って来た。


「たしか、真ん中だったな・・・!?」


紅羽が一歩踏み出すと右側の道に凄まじい殺気を感じ、立ち止まる。


(この道は詩織!?まさか何かあったのか・・)


「何者だ!?」


「・・・・あれ?兄貴じゃん」


「詩織?」


暗闇から現れたのは詩織だった。特に変わった様子はなくキョトンとしていた。


「どうして戻って来たんだ?お前も行き止まりだったのか?」


「・・・そうなんだよねー、てことは兄貴もか。なら糸音の道が正解かな」


「みたいだな。とりあえず急ごうぜ。なんだか嫌な予感がする」


「はーい。じゃあ早く行こ!」


「おうよ」


(なんだったんだ?さっきのは・・・まぁいいか)



「ところで夕凪糸音殿。言い忘れてましたが、と言うよりあなたが先走ったせいで伝え忘れてましたが、薬は一本しかありませんよ。どうするおつもりで?」


「そんなの、ルクスリアに使うしかない。子供には悪いが、ルクスリアはこの革命の要、ひいては今後この地方の現状を立て直すためには、彼女の様な人間が絶対必要になる。だから、ここでルクスリアを失う訳にはいかないんだ」


「素晴らしい!建前であり、その身、事実冷酷な人間性が見えますね、あなたは」


「うるさい!」


糸音が振るう針剣がジャックの腕を引き裂く。瞬間、腕が再生。そんな風にジャックの体を斬り倒し、しばらくの時間が経った。ジャックも爪を尖らせて糸音の攻撃に応戦する。凄まじい速さでぶつかり合う両者。しかし、やはり吸血鬼のアドバンテージがある分。ジャックに分があった。それもそのはず、吸血鬼は不死身。ジャックのステージは詩織の言っていたステージ三に近づきつつあった。


「さぁさぁ、どうしますか?疲れが見えますねー夕凪糸音殿。まだまだ、こんなものではないでしょう!」


「化け物が!・・・!?」


珍しく糸音が隙を突かれた。ジャックの爪が腹に刺さり、そのまま投げ飛ばされ壁に叩きつけられる。


(おかしい・・・・なんでこうもイライラする・・・さっきから攻撃が絶妙のタイミングで躱される。まるで先読みでもされている様な・・)


「糸・・おん・・・」


ルクスリアの霞む目には糸音の姿が映る。かろうじてルクスリアの意識はあった。そして、ルクスリアは叫んだ。糸音に伝えるために。


「糸音!!そいつの話を聞くな!!そいつの声には人の心を奮闘させ、冷静さを裂く力を有している!!だから、無心で戦え!!!!」


「ふん。まだ意識が。それに余計なことを・・・まぁ、耳が聞こえる以上、不可能な話ですが」


(なぜならそう、私の声に秘密があるのですから・・・声の出し方、話し方で相手を刺激し、落ち着かせることも、奮闘させることも可能にしている。どうやら、あなたはなまじ耳が良いみたいだ。軽く効いてしまう。そして私は吸血鬼、死なない体。まさにグレート!)


「ルクスリアのやつ、自分がやばい状況ってのにデカい声なんかだすんじゃねーよ」


(でも、なるほどな。たしかに、さっきからおかしいとは思ったんだ。妙にイラつく。それも全部こいつの声が原因ってか)


糸音は立ち上がると、懐から針を取り出し、辺りへと投げ飛ばす。その針には目では視認しにくい細い糸がついていた。糸音によって辺りには糸が張り巡らされた。


「何をするんですか?こんなに糸なんて張って。私の動きを封じるつもりですかな?・・・・いや、よく見ると・・針と針で紡がれた糸の線上に、少しばかりの小さな針がぶら下がっていますねー」


糸音はそのぶら下がった針目掛け、持っていた自身の針を投擲する。投擲した針はぶら下がる全ての針に当たり、金属音が鳴り響いた。


「なかなかうるさいですねぇ。何をしているのか全くわかりませんが、こないのならこちらから行きますよ」


ジャックは糸音へと接近。糸音はその場から動かず。そのかわり、目を閉じ針剣を構えてた。


「おやおや諦めましたか!夕凪糸音・・!?」


糸音はジャックのナイフを、目を閉じたまま躱して、すかさず針剣で反撃をくらわせた。

一秒間に約十回の乱れ突き。ジャックの四肢は引き裂かれ破裂した。糸音が放ったのはただの乱れ突きではなく、音波を切っ先に乗せた波状連撃。突かれた箇所が、切っ先が当たるのと同時に爆散。音の異能を駆使した糸音独自の技。


「やっ・・たのか? 糸音・・」


「残念でしたねぇ」


ジャックは闇の中から再び現れた。


「やはり、()()()()()()()()()()()()。まったく小賢しいな」


「イエス。私は吸血鬼になるのと同時にある特異な能力に目覚めましてね。影へ潜ることができるのですよ。さらに、そこにはあらゆるモノを収納できるんですよ。だから、私はやられる寸前、体の一部を切り離して影に潜ませておきました。しかし、何故避けれたのですか?まさか耳栓を?」


「なるほど、影か・・・耳栓?そんな物は持っていない。ただ私は、針が奏でる音の波長でお前の声の波長を中和したまでだ」


「くっくっくっ。なるほど。この金属音はそのためですか。器用な事を・・・これも耳が良いあなただからできる芸当!本当にあなたは楽しませてくれますねー。しかし、それが出来たところで、どうやって私を殺しますか?」


「はっは。さてそうだな、どうやって殺そうか」


ドンッ!


その時、入口の扉が前触れなく吹き飛んだ。砂煙がはけると、そこには紅羽と詩織がいた。


「いきてるかーーーー?」


「ルクスリア!糸音!加勢するぜ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ