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天使の探究者  作者: はなり
第四章 賭博戦場

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ゲームセット


「ブラボー!素晴らしい戦いでした!」


軽快に拍手をしながら上階から降りてきたのは、ゴトー・リスク。このゲームの最後のプレイヤーだった。


「ゴトー。終わりだ、私たちの勝ちだ」


「残念です・・・ですが!ガール達はとても良い戦いを見せてくれました。ここに感謝を・・・」


ゴトーは、わざとらしく深々とお辞儀をする。


「ボス!時間がないですよ!あと五分くらいです!」


「ゴトー。お世辞や、賛辞ならあとでいくらでも聞いてやる。さっさと能力を解け!先に言っておくが、もし仲間が死ぬようなことがあれば、私はお前を殺す」


「安心してください。そうはなりませんから・・・では、ゲームセット」


パチンッ


ゴトーが指を鳴らす。

それを確認した糸見は床に横たわるフィの懐から、件の薬と注射器を取り出し、フィの体へと注入する。数秒後、フィはゆっくりと目を開けた。


「・・・ボス・・よかった。勝ったのですね」


「あぁ。フィ、少し休め・・・・・ゴトー・リスク。ありがとう」


「いえいえ。では、約束通り情報を公開しましょう」


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ヘイオーだと・・なるほど。あそこは、この国にある大都市のひとつだが、離島にあってこの大地からかなり離れている。しかも、ここ最近までは他三都市と違い、流通も遮断していたしな。国交が回復したのはほんの数年前。たしか、その周辺は未だ未開拓地で知らない島も多いと聞く。たしかに、あの周辺なら隠れ蓑にできるな」

 

「ええ。しかも、宗谷の異能で今は霧に包まれた海上の島と化しています」

 

「霧の異能・・・そうか。もしやと思ったがアイツだったのか。はっは、色々繋がったな」

 

「宗谷は今や未凪家と夜月家とも協定を組んでいます。敵は結構、厄介な粒ぞろいですよ」

 

「夜月。・・・なぁ、あんた、ここの地下でのことは知っているのか?」


「なんのことだ?シーバ」


「はい。ここの地下ではシファという男が若者に法外な借金をさせ、戦わせ、生き残った者を夜月家に売っていたんです」


「人身売買か・・・ひどいな。それで、ゴトー、あんたはそれを知っているのか?」

 

「ええ。シファが勝手にやっていたのでしょう。金になるからと言っていましたね。まぁ、金になるならと私は咎めなかったですが。結果、このカジノの大きな支えとなってましたから。私にとってはどうでもいいことです。むしろ、良いのではないでしょうか。つまらない若者の人生が愉快になって、金に変わる。私はとても素晴らしいことと思いますが。おかげで私はしばらく退屈せずに済みましたしね。シファには感謝です。ですが、私は新しい玩具を見つけました!あなたたちです!どうです、私に雇われてみませんか?」

 

シーバはゴトーの言葉に怒りを露わにした。そしてゆっくりとゴトーへと近づき拳を振り上げる。

 

「シーバ!やめておけ・・」

 

怒るシーバの拳を、起き上がったフィが止めた。


「だが!・・・!?」


その時、静かな殺気がホールを包む。それは糸見の静かなる殺気。冷たく、鋭い、それだけで死にそうなくらい、心臓を刺すような殺気。

 

「必要な情報は手に入れた。任務は達成だ。帰るぞ・・・っとその前に、そこの少年の埋葬と・・・スーツの男に預けたゴルドーと、モーティブの手当をしてからだな」


糸見はそう言うと、ゴトーの誘いを無視して、モーティブを担ぎ静かに歩きだした。シーバは少年の死体を担ぎ、フィもその後に続く。糸見は階段に足を掛けた瞬間、空中を指で軽く弾いた。


その瞬間、()()()()()()()()()()()()()()()()となった。


 

「えー。先日、カジノミッシェルで起こった騒動ですが。複数の謎の変死体を発見。そのうちの一人は、カジノのオーナー、ゴトー・リスクさんだということです。犯人の痕跡は全くなく、未だ解決には至りません。ですが、ペルシャナ警官隊のカジノへの家宅捜索の結果、カジノの闇が暴かれました。カジノの地下で保護された少年の話によりますと、地下では違法な殺し合いが行われていたそうです。これを受け、従業員、関係者は全員逮捕。カジノミッシェルは解体。今後、この街の最大の観光地はなくなり、財政的にも不安の声が上がっております・・・・・・」


あれから三日後、糸見達はペルシャナのホテルに滞在していた。その一室、糸見が一人テレビから流れてくるニュースをつまらなそうに見ていたら、部屋の扉の前に人の気配を感じた。


コン、コン、コン


扉をノックされ、糸見は警戒をしながら扉へと近づき開けると、そこには意外な客人がいた。


「何の用だ?・・というか捕まって無かったんだな、お前ら・・」


そこにいたのは、先日、カジノで激闘を繰り広げた、モーティブとゴルドーだった。


「ええ。私たちは殺し屋ですからね。そう簡単には捕まりませんよ」


「それで、何しに来た・・・まぁ、入れよ」


糸見は辺りを警戒したあと、二人を部屋へと招き入れた。糸見はソファに座り、二人を見る。


「それで、感謝の言葉でも述べにきたのか?」


「まぁ、それもそうですが。私たちは元々、ゴトーに雇われた身。依頼者は死に、今は数年ぶりにフリーとなってしまいました」


「なるほどね・・・それで、まさか私に雇ってくれって言うんじゃないだろうな。それならお断りだぜ」


「いえ。私たちは、あなた方と行動を共にしたい。あなたの生き方に非常に興味を持ちましてね。どうでしょう?頼めないでしょうか?戦力的には役に立つかた思いますが」


「私は、モーティブと少し違いますが、糸見様の御側にお仕えしたい所存でございます。元々、四々皇家にお仕えしていた身。久方ぶりに出会ったあなたの力となりたい」


「ふん」


(二人は十分に強い。そうでなくても二人の異能の力は便利だ。それにゴルドーの方は四々皇家と繋がっていて、今後色々と役に立ちそうだし・・モーティブは戦闘面にも偵察役にもその異能で役に立ち、今後動きやすくなるか・・・・信頼はまだできないが・・それは追々か・・総合的に見て、損はないか)


「・・・いいぜ。二人を、夜光の衛に招こう。これからよろしく」


「ありがとう。この命、救ってくれたあなたと共に・・」


二人は仲間となった。その後、しばらくしてフィとシーバが戻ってきた。フィもシーバも特に何も言わず二人を迎えた。その後、五人はしばらくホテルに滞在して体を休め、夕凪邸へと向かった。

さらに三日後、夕凪邸に着いた糸見は、涼香、遊、シャオ、志貴たちのいるロビーに続く扉をノックなしで開け放った。

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