表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使の探究者  作者: はなり
第四章 賭博戦場

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/79

ファーストゲーム(一)

糸見は辺りを警戒しながら地下にいる二人と合流する為、地下へと続く階段へと向かう。

 

(敵は三人、いや正確には四人か。おそらく、ゴトーは監視カメラで私たちの様子を見ている。別にそれはイカサマではない。ルールには則っているし、そもそもルールにないから問題はないのだろう。厄介なのは、私たちの動向がバレていることだ。だが、敵の居場所を探るより、あちらから来てくれる方が手っ取り早い。敵の中には、異能力者もいるだろう。・・・こんな狭い場所だ。ド派手な能力を使ってくることはまずないか。だとすると、ゴトーの様な変わった能力者もいるに違いない。まずは敵の出方を見よう。針が使えない以上、大技は使えない。糸ならあるいはいけるか・・・・このルールのあなをつけば・・・ひとまず、合流してからと、思ったが・・・・)

 

「いるな」

 

糸見はスロットマシーンが立ち並んだ無人のレーンで足を止める。人がいないはずなのに殺気を感じる。

 

(こいつは、もうすでに敵の能力の中なのか。さっきまでの賑わいが無くなっている。しかも不自然にこのレーンだけが全く人がいない。それにレーンから気配を感じる。なるほど。あえて誘っているのか)

 

「なら、のってやるか」

 

糸見は静かな足取りでそのレーンへと入っていく。すると糸見の入ったレーンの反対側のスロットマシーンの影から初老の紳士服の男が現れた。

 

「やはりな」

 

「お久しぶりです。糸見様。いえ、こう呼びましょうか。四々皇糸見様」

 

「!?」

 

糸見は驚いた。なぜなら、糸見にとってそれは捨てたはずの名前だったからだ。


「あなたの事は知っていますよ。と言っても、まぁあなたがまだ小さい時にお会いした程度で、ほとんどは噂話でですが。何を隠そう、私は四々皇家に支えていた執事でしたから」

 

「・・・・まさか、こんな所でその名前を聞くなんてな。それで、今さら私を連れ戻しに来たのか?」

 

「いえ。私はもう四々皇家の人間ではありませんから。あなたの噂は度々聞いております。大きくなられたあなたとは、ぜひお手合わせしたかったので。ようやく念願叶います」

 

「そうか。すまないが、私はあなたのことは覚えていない。・・・・母様は息災か?」


「えぇ。私があの家を去ったのは一年ほど前ですが。ご夫妻様はお元気ですよ。あなたの妹君もね・・・」


「そうか。妹ができたんだな。だが、私にはもう関係のないことだ」


「私もです。では、始めましょうか」


二人の間に突如、緊張感が走る。

 

(それにしても、奴の能力はなんだ?人避けの異能か、空間を隔離する能力か。どちらにせよ、まずは様子見だな)

 

糸見は男へとゆっくりと歩きだす。するとその道中、何かが糸見の肩にぶつかった。

 

(・・・なんだ?何にぶつかったんだ?)

 

「おや?どうしましたか?」

  

糸見は異変に気付き、近くの椅子に乗ってスロットマシーンの上へと移動する。

 

(何かおかしい・・・)

 

「マシーンは壊さないでくださいよ、お高いそうですから。まぁ、上に避難したのは正解です。そこでなら堂々とやり合えますから」

 

糸見は警戒しつつ一歩前へ進むと先ほどの現象は起こらなかった。しかし、マシーンの上から下の様子を伺うと、有りえない物を目撃した。なんと、スロットマシーンが一人でに動いていたのだった。

 

「座ってしまいましたか」

 

「・・・なるほど、そういうことか。客の目から私を見えなくしたな。・・いや、違うな。私を見えなくしたのか。先ほどぶつかった何かは、ここの客じゃあないのか?」

 

「ご名答。私の能力は、任意の人間の存在を消すことができる異能。消された人間は私以外認識することができません。もちろん私もあなた以外からは消えています。さらに消された人間は他人を認識することはできなくなります。なので見えず、気配も感じられない。」

 

(厄介だな。もし私が無人だと思って攻撃した先に人がいたら、それでこのゲームは終わっていた。危なかった。だが逆に考えれば、存在が消えているおかげで騒ぎは起こらないということだ)

 

「さて、どうしますか?」

 

「こうするのさ!」

  

糸見はスロットマシーンの上から男に近づくため駆け出した。誰もいないであろう椅子に飛び降りて男との間合いを詰め、攻撃を仕掛ける。拳が当たる直前、糸見は攻撃を途中で止めて手を引っ込め、距離をとった。

 

「正解です。今、私の前を男が一人歩きました。しかし気配でわかるんですね。普通、気配ではわからないはずなんですが。私の能力にも少し欠点があるみたいですね。勉強になりました」

 

「昔から人の気配には敏感なんでね。それに視覚や聴覚、嗅覚がやられているだけで、第六感は働くんだよ」

 

(まぁ、とは言ったものの。やはり、やりずらいなこれは)

 

「では、今度はこちらから」

 

男の手に光る何かが見えて飛んできた。

 

「!?」 

 

糸見を男の手から放たれた何かを躱す。それが飛んだ方をみると、壁に当たりめり込んでいた。

 

「コイン、か」

 

「そう、これはコイン。あなたに一つお教えしましょう。ルールついて。

・・・第一のルール、武器の仕様不可。これは言葉通りなんですよ。オーナーの異能はその空間にいるものと制約を交わして。絶対ルールの元、ゲームを始めさせる能力。時間は無制限。これは絶対なんですよ。そして、私は()()()()()()()()()()()です」

 

「なるほど」


(やはりあったか。ルールのあな。ルールがコインを武器として認識しなかったのは、アイツが本当にただ飛ばしただけだったということか。それに意味なんてない。ただ飛ばしただけでこっちを狙ってはいないのだろう。それか、もしくは武器という、言葉としての一般的な意味と、このルールが認識しているからコインが武器になりえなかったのでは・・・普通コインを武器に使う者などいない。ならば、糸はどうだ?いや、それ以前に拳で殴るのは。さっきは攻撃が当たらなかっただけで、武器と認識しなかった。おそらくルールが認識しているのは、あくまで武器としての本来の意味・・・ならまとめると)


一、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

二、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「いきますよ」

 

糸見の思考がまとまったのと同時に、男が次から次へとコインを飛ばしてきた。

糸見はそれを躱しながら、再びスロットマシーンの上に乗りレーンを移動する。男はコインを飛ばしながらゆっくりと糸見を追う。

 

「たしかに、上を移動すれば人には当たらないでしょう。こちらからしたらいい的になっているだけなのですが・・」

 

糸見はしばらく行ったところのレーンでスロットマシーンから降りる。そしてホールの一番賑わっている場所、透明な人たちの輪の中でしゃがみ込む。

 

「なるほど。それなら私は攻撃できませんね。少し待ちましょうか」

 

男は優雅に壁にもたれてタバコを吸い始める。

その様子を見て糸見は一息ついて、戦略を練ることにした。

 

(ひとまずは大丈夫だが、この集団も長くは持たない。ここからどう反撃するかだな。人の気配は把握できるが、正確に体の大きさまではわからない。下手に攻撃して掠っただけでもルールに抵触してしまう可能性がある。だからといって、このままという訳にはいかないな。早く二人と合流しなくては・・・そういえば。さっき、少しぶつかっただけだったが、ルールには抵触しなかった・・・もう一度ルールとともに整理しよう)


一、武器は禁止。銃火器類、針など禁止。

(言葉通りで受け取るなら、使用自体が禁止だ。でも、アイツはコインを使って攻撃してきた。ルールがコインを武器として認識しなかった)

二、他のお客様に危害を加えてはいけない。もちろん意図せず攻撃した場合もだめ。

(これに関しては、さっきの疑問で解消された。おそらく、ぶつかっただけと客が認識したためか、ルールが攻撃と認識しなかった。もしかしたら、死を招く攻撃が当たったりすれば、その場でアウトなのかもしれない)

三、店から出てはいけない。

(これはまだいいが、おそらくこれにも何らかのあながあるな)

 

糸見は目を閉じ、しばらく思考する。数秒後、目を開け、考えをまとめ上げた糸見は一つの案を思いつき動き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ