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天使の探究者  作者: はなり
第三章 動乱平定

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ヘルフェブル夜戦(六)

「飼い主が食われたな。これで、誰もコイツを制御できない」

 

「そういうことか。まったく、やってくれたね神無。あのまま攻撃を続けてたら簡単に勝てたかもしれないのに」

 

「ばか、そんなのつまらないだろ」

 

キメラはテディを捕食し終えると神無達の方を見て、先ほどよりも凄まじい速さで迫ってきた。一瞬で間合いをつめられて、鋭い爪が神無を襲う。

 

「ふん、やっぱりな。あのごみに制御されていたから全力が出せなかったのだろう。でも、これは予想以上だぜ」

 

神無はキメラの鋭い爪の攻撃を小太刀で受けきる。ミツギはすかさず縄を取り出し、キメラの足に巻き付ける。

 

「よし!いけた!・・ふんっ!」

 

ミツギが引っ張るとキメラは盛大に倒れる。

 

「ミツギ!そのまま抑えてろ!」

 

神無は小太刀でキメラの頭部へと斬り込む。

 

うぎゃああああ!!!

 

キメラの頭部から血しぶきが上がり、キメラは叫び声をあげ暴れ狂う。

 

「ヤバい!さっきより、力が強い!・・・ぐはっ!!」

 

ミツギが縄で抑えていたが、キメラの尻尾が横薙ぎにミツギの横腹へと直撃。そのまま近くのビルの壁まで吹っ飛んでいき激突する。

 

「ミツギ!・・ぐはっ!」

 

さらにキメラの尻尾が暴れ狂い神無の横腹にヒットする。神無もミツギと同じ壁まで吹き飛び激突する。

 

「よっ、よう、ミツギ・・」

 

「よう、って大丈夫なの?」

 

「あぁ、なんとかな・・・・!?」

 

気づくとキメラが目の前へ飛んできていた。既のところで二人は襲い掛かって来た爪の猛攻を躱し、すかさず小太刀で斬り込む神無。ミツギは縄を一本の足に巻きつけ引っ張りバランスを崩すにかかる。しかしキメラは踏ん張り止まった。キメラは神無の方を狙い、凶暴な爪の連撃で襲う。神無はそれら全て受けきり、キメラの爪を全て粉々にする。

 

「これで、引っ掻けないな」

 

しかし、キメラは拳を握り締め、隕石ほどの大きな拳で神無は横薙ぎに殴られ吹っ飛ぶ。

 

「神無!」

 

キメラは止まらず、飛んでいった神無の方へと駆け出し、流星群の様な拳の雨を浴びせる。

神無は次から次へと繰り出される拳の流星群を小太刀で防御していた。

 

(こいつ!初撃よりも力と速さが桁違いだ!反撃ができない!)

 

ミツギは神無の元へと駆け出し、縄をキメラの体に巻きつける。それを全力で引っ張り上げ、重いキメラの体を宙に上げて、近くのビルの壁へと吹っ飛ばす。ビルは瓦解して砂煙が舞い上がる。

 

「おいおいすげぇな・・ミツギの奴・・・今後、怒らせないようにしないとな」

 

キメラの姿は砂煙で見えなくなり、ミツギが神無へと駆け寄る。

 

「大丈夫か?神無」

 

「ああ、それよりあの化け物、さっきと動きがまるで違うぞ。あの感じだと、おそらく知能がある」

 

「もう・・やっぱりあの時、洗脳解かなければ、簡単だったのにー・・・まぁ言っても仕方ないけど。それで、どうする?」


「そうだな・・・・」

 

(あの馬鹿力、それだけならまだいい。だが、徐々に自分の力の使い方を理解し始めている・・となると、早めに仕留めないと、厄介だな)

 

神無が戦略を考えていると、どこからか陽気な声が聞こえてくる。

 

「おーい!神無ちゃん達!大丈夫かー」

 

「ふん、タイミングが良いのか悪いのか・・・」

 

戦いを終えた槍士と真宵が合流し、二人はミツギから現状を聞く。


「なるほどな。なら四人でやるしかねぇな」


「神無・・いいよね?」


「そうだな。仕方ない・・・すまなかったな、ミツギ」


「うんうん。いいよ、わかってるから」


「しかし、まさかキメラを出してくるなんて。やはり今回の件、夜月家がからんでいますね。まぁ、ひと先ずこの場はあの怪物をどうするかですね」

 

そして、その怪物は今、ビル倒壊で起きた粉塵が消え去り、立ち尽くし四人を見つめていた。まるで獲物を選別して、狙いを定めているように。

 

「一気に攻めましょうか。先輩と神無さんは近距離での攻撃、僕とミツギさんでそれを援護しましょう」


「おっけい!自由に動いていいぜ、神無ちゃん!合わせるからよ」


「ふん、ちゃんはやめろ。まぁ不本意だが、今は言ってられないしな。任せる」


「僕は、毎度のことながら縄で動きを止めるよ」


「では、皆さんお願いします!」

 

真宵の言葉で一斉に駆け出した。

キメラもそれに反応して動きだし、助走なしで拳を突き出して一気に飛んでくる。先に狙われたのは神無だった。


「なんだ、随分と好かれてるな」

 

「いくぜぇ!!」

 

神無が攻撃を躱し、キメラに少しの隙ができる。槍士は飛んで、槍で怪物キメラの体に斬り込む。しかしキメラは微動だにせず。槍士の方を向くと、拳を槍士に頭上へと落とす。その速さに避けられず槍士の頭上に直撃するが、かろうじてそれを槍で受けきる。

 

「っっっ!?・・こいつは、パンチの効いたげんこつだぜ!重てぇ!」

 

拳の重みで槍士の足は地面にめり込む。

 

「先輩!そのままで!」

 

真宵がキメラの頭上から急降下してきて、キメラの目を抉る。

 

うぎゃああああああ!!!!!

 

怪物キメラは断末魔をあげると片目を抑え悶える。

 

「よし!効いてますね」


「真宵、その姿・・」


「先輩、今は戦いに集中を!」


さらに追撃、ミツギが縄をキメラの体と足元に巻きつけその巨体を倒す。

 

「一気に決めてやる!」

 

体制を立て直した槍士と、今か今かと待ち望んでいた神無がキメラの顔や体に斬り込む。神無はまず先に、邪魔になるだろう尻尾を切り落とす。槍士は身動きが取れずジタバタするキメラの体へと次から次に斬り込む。その四人の光景は、まるで猛獣を狩る狩人そのものだった。

 

うぎゃあああーーーう!!

 

キメラは痛みで暴れだすが、渾身の力でその動きを封じ込めるために踏ん張るミツギ。

 

「いけるぞ!そのままやれっ!!」

 

「よし、トドメだぜ!」

 

そのまま槍士と神無はキメラの首を落としにかかる。四人の連携は完璧だった。キメラは自身の生命の危機を感じたかのように断末魔を上げてより一層、激しく暴れまわる。

 

「くっ!!踏ん張れーーーー僕っ!」

 

ミツギは踏ん張るだけでは止められないと感じ、さらに力を入れて引っ張り動きを封じる。

暴れるキメラの首を槍士と神無は狙った。そして、静かにキメラの首が落ちた。

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