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天使の探究者  作者: はなり
第三章 動乱平定

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ヘルフェブル夜戦(二)

「おいおい、真宵!てめぇ、逃げてばっかでつまんねぇぞ!さっきまでの威勢はどうしたんだぁ!」


(とりあえず落ち着こう・・・挑発に乗れば足元をすくわれてしまう。それじゃあ、先輩の言った通りになってしまうな。幸いにもこの工場は大きい。それに物がたくさんあって潜伏ができる、僕の得意な地形だ)


真宵は工場の中をカラクの攻撃を躱しながら物陰に隠れ潜んでいた。


「こそこそと、めんどいなー。早く出てこねーとてめぇの妹を・・」


ドンッ!

カッ!


闇の中、弾丸が飛び交ったが呆気なくカラクの剣で防がれる。

 

「っち・・いったいどこから撃ってんだか」


(ダメだ・・考えても埒が明かない。ここは・・!?)


シュンッッ!


物陰に隠れていた真宵はいつの間にか近づいてきたカラクに気づかなかった。鋭い剣が真宵の頭上から振り下ろされたが、ギリギリで躱すことができた。

逃げる真宵を追撃するカラク。真宵は上手に物陰に隠れながらそれらを躱していた。


「どうした!逃げてばっかだぜ!」


「っく!」


バンッ!


「はずれだ!・・おっ?」


シュ、シュ、バンッ!シュ、シュ、シュ、バン!


「やるじゃねーかー」


真宵はカラクに追われながら、持っていた拳銃とナイフで応戦する。しかしカラクはそれらを飄々と躱す。


「甘えよっ!甘すぎるぜ、真宵ちゃん!!」


ドンッ!


「っぐ!」


真宵はカラクの蹴りで後方にある積み上げられたタイヤの山へと吹っ飛ばされ、砂埃が辺りに舞う。


ドン、ドン、ドン、ドン、ドン


真宵は砂煙の中から銃を乱射するがそれはカラクの剣によって全て弾かれる。


「乱射か。どこ狙ってやがる!へたくそが!」


ドン、ドン、ドン、ドン、ドン


「くっそが、またか!」


真宵は構わず銃を乱射するが、カラクの剣によって全て弾かれる。カラクは一気に砂煙の中にいる真宵との距離をつめ、剣を振り上げる。


シュン!


「ん?」


しかし剣は空振り、空を斬る。砂煙が晴れたが、そこには真宵の姿はなかった。


「あん?どこいきやがった?」


ドン、ドン、ドン、ドン、ドン


(・・後ろかっ!)


振り返る。だが、カラクの背後には誰も居なかった。その代わり銃弾が向かって飛んで来ていた。


「鬱陶しい!」


銃弾を弾く。カラクは辺りを見渡す。やはり真宵の姿は確認できなかった。その代わりまた物陰から銃弾が飛んでくる。


ドン、ドン、ドン、ドン、ドン


「いい加減にしろ!消耗作戦ってか!そんなもんこの俺に通用するかよ!」


カラクは物陰に目を付け、駆け出した。次の瞬間、その物陰に隠れていた真宵が飛び出してきた。そして、銃を構え、その銃口を向かってくるカラクへと向ける。


「出て来たか!ネズミめ!死ねやっ!」


ドン、ドン、ドン、ドン、ドン


弾丸はカラクへと向かい、真宵は逃げもせずその場で立ち止まっていた。


「無駄だって、分かれや!バカがっ!」


カラクは弾丸を全て剣で弾くと真宵へと斬りかかる。


パリンッ!


突如、カラクの持つ剣が真宵へと振り下ろされることなく砕け散った。真宵は呆気にとられて、がら空きになったカラクの顔面に思いっきり拳をぶつけて吹っ飛ばした。


「ぐはっっ!」


「はー、スッキリした・・・バカはお前だよ、カラク。僕はお前じゃなくてお前の剣の一部分を狙っていたんだよ。それで強度が弱くなったところへ、僕特性の鋼鉄の弾丸を撃ち込んでやったら、見事に砕けた。まぁ安心しろよ。あれだけ言ったが殺しはしない、生け捕りにして色々情報を吐かせる・・・(じじい)の事も気になるしな。それと、妹への侮辱は許していないからな、ボコボコにして詫びさせてやるよ」


「はぁ・・・いってぇな、てめぇ。油断したが、今ので俺を殺さなかったことを後悔するんだな!おめぇはやっぱり甘ぇんだよ、真宵」

 

カラクは吹っ飛ばされた先、タイヤの山を吹っ飛ばし出てくる。真宵は出て来たカラクの姿を見て驚愕した。カラクの腕は変貌し、まるで虎のような鋭い爪になっていた。

 

「どうだ、真宵。これが夜月の爺が生み出した実験の賜物、獣人化だ」

 

「あのクソ爺め、研究を成功させたのか・・」

 

「そうだ。我らが爺様が遂に、夜月の悲願である獣人化の実験に成功!完璧なる人と怪物の融合。お前らが居た頃は、まだ不完全だった。失敗を繰り返し、幾度とない失敗作を乗り越えて、ようやく実践で使えるまでになった。ありがとなー、失敗作のお前らのおかげで俺はこれを手に入れた!」

 

「たしかに成功か・・見たところ自我もしっかりしているし。ならどうして、夜月は妹を狙う?」

 

「あー、それはな、俺にも良くはわからないだけどよー。正確には夜月が狙っているんじゃくて、あの爺が狙ってやがるだけだ。実験は次のフェイズなんだってよ・・まったく科学者の考えることはわかんねーな」


(次のフェイズ?何を企んでやがるんだ、あの爺・・どっちにしろ妹が危険なことは変わりない・・)

 

「なぁ、そんな事よりも今は楽しもうぜ、真宵!ここからが本番だぁ!殺し合いのよぉ!」


二 


「お前らは二人で戦うべきだった。まぁ、もっとも真宵という奴が先走ったせいでそうはいかなかったがな。だが、やるじゃないか槍士とやら。ガキでも一人で俺とやりあえるとは、でも、まだまだ詰めが甘いがな!」

 

ヤシラは槍士の槍を躱しつつ、斧を器用に振り回しなが追い詰める。槍士はというと向かってくる斧を躱しながら攻撃していた。槍で受ければ最悪砕けるか、耐えきれず吹っ飛ぶことを槍士は理解していた。しかし、そんな躱し、躱される攻防戦は長くは続かず、槍士はすさまじい速さの斧を避けきれないと判断して槍で受けてしまい、その勢いで壁まで吹っ飛び激突する。

 

「くっ!へっへへ、一発一発が重てぇなー・・・こっからだぜ!擲槍!力を貸してくれ半々だ」

 

(まったく、礼儀を知らん小僧だな・・)


槍士は攻撃の構えを変えた。腰を落として低い姿勢で槍を構える。

 

(なんだ?ずいぶんと雰囲気が変わったな・・それにあの構え・・)

 

「こいつは憑依術、朝霜家の秘伝だぜ!」

 

槍士は足を蹴り飛んだ。二人の距離は一瞬で詰められて、槍士は先ほどよりさらに速くヤシラに槍で斬りこむ。

 

(動きがさっきと違う・・・いや、なんだこれは?さっきの動きも混じっているような・・まるで、二人の人間と交互に戦っているようだ)

 

ヤシラは器用にも攻撃を躱し続けていたが、攻撃の最中、槍士の繰り出す槍が少し短くなっている事に気づくのが遅れた。

 

「引っ掛かったな!」

 

ヤシラの右側から鎖で繋がれた槍の一部が飛んできて、それが見事に腹部に直撃する。

 

「ぐっっ!」

 

ヤシラは思わず後退して膝をつき、槍士は鎖を縮めて元の槍へと戻す。

 

「どうよ!俺の戦術は!俺の武器はヌンチャクと槍の仕様で特注なんだぜ」

 

「調子に乗るなよ、てめぇ!」

 

「おいおい、怒ったのか?いい大人が、こんな俺みたいな子供によう!でも良かったぜ、あんたも吸血鬼かと思ったがその様子だと違うみたいだ。ようやく久々の対人戦だぜ」

 

「吸血鬼だぁ?ふん、俺はそんなものには成り下がらん。さて、そろそろマジでやるか」

 

ヤシラは近くにあったアタッシュケースから小さい斧を大量取り出すと槍士に向かってその全てを放り投げた。

 

「おい、下手くそ!何個か当たってないぞ」

 

槍士は軽々と躱して余裕の表情を見せる。地面には槍士が躱した斧がそこかしこに散らばっていた。

 

「何がしたいんだお前は」

 

「これから、俺の殺り方ってやつを見せてやるよ」

 

ヤシラは斧を手に槍士に駆け出し、近づくと斧を振り上げた。槍士はそれを躱そうとしたが斧はヤシラの手から離れていた。なんと至近距離で投げ飛ばしてきたのだ。槍士は投擲された斧が当たるギリギリのところを槍で受けきるが、その衝撃が手に伝わり痺れる。

 

「くっ!なんだこれ」

 

攻撃は止まらず。ヤシラはすかさず落ちている斧を拾うと再び至近距離で投げつけてくる。再び槍で受けるが手が痺れて槍を手放してしまう。

 

(小僧!なにをしている!)

 

「くっ!これは!」

 

再び斧を拾い、迫り来るヤシラから距離をとった槍士。

 

「どうした?さっきまでの威勢は?槍がここに落ちているぞ」

 

ヤシラの真下には槍士の槍が落ちていた。ヤシラはそれを拾い上げると槍士に投げ渡す。

 

「どういうつもりだ?」

 

「なに、ハンデとやらだ」

 

「言うじゃねぇか。負けても文句言うんじゃねぇぞ」

 

「っは、言わねえよ」

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