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天使の探究者  作者: はなり
第三章 動乱平定

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ぶっ壊したる

またルナのせいでお姉ちゃんに迷惑がかかってる・・・どうたらいいんだろう・・あぁ、どうしてルナって弱いんだろう、泣き虫なんだろう、どうしようもなく悪い子なんだろう・・・これはルナが悪いの?それとも・・この世界がルナにあってないの・・お姉ちゃんは好き、大好き・・お姉ちゃんはきっと、ルナが弱くても、泣き虫でも、たとえ悪い子でも、優しく接してくれるし、きっと悪いことしたら優しく叱ってくれる・・・・・だけどルナは、ルナのせいでお姉ちゃんが不幸になるのはいや・・・・二人で幸せがいい・・・でも、わがままはここまでだよね・・・だから・・・だから私は・・・



「やめるんだルナ!私の声が聞こえないのか!」


「・・・・・」


ルナのその冷たい眼には光は宿らず、ただただ冷たく悲しい刃だけがルナへと振りかざされ続けている。空しくもルミの叫びはルナの心には届かない。


(だーかーらー、言ってるじゃんか。そんなちっぽけな叫びなんて届かないよ。そろそろ、飽きたな。なんか、だらだらしてて煩わしいしなー。見物って言ってたけど、まぁいいか・・・神様は気まぐれだし・・・・よし、ルナに指示でも出すか)


「何をする気だ!」


「・・・・」


ルナは動きを止めて、自らの喉を刺すように両手でナイフを構える。そして、喉元へと刃を突き立てた。


「やめろーーーー!!!」


ルミは駆け出した。幸いにも距離が近かったおかげで、ルナの持つナイフを掴むことができた。しかし、ルナは凄まじい力でナイフを喉元へと近づける。


(あーあー、すごいね。まさかその力に対抗できるとは・・・少しだけ私の念が入って力は増しているはずなんだけど・・・人間って面白いね)


「どこまでも、ふざけやがって!ルナ!!目を覚ますんだ!そんな奴のいいなりになるんじゃない!私の目を見ろ!!」


ルナとルミの視線は合うが、しかしその黒い瞳はルナを見ていなかった。



「いったい何がどうなっとるんや!涼香さんもこーへんし。まぁ、幸いにもさっきの騎士はもう起き上がってこなそうやな。衝撃波も出んくなったし」


「メイ、どうですか?状況は」


メイがどうしようかと考えあぐねていると、扉の方から涼香が悠々と歩いてきた。


「あっ、涼香さん!良かった・・お菓子の巨人は?」


「・・?・・そんなモノいましたっけ?」


「ふん、またご冗談を・・ん?」


メイは唐突に耳に違和感を感じた。最初は気のせいだと思ったが、それは次第に認識できるようになった。声、というか心の中へと直接、声をかけてくる人物がいると感じた。


「涼香さん・・なんか聞こえます?」


「ん?さっきから何を言っているんですか。そんなことより今は状況を教えなさい」


(・・お・・さん)


「ちょっと、待ってください!」


「ん?」


涼香は何のことかわからず、首を傾げた。一方、メイは響く声に耳を、心を集中させる。


(おねえさん!)

 

メイは心の中で誰かに呼ばれた。その声には聞き覚えがあった。その声の主の姉は今、傍らで寝ている。メイは目を閉じ、感じる声に集中した。


(やっと通じた!私、ルナ。今、僅かに残った精神体の方であなたに語りかけてるの。まだ、こっちは自我を保てているのだけど、それも時間の問題なの)

 

(ルナ!どういうことや?)


(お姉さんにお願いがあるの。私が入っている球体わかる?)


(おう、今も触れられるで・・)


(だめっ!!!)


「!?」


「どうしましたのメイ?」


メイは球体に手を伸ばした瞬間、急な大声に驚き手を引っ込める。


「なんもないです・・」


(おい!びっくりするやんか!なんや?)


(ごめんね・・今球体に触れちゃうとお姉ちゃんと一緒で、ルナの世界に入ちゃうの。まぁ正確には違うんだけど。とにかく触らないで)


(なんやて!ほいじゃ、そこにルミもおるんやな!)


(いるけど・・今は戦ってるのお姉ちゃんと、無理やりね)


(なら、尚更触ってそっち行くわ!)


(だめだよ!・・とにかく、だめ!それでさっきの話の続きだけど、お姉さんにはやってほしいことがあるの)


(まぁ、わかったわ。ほいで、やってほしいことってなんや?)


(ありがとう、お姉さんにはルナの入ってるこの球体を壊してほしいの)


(なんやそんなことか!よっしゃ、任しとき!・・っと言いたいところやけど、これ壊したらルナが死ぬとかはないやんな?)

 

(うん・・・それでは死なないよ。私の中の夢人が作り出したモノだから。ルナたちは今それに捕えられているの。だから、壊して出してほしいの)


(夢人?・・なんやわからんけど、大丈夫なんやな!それじゃ、ぶっ壊したるわ!)

 

メイは立ち上がり、気合いを入れるために頬を張る。

 

「メイ、さっきからどうしたんですか?ふざけてないで状況を・・」

 

「すんません、涼香さん。ルナから頼まれまして」

 

「ルナさん?どういうことですか?」

 

「説明は後です、これを壊します!」

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