覚醒者
「宗谷さん・・やはりそうでしたのね。死んだと聞いていましたが・・そう、生きていたんですね」
「誰なんですか?その宗谷って」
「そうですわね。メイも知っておいたほうがいいですからね。・・・彼は昔、殺し屋の同業、というか糸衛兄さんの古い友人ですわ」
「糸衛さんってたしか、糸音の師匠の・・」
「ええ・・ですが、あることがあって二人は殺し合いになった。その後、二人は帰ってきませんでしたわ。・・・しかし、見えてきましたわね敵の全貌が・・一連の出来事は、全て彼が黒幕で間違いないでしょう。彼は狡猾で慎重な男です。今回、情報を集めていて、彼の陰は確認できましたが、実際に一度もその姿を見ていません。・・それでルミさん、あなたたちの目的は教えてくださるのかしら?」
「ふん・・正直、別にどうでもいいが、ルナと一緒にここから無事に出られたら教えてやる」
「はぁ、わかりましたわ。それにしても、あの子が異能の覚醒者だったとは・・」
「異能の覚醒者、それってうちと同じやんか」
「え?・・まさか、メイも」
「はい。あんまり覚えてないんですけど・・うち、物心つく前から異能が使えるようになってたんですよね」
「そのこと、シャオさんはご存じで?」
「んー・・あー、知ってますね。あっ、これ母さんにあんま言うたあかんって言われてたんやった!・・まぁ涼香さんならええか・・」
(シャオさんが、そのことを隠していた?・・私だけに・・いや、志貴兄さんや遊さんはこのことを知っているのかしら・・・まぁ、事が終わったら色々聞いてみましょう)
「それで、異能の覚醒者ってなんなんですか?」
「そうでしたわね。まぁ、あなたも遊さんから聞いたとは思いますが、異能の力は夕凪家にあった天与核の恩恵を受けることによって発現するのですが、稀に特別な力を持った子が生まれてくることがあるんです。まぁ稀にというか、そもそも私が知っている限り、覚醒者はあなたとルナさんを含めた四人だけなんですけど。私もまだ研究の段階なので、そういう子が生まれてくる原因はまだわからないのですのよね。それにしても、このことは私と志貴兄さん、遊さんしか知らないはずなのですが。さっきの話を聞いた限り、宗谷さんもご存じだったんですね」
「あぁ、詳しい内容までは私も教えてもらってはいないけどな」
「そうですか。・・ルナさんの力が暴走した直接的な理由まではわかりませんが、恩恵を受けた能力者と覚醒者では違うところがありますの。それは、感情に左右されることで暴走を起こしやすいということです。そして今回のこれは、力の暴走が原因で起こったと見て間違いないでしょう」
「なるほどな。その話を聞いて納得した、思い当たる事はいくつかある。私たちが襲われた時のあれは、そういうことだったんだろう」
「そうですね。・・メイもあるでしょう、気持ちが昂った時、いつもより力が沸くとか」
「たしかに・・屋敷での襲撃の時そうだった」
「それで、その暴走は止めれるのか?」
「ええ、場合によってはですが。感情に左右される・・なら、昂った心を言葉で抑えることができれば、あるいはいけるかと」
「そうか。わかった」
話は終わり、三人は気づいたらガラスの城の前までとたどり着いていた。
「ここだな・・ん?」
ゴゴゴゴゴッッ
「なんやこれは!?」
地響きとともに地面から、お菓子の山が現れた。それは次第に形を成し、やがて巨人へと変わった。
「なるほど。ルナさんは無意識のうちに私たちを拒んでいるかもしれませんね。これはもし会えても、一筋縄ではいかないかもですよ、ルミさん」
「いいや、私がルナを助ける。絶対にな!」
「よっしゃ!ほな、さっさとこのデカ物ぶっ飛ばすでぇ!」
「いいえ、メイ。あなたはルミさんと一緒に行きなさい。ここは私一人で十分です」
「でも・・」
「メイ・・今は時間が惜しいんです。行きなさい」
「・・・はい、わかりました。ほな、行こかルミ!あんたの妹を助けに!」
「暑苦しいのは嫌いだが、今は何が起こるかわからないからな。お前の力でも無いよりはましか」
「ふん、言うとれ」
(ルナ・・今行く)
メイとルナは城の扉を開け、中へと入った。涼香は一人、目の前に聳え立つお菓子の巨人を見上げる。
「はぁ・・やれやれ、お菓子の化け物と戦うのは初めてですね。甘くないと良いのですが」




