表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使の探究者  作者: はなり
第三章 動乱平定

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/79

神薙夜戦(六)

「まさか・・・」


その時、何もなかった空間に色々なものが、地響きとともに現れる。それはお菓子の家であったり、遊園地、動物園、学校、洋風なレンガの家がたくさん建っていく。


「なっ、なんやこれは!?」


「おそらく、ルナさんの影響でしょうね。夢の中というのなら、差し詰めここはルナさんの心の領域というとこでしょうか。彼女にとって、都合のいい理想郷が顕現していると・・」


「そうか・・・ルナは夢を見せているのか。現実に・・」


「それは正確ではありませんが、その認識でおおよそあってます。それに見つけましたよ」


涼香はそう言って、ひと際大きな建造物を指さす。それはガラスでできた、大きな城。眼前に立ち並ぶ家々のその先に、それはそびえ立っていた。


「おそらく、ルナさんはあそこでしょう。ルミさん、あなたには一緒に行動してもらいますわよ。メイ、動けますか?」


「はい、なんとか動けますで。行きましょう」


「わかった、言う通りにしてやる。その代わり、妹には手を出すな」


「わかりましたわ。では、行きましょう。それでさっきの話の続きですが・・」


「あぁ、道中、話してやる。私とルナの話を・・・」



私たち姉妹は小さな村に生まれた、今はもう無い。私たちは日常的に、父親から虐待を受けていた。生みの母親は私たちを助けようとはせず、そのまま放置した。さらには村の人々はその事を知っていたが、誰も助けてはくれなかった。そんな日々が続いたある日のこと、事件は起こった。ほんの些細な夫婦喧嘩だった。喧嘩の理由はどうでもいい事だから忘れてしまった。父が私たちの目の前で母を殺したのだ。ルナは泣き叫んだ。私も泣いてたかもしれない。でも私は、自分たちを助けてくれない人なんか、たとえそれが生みの親であっても死んで当然だと思っていた。

父は母の死体を私たちに埋めるように言いつけた。すぐバレるんじゃないかと思ったが、村の様子は変わらず騒ぎにもならなかった。きっと父親は周囲の人達には母親は行方不明になったとか言って誤魔化していたのだろうな。

そして私たちは村から離れて山の中で暮らし始めた。

それからは地獄の様な日々だった。元々素行の悪かった父親は強盗や強姦、殺人にまで手を染め始めた。当時、私たちが殺されない理由が分からなかったが、父が殺めた人たちを私たちが次から次へと埋めに行く、隠蔽の手伝いをする要因として傍に置いていたんだと理解した。

そんな狂った生活が何年も続いた。ルナは毎日、泣いては殴られて、それを私が庇うが殴り飛ばされて、結局二人共殴られる。ひとしきり暴力が終わると父は出て行き、また女を探して攫って殺す。精神がおかしくなる思いだったが、私は思っていた。いつか父親を殺して、自分達は自由になるんだと。

いつ頃からか、父は殺し屋稼業を始めていた、と言ってもその下っ端だったらしい。

父がその仕事を始めて数日経ったある日、私たちは父親が連れてきた男達に殴られ、犯されかけた。

そいつらは、父の仕事の仕事仲間、殺し屋だった。

逃げ場を失い、ルナが乱暴されかけたその時、ルナが叫び声をあげた。その瞬間、家にいた私とルナ以外の者が突然倒れた。最初は何が起こったのか分からなかったが、これは好都合だと思い、私はそのまま家に火を放った。ようやく殺せたと、安堵したよ。

それから私はルナと山の中のさらに奥へと行き、洞窟を見つけ、そこで一緒に暮らし始めた。

幸いにも処世術は身につけていたから衣食住には困らず、自給自足の生活を送っていた。

そんなある日、私がいつもの狩りから帰ってくるとルナが倒れていた。原因は不明だが高熱が何日も続いた。見かねた私は意を決して街へとおりた。もちろん、お金など持ってるはずもなく、誰か治してくれる者がいないか聞いて回ったが、誰にも相手にされずに日が暮れた。仕方なく山へと戻りルナの看病をする。

その後、ルナの病状は一向に良くならず、私は街で薬を盗み看病する生活が続いたある日、いつもの様に街で鎮痛剤を盗んで帰ると、洞窟の前に喪服の怪しい男がいた。

その男は突然、ルナを治せると言ってきた。もちろん、金はないと言ったが、無償でいいと言ってきた。その代わりに条件をつけてきた。私へ仲間になれと。私はルナが治るならと、その条件をのみ、男はルナを治してくれた。半信半疑だったが、次の日からルナは元気になった。

私はその喪服の男から力を貰って異能力者となった。男からは力の使い方と、ルナについて教えてもらった。男が言うには、ルナは生まれたときから異能を持っていたが覚醒が遅れただけで、謎の病はその覚醒が原因だそうだ。

私たち姉妹は力の使い方を教わったあと、その男の仲間に加わった。


「以上、話は終わりだ。同情はいらない。そんなものはなんの役にも立たないからな」


「そうですか。・・・それで、その男の名前は?」


「宗谷、そう名乗っていたよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ