The gears of fate turn(三)
一
「この辺りから匂いが完全に消えている」
三人は近くにあった小さい川へと辿り着いた。
「手分けして探すか」
「何かあったら必ず一人では突っ走らず、一度集まろう」
「了解」
ルクスリアと分かれた糸音はしばらく辺りを散策しているとすぐに洞窟を発見する。そしてまだ近くに居たルクスリアと合流し洞窟のことを伝える。
「なるほどな。そこが怪しいな」
「どうする?」
「慎重に行こう。一度、紅羽のとこへ戻り合流しよう」
「了解」
二人は一度街道に戻り紅羽と合流し、三人は糸音の案内のもと洞窟へと向かった。
川のほとりまでやってくるとさっきまでなかった霧が出てきた。
「なんだ、急に霧が」
「慎重にな」
三人は辺りを警戒しながら先ほど見つけた洞窟の入り口までやってきた。
「ここか、微かにだが二人の匂いはこの奥からする」
「よし。紅羽、くれぐれも突っ走るなよ」
「あぁ、大丈夫だ。少し休んだおかげで今は冷静だ」
三人が洞窟の奥へと進むとさらに霧が濃くなってくる。油断していると自分がどこにいるのかわからないほどの濃い霧が立ち込める。
「離れるなよ、二人とも」
「あぁ・・・待て!」
「どうした!」
糸音は辺りを見回すといつの間にかルクスリアが居ないことに気がついた。
「やられた!ルクスリアが居ない!」
「まじかよ!どうする糸音!?」
「椿達はおそらくこの奥だと言っていた。首謀者もそこにいる。それにさっきから出ているこの霧はおそらく人為的なものだ。戻るにしても危険すぎる。より一層警戒しながら進もう」
「了解。たしかに、この肌に纏わりつく感じ、気味が悪いぜ」
「あぁ。それにルクスリアは吸血鬼だ、そう簡単には死なない」
「冷てぇな。だが、そうだな。俺たちよりはマシか」
二人は警戒しながら奥へと進んでいく。
二
「糸音!紅羽!どこだ!?」
ルクスリアはいつの間にか逸れていた二人を探す。しかし霧が濃くなっていき、ついには何も見えなくなった。
「なんなんだ!この霧は!」
何も見えないルクスリアは前へと進んで行くと人影がルクスリアの前に現れた。
「誰だ!」
そう叫ぶとその人影は逃げ出す。
「待て!」
ルクスリアはその人影を追いかける。
(くそ!霧で前が見えない分、全力で走ることもできない・・・!?)
人影を追っていたルクスリアは突如、霧が晴れていくの確認する。
(なんだ!?急に霧が晴れて)
「!?」
ルクスリアの目の前にはいつかの間にか縄で縛られたジータが横たわっていた。ルクスリアは近づくと声をかける。
「ジータ!!おいっ!しっかりしろ!」
ジータはゆっくりと目を覚ますと飛び起きた。
「こ、ここはっ!」
「安心しろ、助けにきた。ここは洞窟だ・・なっ!どういうことだ!?」
ルクスリアは驚く。霧が完全に無くなり、辺りが鮮明に見えた。ルクスリアは自分がまだいるのは洞窟の中だと思っていた。しかし、視界が晴れ、実際に辺りを見渡すと洞窟の近くにあった小さな川のほとりに居た。
(いつの間にか外へ出たのか?いや、しかし洞窟からそれなりに距離があったはず。まさか最初から私だけここに居たのか、それとも何らかの方法で飛ばされた)
「ルクスリアさん、私はもう大丈夫です。椿姉さんを頼みます」
「あっ、あぁ、すぐに仲間が来る。ここでじっとしていろ。一体何があったんだ?」
「盗賊を捕まえた直後、後ろから、襲われました。相手の顔も姿もわかりませんでした」
「お前がやられるなんて、一体・・」
「申し訳ありません」
「いいんだ。今は休め」
憔悴しきったジータを近くにあった木陰まで運ぶとルクスリアは再び洞窟へと急ぎ向かう。
(嫌な予感がする。無事でいてくれよ三人とも)




