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『恋物語のあとしまつは、モブメイドの仕事です。』  作者: てぃな


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7/22

6

春宵舞踏会から一夜明けた朝。


王宮は、昨夜の賑わいが嘘のように静かだった。


磨かれた床には、花びら一枚落ちていない。


窓から差し込む朝日が、大広間をやさしく照らしていた。


「……きれい。」


思わず、そう呟いた。


昨夜は、あんなに散らかっていたのに。


何事もなかったようなこの景色を見ると、不思議と胸が温かくなる。


「その『きれい』はね。」


後ろからマーサの声がした。


「私たちみんなで作った『きれい』なんだよ。」


私は振り返り、小さく頷いた。


「はい。」


「一人じゃできなかったです。」


マーサは目を細めて笑う。


「そう思えたなら、昨日は百点だね。」



午前の仕事を終えると、ルルが勢いよく扉を開けた。


「リアー!」


「はい?」


「お茶! お茶の時間!」


「え?」


「急いで急いで!」


腕を引かれるまま連れて行かれた先は、あとしまつ係専用の小さな休憩室だった。


大広間とは違って、とても質素な部屋。


木の丸テーブル。


少し年季の入った椅子。


壁際には戸棚と薬缶。


窓辺には、小さな鉢植えが並んでいる。


「かわいい……。」


思わず見渡していると、マーサがお湯を注ぎながら笑った。


「派手じゃないけど、みんなのお気に入りさ。」


香ばしい紅茶の香りが部屋いっぱいに広がる。


「はい、リア。」


差し出されたカップを両手で受け取る。


一口飲む。


ほっと肩の力が抜けた。


「……おいしいです。」


「でしょう?」


ルルは嬉しそうに笑った。


「マーサさんの紅茶、王宮で一番おいしいんだから!」


「そんな大げさな。」


マーサは照れくさそうに笑う。


サーシャは報告書を書きながら、ぽつりと言った。


「でも、本当にそう思う。」


その一言に、部屋中が笑いに包まれた。

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