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『恋物語のあとしまつは、モブメイドの仕事です。』  作者: てぃな


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14

朝の仕事を終えたあと。


リアは磨いた銀食器を戸棚へ戻していた。


「今日は午後から庭園でお茶会があるよ。」


マーサが予定表を見ながら言う。


「庭園ですか?」


「ああ。天気がいいからね。」


ルルが嬉しそうに両手を合わせる。


「外のお仕事好き!」


「花がいっぱいだもん!」


「その分、花びらもいっぱいだけどね。」


サーシャの一言に、みんなが笑った。



午後。


王宮庭園は春の花で彩られていた。


白いテーブルクロス。


色鮮やかな花々。


甘い焼き菓子の香り。


令嬢たちの笑い声が、やさしい風に乗って聞こえてくる。


あとしまつ係は少し離れた場所で待機する。


何かあればすぐ動けるように。


それが仕事だ。



お茶会も終わりに近づいた頃だった。


「きゃっ!」


甲高い声が庭園に響く。


リアは思わず顔を上げた。


侯爵令嬢リリアンナ・ベルガータのドレスに、紅茶が少しかかっている。


侍女たちが慌てて駆け寄る。


周囲がざわつく。


そのすぐそばには、ロゼッタが立っていた。


「申し訳ございません……。」


リリアンナは青ざめている。


ロゼッタは静かにハンカチを差し出した。


「火傷はありませんか?」


「……はい。」


「それなら安心しました。」


その声は落ち着いていた。


けれど、その瞬間だけを見た誰かが、小さく囁く。


「やっぱり……。」


「あの方、怖いわ。」


「リリアンナ様が泣きそうじゃない。」


その声は、風に乗って少しずつ広がっていく。


リアは首をかしげた。


(……そうかな。)


自分が見ていた出来事と、周りの言葉が噛み合わない。

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