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『恋物語のあとしまつは、モブメイドの仕事です。』  作者: てぃな


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朝の王宮は、まだ少し眠たそうだった。


東の窓から差し込む光が長い廊下を照らし、磨き上げられた床にやわらかく反射している。


リアは窓を開けると、春の風を胸いっぱいに吸い込んだ。


花壇では庭師たちが水やりを始めている。


今日も王宮の一日が始まる。


「リア。」


マーサが仕事表を差し出した。


「今日は迎賓の間を頼むよ。」


「はい。」


リアは仕事表を受け取り、一礼する。


隣ではルルが嬉しそうに身を乗り出した。


「今日は婚約者候補のお茶会だって!」


「婚約者候補?」


リアが首を傾げると、サーシャが報告書から顔を上げる。


「王子殿下がお見えになる日。」


「王宮中が少しだけ慌ただしくなる。」


「なるほど……。」


リアは頷いた。


だから今日は花の飾り付けもいつもより豪華だったのか。



迎賓の間には、色とりどりの花が飾られていた。


白い百合。


淡い桃色のバラ。


小さな青い花々。


リアは花瓶の位置を少しだけ整える。


「これで大丈夫。」


そこへマーサがやってきた。


「いいね。」


「花は、人より少し控えめなくらいがちょうどいい。」


リアはその言葉を胸に留めた。


主役は花じゃない。


今日ここへ集う人たちなのだから。



やがて、お茶会が始まった。


あとしまつ係は部屋の外で待機する。


扉の向こうからは、楽しそうな笑い声が聞こえてくる。


カップが触れ合う澄んだ音。


誰かが冗談を言ったのか、小さな笑いが広がる。


リアは少しだけ微笑んだ。


(楽しい時間になりますように。)


それも、あとしまつ係の願いだった。

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