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翌朝。
私はいつものように、大広間へ向かっていた。
窓から差し込む春の日差し。
庭師たちが花壇の手入れをしている姿が見える。
「今日もいいお天気。」
そう呟くと、隣を歩くルルが大きく伸びをした。
「こんな日はお休みしたくなるよねぇ。」
「マーサさんに聞かれたら怒られるよ。」
「だから小さい声で言ったの!」
そんな他愛もない話をしながら廊下を歩いていると、向こうから侍女たちがやってきた。
「おはようございます。」
挨拶を交わし、すれ違う。
その時だった。
「……またですって。」
小さな声が耳に入る。
「昨日のお茶会でも、あの方……。」
「あんなに冷たい方だなんて。」
私は思わず足を止めた。
「あの方って?」
ルルが首を傾げる。
侍女たちは私たちに気づくと、慌てて話を切り上げて去っていった。
残ったのは、少し気まずい空気だけ。
「……ロゼッタ様のことかな。」
ルルがぽつりと呟く。
私は昨日会った令嬢の姿を思い出した。
探していたハンカチを受け取って、ほっとしたように笑った人。
あの人が、そんなふうに言われる理由が分からなかった。




