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三国志・闞沢伝ー孫呉を内側から支えた漢ー  作者: 涼風隼人


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第8回 闞沢、県令として励む(後)

 郴県は、桂陽郡の郡治であるため、闞沢が県長をつとめていた銭唐県に比べて、辺境の地とは言え、それなりの賑わいがある。そして、その賑わいの中には、大きな貧富の差が存在している。

 

 闞沢が言う。

 「城内の巡察をすると、流民らしき者、家を持てない者が多いように見受けられるが、何か対策はしておられるのかな?」

 

 県丞が答える。

 「私の力不足です。正直、課題としては考えていましたが、それをどうすればよいかの答えを持ち合わせておりません。」


 「これは銭唐県での話ですが、流民や家を持てない者を、各集落に住まわせて開墾をさせ、受け入れた集落の税を軽くするという施策を実施したところ、それなりの成果を挙げました。」

 

 「なるほど・・・。桂陽郡は見渡す限り山の様な土地ですが、開墾しようと思えばできる土地も、まだまだあると思います。この件、私にやらせて頂けませんでしょうか?」

 

 「もちろん。私もお手伝いさせて頂きます。」


―三日後―

 郴県城外の集落の頭領たちが集められた。


 その数は、銭唐県の倍以上の数であった。


  県丞が言う。

 「お集まりいただいたこと、感謝する。実は、皆さんに協力してもらいたい事があるのだ。」

 

 県丞は、概要を説明した。すると、一人の頭領が言う。

 「県丞様、話は理解できました。しかし、そううまくいくのでしょうか?」

 

 「これは、こちらに控える県令殿が、実際に銭唐県で行った施策で、その成果は十二分に挙がっている。」

 

 別の頭領が言う。

 「もし、成果が出なかったときは、何か保証を頂けるのでしょうか?うまくいかなければ、食わせなきゃならん人間が増えるだけで、より苦労すると思うのですが・・・。」

 

 更に別の頭領も発言をする。

 「みんな一斉にではなく、やりたい集落にまずやってもらうのはどうだろう。開墾する土地の広さも各集落で異なるわけですから。」

 

 この後も、疑問や否定的な意見が、次々と出てきた。

 

 県丞が、収集がつかず困っている様子なので、ここで闞沢が発言した。

 

 「皆の者、一つ聞いて頂きたい。銭唐県で成功したからと言って、郴県でも成功するということは約束できない。しかし、まずは、やってみてほしい。とりあえず一年、どうであろうか。一年やってみて成果が出ない、ということであれば、その流民たちは、一旦県の方で預かろう。そこに費やした食い扶持も県で保証する。これなら、少なくとも損することはなかろう。」

 

 これを受けて、一人の頭領が発言する。

 「保証は本当にしてくれるのだろうか?その旨、書状にしていただき、県令様が約束してくれるなら、俺はこの話、乗ってもいいと思っている。」

 

 この発言を皮切りに、流れが変わった。

 

 県令の保証を条件に、受け入れると皆が言い出したのだ。

 

 それでもなお、難色を示した頭領が数人いたが、ここは一旦諦め、闞沢はその場で筆を走らせ、各頭領に保証する旨を約束したのである。

 

 先の話であるが、結果、この取り組みは成功をおさめ、保証を求めて来る者は皆無であったばかりか、受け入れに難色を示していた者たちも、新たに参加することになり、郴県の全集落で、この取り組みは継続して行われた。


 闞沢は県長時代の経験を活かし、見事に郴県でも成果を挙げたのである。

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