第22回 闞沢、呉郡太守となる
呉景の訃報からしばらくして、現在は柴桑を本拠地としている孫権から闞沢に呼び出しがかかった。
闞沢は水路を利用して船で柴桑を目指した。
およそ五日で到着することが出来た。
闞沢は、急ぎ孫権の下に行った。
孫権はすぐに闞沢と会った。孫権が言う。
「叔父である呉景殿の死は、私にも衝撃であった・・・。亡くなる前日は、共に盃を交わし、これからの国の事などを論じたのだ。そして、その時の呉景殿の言葉を徳潤、お前に伝える。」
「はい。お願い致します。」
「もし、自分に万が一のことがあれば、闞徳潤を呉郡太守にすれば、何も心配はいらない、というものだった。」
「私を、呉君太守に・・・。」
「まるで、死期を悟っていたかのようだ。結局、この言葉が呉景殿の遺言となった。そして、私はその遺言を守ろうと思う。」
孫権は続ける。
「闞徳潤、会稽での仕事見事であった。その仕事と、呉景殿の遺言に従い、お前を呉軍太守に任命する。」
「私が呉郡太守・・・。果たしてつとまるかどうか・・・。」
「私は何の心配もしていない。徳潤、お前になら我らにとって重要な拠点の呉郡を任せることが出来る。」
「わかりました。ありがたく、お受けさせていただきます。ただ、一点、懸念がございます。」
「懸念とは?」
「はい。山越王の事です。山越王が盟約を交わした条件に、私が一年に一回山越王に会いに行くことになっています。」
「元歎がそうであったように、後任の者に託せばいいのではないか?」
「そうしたいところですが、恐らく山越王の気性から見て、納得しないと思います。よって、この役目だけは、続けさせて頂きたく思います。」
「そうか・・・。そこまで徳潤が言うのなら認めよう。」
「ありがとうございます。」
こうして、闞沢は呉景の意思を継いで、呉郡太守となったのである。




