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三国志・闞沢伝ー孫呉を内側から支えた漢ー  作者: 涼風隼人


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第19回 闞沢、会稽郡丞となる

 闞沢は、呉郡の郡丞として呉景を支えた。

 

 そして数年間が経過したころ、会稽郡の方が騒がしくなってきた。

 

 以前、顧雍は山越の王と会い、共生の約束をしたが、どうやら山越王が代替わりをしたこともあり、山越の動きが怪しくなってきた。ここで抜擢されたのが、闞沢である。

 

 呉景が言う。

 「徳潤よ。会稽郡の山越がいささか騒がしくなってきているという。そこで、いよいよお前の出番だ。」

 

 「私の・・・。」

 

 「そうだ。孫権様から全権を委任されることになる。原則、お前が太守ということだ。よって、委細なことなどは、報告も相談もいらん。全ての決断と責任を負う覚悟を持って、望んでくれ。」

 

 「わかりました。出来得る限りのことを致します。」

 

 そこに、顧雍が現れた。

 「徳潤殿。会稽郡に赴くと伺った。あそこは私にとっても、思い入れの深い土地。そして、最も懸念した山越が不穏な動きをしているとか・・・。」

 

 「はい。元歎様は、山越を対話することで共生するという道をつくったと聞いております。どうなるかわかりませんが、戦うというのは最後の手段としたいものです。」

 

 「それならよかった。お役に立つかどうかわかりませんが、私が先代の山越王と交わした約束などをしたためましたので、一応、お持ちください。」

 

 顧雍は、書状を闞沢に渡した。闞沢が言う。

 「お心遣いを頂き、ありがとうございます。私には難しい役目とはなりますが、精一杯取り組む所存です。」

 

 「会稽郡は領土も広く、難しいところはあると思いますが、徳潤殿であれば問題ないと思っております。問題があれば、私なり、呉景殿なりに無理せず相談してくだされば、お手伝いすることも出来ましょう。」

 

 「本当にありがとうございます。それでは、私は早速赴任の準備を致します。」

 

 こうして闞沢は、以前の顧雍がそうであったように、孫権から全権を委任され、会稽郡へと向かった。

 

 今回は船での移動であり、順調に進んだことから、一日で会稽郡の郡治である山陰県に入ることが出来た。

 

 闞沢は早速、都尉、県令、県尉に会うことにした。

 

 三人ともに闞沢よりは年上であるが、それを馬鹿にしたような様子は全くない。闞沢の名は、既に多くの者に知れ渡っていたのである。闞沢が言う。

 「都尉殿に伺う。郡全体で、山越の動きがありそうとのことだが、今はどういう状況で?」

 

 「はい・・・。今のところ、本格的な戦闘には発展しておりませんが、近いうちに何か動きがある様な気配を感じます。」

 

 「なるほど・・・。県尉殿、この山陰県の周辺は如何かな?」

 

 「はい。この辺りも、都尉殿が申したような状況と言えましょう。」

 

 「そうすると、早めに動く必要がありそうだ。」

 

 県令が言う。

 「早め、とは?」

 

 「以前、こちらを任されていた顧元歎様は、自ら山越の王に会いに行き、共生することを約束したそうです。戦う前に、私も山越の王に会いに行こうかと思います。」

 

 「しかし、山越の王は代替わりを致しました。対話が通じるかわかりませんぞ。」

 

 「わからないから、私が自ら乗り込んで試す必要があるのです。」

 

 「郡丞殿をお一人で行かすわけには参りません。」

 

 「そこは私も無理はしようと思いません。都尉殿、山越出身の兵を何名かお借りしたい。私では、言葉も通じませんので。」

 

 「わかりました。それは手配しますが・・・。本当に、行かれるのですか。」

 

 「はい。その点の結論は変わりません。」

 

 こうして、闞沢は、尊敬する顧雍がしたように、山越の王に会いに行くため、深い山に入ることにしたのである。

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