第18回 闞沢、顧雍と会う
闞沢と都尉は、許貢残党掃討戦の一部始終を呉景に報告した。呉景が言う。
「二人ともよくやってくれた。こちらに死者が出てしまったのは残念ではあるが、これで呉郡の治安も高まるであろう。犠牲者の家族には十分に報いるとよい。」
都尉が言う。
「はい。その様にさせて頂きます。お心遣い、感謝致します。」
都尉は拝礼して去って行った。呉景が言う。
「徳潤よ。先日まで、孫権様の代理として、会稽郡の諸問題に取り組んでいた顧雍殿が、この度、こちらで左司馬に昇られることが決まった。今から挨拶に伺うのだが、お前も来るか?」
「顧雍様と言えば、あの名士中の名士、蔡邕様より名を贈られたことでその名を知られるお方ですね。是非、お会いしたいものです。」
「そうか、ならついて参れ。」
「都尉殿はお誘いしなくてよかったのですか?」
「都尉は、以前、お会いしているからな。」
「そうですか。それにしても、こんなにも早くお会いできる機会があるとは思いませんでした。」
そうこうするうちに、顧雍の居室に着いた。呉景が声を掛ける。
「顧雍殿。呉郡太守の呉景と郡丞の闞沢がご挨拶に参りました。」
「これは、これは、呉景殿。お久しぶりでございます。お元気そうで何よりです。後ろにお控えの方が郡丞の闞沢殿、でございますね。」
闞沢が言う。
「初めまして。闞徳潤と申します。顧雍様のご高名はかねがね、伺っており、本日お会いできて、本当にうれしく思います。」
「ご丁寧な挨拶、痛み入ります。顧元歎です。呉景様から、お若いのになかなか肝の座った方であると聞いております。もっとお話をしたいのですが、先ほど、孫権様よりお呼びがかかりましたので、本日はこれにて失礼いたします。」
顧雍は拝礼し、去って行った。
呉景が言う。
「徳潤、どうだ。顧雍殿は?」
「挨拶を交わしただけですが、静かなたたずまいの中に、熱いものをお持ちの方である様に感じました。もし、一緒に働けるときが来れば、と思いました。」
「なるほど・・・。徳潤よ、今後の事だがしばらくは私の下で働いてもらおうと考えているが、どうだ?」
「それは嬉しいお言葉です。」
「その後だが、孫権様はしばらくこの呉郡を本拠地として活動なされるであろう。どうしても、会稽郡が手薄になる可能性が高い。その時は、徳潤、お前に会稽郡を任せるべき、と進言するつもりでいる。」
「私に会稽郡を・・・。」
「ああ。顧雍殿の様に、実質的な太守として孫権様からの全権を委ねられての仕事だ。しばらくは顧雍殿のおかげで、会稽郡も静かだろうが、いつまでもつかは誰にもわからんからな・・・。」
「その様な大きな仕事を任されるに値する人物になるよう、精進致します。」
「徳潤、期待しているぞ。」
こうして、闞沢はしばらくの間、呉景の下で働くことになった。そして、この時は挨拶をかわすだけではあったが、将来、顧雍とこの孫呉を支える人物へと成長していくのである。




