第14回 闞沢、呉景と再会する
闞沢は、襄陽から呉景の待つ呉県にひた走りに走った。
襄陽から呉県まではかなりの距離があるが、闞沢は一日でも早く到着しようと、自分と馬の限界の限り走り続けた。
そして、襄陽を出てから一五日で呉県に到着した。
闞沢はすぐさま、呉景に面会を求めた。疲労困憊で到着した闞沢を呉景は自ら出迎えた。呉景が言う。
「よくぞ、帰った。本当に、よくぞ帰ってきてくれた。」
呉景は、心から闞沢を出迎えた。闞沢が言う。
「徳潤、只今戻りました。本来であれば、もっと早くに戻ってこなければならいないところ、多大な時間を頂き、申し訳ございません。何でもお命じ下さい。」
「その心意気、嬉しく思う。しかし、今日は休め。これからのことは明日、話すとしよう。」
―翌日―
闞沢はすぐに呉景の所に向かった。
そこには、一人の若者がいた。呉景が言う。
「徳潤、こちらにおられるのが、孫権様だ。孫策様の弟君で、跡を継がれた。」
闞沢は拝礼して挨拶をする。
「私は闞徳潤と申します。呉景様に命じられ、先日までは桂陽郡郴県の県令をつとめておりました。」
「闞徳潤よ。呉景殿から忠義の士であると聞いている。私には、兄者の様な才能が無いことは自分が一番わかっている。これからも、よろしく頼みたい。」
孫権は闞沢に頭を下げた。
恐縮した闞沢は言う。
「何なりとお申し付けください。この闞徳潤、命がけでお仕えさせて頂きます。」
「本当にありがたい言葉だ、礼を言う。ある程度は落ち着いてきたが、小覇王と呼ばれた兄者の跡が私の様な若造であることから、まだまだ全体が安定したとは言えない。当面は、呉景殿の指示で、動いてくれ。」
「かしこまりました。」
孫権はその場を去り、呉景と二人になった。呉景が言う。
「孫策様が亡くなったが、幸いにして、多くの者が孫権様の擁立を受け入れてくれた。しかし、まだまだ完全に安定しているとは言えない。徳潤、当面は郡丞として、まずはこの本拠地ともいえる呉郡の治安向上につとめて欲しい。」
こうして、闞沢は呉郡の郡丞となったのである。




